一年A組 第四班 4
「この後はどうしますか?」
少し遠くでセルティア王女が倒したブラックウルフの証明部位を剥ぎ取っていたルーカスが合流して言う。
「そうね。ルイスさん、近く魔獣がいないか調べてもらえないかしら?」
「は、はい!」
セルティア王女に頼まれるとルイスは召喚魔法を使い、一匹の鷹の魔獣を召喚して何か話しかける。
言葉が通じているのか頷いた鷹は羽を広げ飛び立った。
やはりストナードの血は召喚魔法との相性がいいのだろうか。
召喚魔法はそもそも適性がないと使えないし、信頼を得るのが難しく普通は一体だけにしておく。
それを複数体、しかもどの召喚獣とも高い信頼を築いている。
「あの・・・」
「あ、悪い。知ってはいたが、実際に見るとすごいなと思っただけだ。別にやましい事があって君を見ていた訳じゃない、そこは安心してくれ。」
どうやらルイスを見てぼーっとしていたらしい。
焦って返事したせいで、なんだか逆に怪しい感じになったじゃないか。
「やっぱり、見直すのはやめておくわ。」
王女様からは冷たい視線を浴びせられる。
「・・・まあまあ。」
そして、困った顔したライがセルティア王女をいさめる。
というかこいつ、いつも困り顔だな。・・・大変そう。
そんなことを考えて眺めていたら、空から偵察に行っていた鷹が戻ってきてルイスの腕に止まった。
「どうだったかしら?」
「ここから目的地の水場まで、もうほとんど魔獣はいないみたいなんですけど、・・・厄介なのが一体いるみたいです。」
ルイスの様子からみな何がいるのか察した。
「ハイオークだね?」
「はい。」
そういう意図が無かったのは分かっているが、さっき話題にあげた人物、セルティア王女に皆の視線が集まった。
「なにか言いたいことでも?」
「い、いえ。セルティア様は本日も美しゅうございます。」
「あ、そう。」
驚くほどの笑顔に何か恐怖を感じたのか、耐えられなくなったルーカスが答える。
と言うか、ルーカス。その誤魔化し方なんだよ。意味わからないし、王女さまの返事も適当になってるじゃないか。
「出てしまったのならしょうがない。とりあえず、このまま真っ直ぐ進むか迂回、もしくは別の水場を探すか決めようか。」
「このまま進むに決まってるでしょう。」
堂々と言うセルティア王女に驚き、今度は違う意味で視線を向ける。
「いいかしら?今から別の水場を探して動いたとしても、いい場所は既に他の班がいる可能性が高いだろうし、せっかくここ辺りの魔獣を間引きしたのが無駄になるわよ。それに迂回しても野営地点の周りにハイオークがいるのなら意味ないわ。夜中に出会ってしまったなら、対処も難しくなるしね。それなら、まだ日が出てるうちに潰したほうがいいと思うのだけど?」
「それは、そうだな。」
思っていた以上の正論に、ハイオークとの戦闘を回避しようと考えていたライも揺らぐ。
「それに、別にハイオークが出たら倒せるって言ったのは冗談でもなんでもないわ。このメンバーなら可能よ。」
セルティア王女はそう言い切った。
「セルティア様・・・。」
なぜか感動しているルーカス。
「そうだね。僕たちならやれるよ!」
「わ、私も頑張ります!」
みな急にやる気を出し始める。
これが王族の持つカリスマ性。
やっぱり、すごいな。国王に会ったときも思ったけど、こういう人が国を動かしてるのか・・・。
「そういう事なら俺も賛成だよ。」
「あなたはどうですか?」
セルティア王女の問いで俺に皆の期待の目線が向けられる。
いや、この状況で断れるはずないだろ・・・。
「そうだな、このまま進もうか。」
「フフッ。あなたならそう言うと思っていたわ。」
それは俺に初めて向けられた自然な笑顔だった。
くそ、ちょっとドキッとしてしまったじゃないか。
「で、どうやって戦う?」
俺は誤魔化すようにそう言うと、セルティア王女が地図を広げてルイスに聞く。
「ハイオークがいるのはどの辺りかしら?」
「えーっと、ここ辺りです。」
ルイスがここから北東に少し行った所を指す。
ちなみに、目標の水場はそこからさらに北に少し行った所にある。
「この人数で戦うのなら、もう少し開けた所に誘い出して人数有利を活かして戦いたいわね。」
「なら、ここはどうでしょうか?」
ルーカスが指したのはそのハイオークがいる地点から東に行ったところにある例の遺跡だ。
「確かにそこなら十分な広さがあるわね。」
「いや、そこじゃなくて野営地の方に誘い出そう。」
そこでライが別の意見を出した。
「それはどうしてかしら?」
「ハイオークとの戦闘にどれだけ時間が掛かるか分からない以上、倒したとしても野営地にたどり着いたころには日が落ちてる可能性がある。それに、最近ここの遺跡近くは日が落ちたらアンデット系の魔物が現れたりするって言うし、それならいっそのこと野営地で戦って時間を短縮した方がいい。」
「たしかに、一週間前ぐらいにそんな報告あったわね。」
セルティア王女はライの案に思考を巡らす。
「そうね。ハイオークは野営地のほうへ誘い出しましょう。いいわね、ルーカス。」
「はい。構いません。」
結局、ライの案が採用されルーカスの了承も得たことで作戦が決まった。
よろしければ小説の感想や高評価、ブックマーク登録、レビュー等、よろしくお願いします。
励みになります。




