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ナイト・ラスト  作者: 伊藤 おさむ
第一章
17/32

一年A組 第四班 2

「悪かったな、王女様。」


「おい!セルティア様にその態度はなんだ!」


「ちょっと、ルーカス落ち着いて!」


 俺の態度が気に障ったのかルーカスが突っかかってくるが、ノアがそれを止める。


「はあ・・・。君たちもう少し、仲良くできないかな。」


 ライはこの状況に困り顔だ。


 俺は別に悪気があったわけじゃないんだけどな。ルーカスはよく突っかかってくるし、王女さまも俺には妙に冷たい。


「あ、あの!そろそろ出発しませんか?」


「・・・そうね。」


 ルイスの発言でルーカスも落ち着き、セルティア王女は懐から今回の演習で学園から支給された地図とコンパスを取り出す。


 地図はスタート地点とゴール地点のマークと方角、川や池といった水場の位置が記されている簡易的なものだ。


 地図を皆に見えるように広げると場所を示しながら今日の予定を話す。


「今日はひとまずここの水場を目指して森を進みましょう。」


「確かにそこなら視界も開けてるし、野営するにはもってこいだね。問題はそこに行くまでのルートだけど、どう進む?迂回して向かった方が魔獣の危険は少ないよ。」


「もちろん、迂回なんてせず真っ直ぐ進むわ。このメンバーならこの山の魔獣くらい問題ないはずよ。約一名はどうか知らないけど。」


 こちらに冷たい視線を送るセルティア王女。


 本当に、どうして王女さまはここまで冷たいんだ?


「ハハ・・・。まあ、俺も君の得意な戦い方とか知らないから作戦を組みようがないのも確かだ。良かったら、君のステータス教えてくれないかい?」


「名前はラスト、種族はヒトだ。」


「いや、そこは知ってるから。」


「そうか。職業は魔剣士だ。」


「魔剣士ですか?!それなら、もう少し話題になっててもおかしくないのに。」


 急に前のめりになり会話に参加するノア。


「スキルは魔力吸収だけで魔法も少ししか使えない。やれる事はほとんど剣士と変わらないからな。」


 もちろん全部は言わない。勇者の力使えます!なんて言ったら大問題だ。


 ちなみにもしもの為の職業偽造の指輪を付けて学園には通っているので、バレる心配はほとんどないと考えていいだろう。


「魔力吸収が使えるだけで十分強力ですよ!どうして今まで目立って無かったんでしょう?」


 目立たないようにしてたからだよ。


「そういう事ならノアと一緒に前衛を頼んでいいかい?」


「分かった。」


「ラスト君!よろしくお願いしますね。」


「ああ、よろしく。あと呼び捨てでいいし、ため口で構わない。」


「分かったよ、ラスト。あ、僕のこともノアでいいよ。」


 俺はノアと握手をする。


 あっ、これで友達一人ゲット。


 さっきまでの心配は杞憂だったようだ。


 俺もやろうと思えば友達ぐらい簡単にできるのさ。


「どうしたの?急にドヤ顔なんてして。」


「んんッ。何でもない。気にするな。」


「・・・気色わるいわね。」


「・・・」


 どうやらまた、俺は王女様からの評価を下げてしまったらしい。


「ハハ・・・。二人がうまくいきそうで良かったよ。」


 ライもセルティア王女の態度に困り顔だ。


「とりあえず前衛は問題ないとして、あとは俺とセルティアが真ん中、ルーカスとルイスに後衛を任せていいかな?」


 ライの意見に他のメンバーも首を縦にふる。


「決まりね。なら早く出発しましょう。他の班も出発し始めてるようよ。」


 周りを見ると各班、それぞれのルートで森に入り始めている。


「そうですね!早く着いたほうが評価もいいですし!」


「そうだけど焦りは禁物だよ、ルイスさん。それで何かあったら元も子もないしね。」


「流石にノアは分かってるね。それに、僕たちの班は最短距離を進む予定だから焦らなくても、十分一番を狙えるはずだよ。警戒はしっかりして進もう。」


「はい。分かりました!」


 ルイスは気合を入れるように返事をする。


 そして、各々道具の最終確認をして問題のない事を確認する。


「問題ないわね。なら一年A組第四班、出発するわよ。」


 セルティア王女の号令で、俺たちは森へ入っていく。







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