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ナイト・ラスト  作者: 伊藤 おさむ
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目覚め 1


〜三年前〜






 ジェミニカ王国にある人口二百人程度のとある村に、一人の男の子がいた。


 彼は父親のシンと母親のルナ、そして一つ下の弟であるラスト、四つ下の妹のメアリに囲まれ穏やかな生活を送っていた。


「二人とも準備は出来たか?」


 玄関でシンが二人を呼ぶ。


「は~い!」


 黒髪にエメラルド色をした瞳の少年が家の奥からドタバタと駆け出してくる。


「ナイトお兄ちゃん、おそ~い!」


 ウサギのような動物のぬいぐるみを持ち、栗色の髪を後ろで三つ編みにしたメアリが、頬を膨らまして言う。


「ごめん、メアリ。」


「ナイト、ラストはまだなの?」


 メアリと手をつないでいたルナがナイトに聞くと、 ナイトと呼ばれた少年はまた奥へ戻っていく。


「ラスト!もう行くぞ。」


「わ、分かってる。」


 家の奥から二人の会話が聞こえてきたかと思うと、ナイトはもう一人の少年、ラストを引き連れて姿を見せた。


 顔がよく似た兄弟で、短髪で活発そうな見た目の方が兄、ナイト。


 癖毛で前髪を目元まで伸ばした引っ込み思案な子が弟のラストだ。


「ラストは準備できたの?」


「うん。」


「おし、それじゃあ。教会の方に向かおうか!」


「お~。」


 父の掛け声にメアリが元気に返事をする。


「ふふっ。行きましょうか。」

 そのやり取りに母が笑い、双子も優しい笑みを浮かべる。

 微笑ましい空気が家族を包む。


 そして、家族はこれから教会で行われる、祝福の儀へと向かった。






『祝福の儀』


 それは、十二歳を迎えた少年少女に行われている儀式だ。


 この世界にはステータスと言われる自分に関する情報を確認できるものがある。


 ステータスには『名前』や『種族』、『称号』といった個人を判別する情報から『ジョブ』や『スキル』といった個人技能を表す情報まで、あらゆる情報が記載されている。


 スキルには、二種類のものがある。


『祝福の儀』によってジョブと共に得られる先天的スキル、訓練や目的の達成で得られる称号で与えられる後天的スキルだ。


 ちなみに、スキルとは別に自身の魔力を使って力を行使する魔法もある。


『祝福の儀』では、ステータスを登録し、『ジョブ』が与えられることで先天的スキルが得られるのだ。


 ナイトと同じように村中の十二歳を迎えた子供たちが、村の中央にある教会の前の広場に集められていた。 


 子供たちはジョブをもらえるとワクワクしている者、緊張して不安そうにしている者など様々だ。


「あ、ナイトとラストだ。」


 広場に到着すると二人に声を掛ける少年がいた。


 名前はノスタル。顔立ちの整った茶髪の少年だ。


 ナイト達家族の近所に住んでいる幼馴染の一人である。

「おはよう。ノスタル」


「お、おはよう。」


「おはよう、二人とも。それにメアリちゃんも。」


 ノスタルが少し屈んでメアリにも挨拶するとメアリは、逃げるように母の袖を握って後ろに隠れた。


「あ、あれ?」


 別にノスタルはメアリと仲が悪いわけではないはずだ。一緒に遊んだこともある。


 しかし、いつもと違う態度に困惑するノスタル。


「お前・・・メアリになにかしたのか?」


「してない!してない!」


 少しシスコン気質のあるナイトに迫られ、慌てて否定するノスタル。


「本当に?」


「本当だって!」


「じゃあ、なんでメアリはお前を避けてるんだよ?」


「知らないよ!」


 ナイトはしつこく問い詰めるがノスタルの返事は変わらない。


 メアリは母の後ろからのぞき込むように二人を見ていたが、ノスタルがメアリの方を見ると再び顔を引っ込めてしまう。


「やっぱり、お前何かメアリに悪さしただろ!」


「だからしてないって!あっ、そうだ。むしろ、この前メアリちゃんが困ってるところを助けたよ!」


「そっ、それは言っちゃダメ!」


 メアリが母親の後ろから出てきて言った。


 よく見ると、頬が少し赤くなっている。


「秘密にするって約束した!」


「あっ・・・」


「えっ?!秘密の約束?」


 ナイトは自分の知らないその約束が気になってしまう。


「メアリ?良かったらナイトお兄ちゃんに教えてくれない?」


「やだ!」


「えっ・・・」


 メアリから即答で断られたことでショックを受け落ち込むナイト。


「兄さん。」


 ショックを受けて固まっているところにラストが肩を叩いて話しかけ、ある方向を指す。


 ナイトはそちらに顔を向けると、教会から立派な修道着を着た老人が出てきて、広場に設置されていたステージに登っていた。


「そろそろ始まるみたいだから、行ってくる。」


「ナイトお兄ちゃん。頑張ってね!」


「頑張って。」


「おう。」


 ラストとメアリから声援を受けて、広場の中心に向かおうとするナイト。


「ナイト。」


 そんなナイトに両親が声を掛けた。


 ノスタルは先に行くよと言って、一足先に広場に向かう。 


 母がナイトに目線を合わせて言う。


「自分がどうなりたいか想像しなさい。そうしたら、きっとその願いに神様が答えてくれるわ。」


「そうだぞ、ナイト。想いっていうのは馬鹿にできないからな。」


「なりたい自分・・・想い・・・。」


 ナイトは二人のアドバイスを聞いて少し考える。


「うん、分かったよ。父さん、母さん。」


 両親、そしてラストとメアリを見て返事をするナイト。


「よし。それじゃあ、行ってらっしゃい!」


「行ってきます。」


 こうしてナイトは家族に見送られ、ノスタルと共に広場にあるステージの前に向かった。





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