5話 素朴な疑問
今日も今日とていつも通りのカフェで2人は世間話をしていた。
「へー。丸っぱげこの前の講義でキレたんだ。つかさ、思ったこと言っていい?」
林太郎は里騎太に素朴な疑問をもっていた。
それは……
「なんでお前パワー馬鹿なのにコップ持ててんの?」
「え?」
里騎太と言えば体当たりして公園の水道を根元から折ったり、胡桃を机の上で転がしているだけで割ったり、海でバタフライをしたら波が高くなりすぎて遊泳禁止になったりとするパワー馬鹿。
そんなパワー馬鹿が普通にコーヒーをティーカップで飲んでいる。
「あー、なんて言えばいいかなー。触れてない。」
「は?」
里騎太はえーっとえーっとと悩みながら何とか言葉を振り絞っている。
「持ち手を摘むと割れるんだよね。だから摘めるか摘めない位のギリギリを攻めてる感じ。他のこともそうよ。歩く時は2ミリ浮いてる気持ちで歩いたり、スマホなんてもう風圧で触ってるようなもんだから。よくパワー間違えるんだよね。スマホなんて今月で5代目だよ。まだ14日なのに。」
林太郎は何となくわかった気もするが未だに分かってない気もする。
とりあえず言えることは…
「お前大変なんだな。」
里騎太は分かってくれて嬉しいよ。と言いつつ再度コーヒーを啜った。
「まぁこんなお前が拳を握ったら地球が滅ぶから頼むから勇者だけにはならないでくれ。」