3話つむじ風って作りたくなるよね
今日は俺と里騎太で近くの公園にやって来ていた。
「なぁ、ここでやって大丈夫なの?」
「いざとなったら何とかなるべ。小学校ぶりにチャレンジするわー。」
いつもながらのその怪力でどうなってしまうのか不安で胸が苦しい林太郎と期待に胸を躍らせている里騎太の2人は公園に絵を描きながら作戦会議をしていた。
「別にカメラ回して動画撮る訳でもないんだからそんな気合い入れんなよ。」
「いやいや。昔は何人居ても出来なかったじゃんか。」
それをお前一人でやろうとしてるのが恐ろしいんだが?
力をコントロールできないお前がやると物凄い怖いんだが?
「よーし、やるか。つむじ風作り。」
「マジでこの公園の中グルグル走り回って作る気なん?近隣住民への迷惑考えた?」
しかし里騎太は大丈夫大丈夫と言いながら屈伸をしている。
「いざとなったらつむじ風に体当たりすれば消えるっしょ。」
「いや、普通は体浮くんだよなぁ。」
里騎太は準備運動を終え、今にも走ろうとしている。
里騎太は大きく1歩を踏み出し走り始めた。
1周目が終わる頃には砂場の砂が全て無くなっていた。
2周目が終わる頃にはベンチがカタカタと悲鳴を上げていた。
3周目が終わる頃には遊具が片足立ちをしていた。
4周目が終わる頃には公園に存在する物を全て空へ追いやった。
5周目が始まる前に俺は里騎太を止めた。
つむじ風作りどころか台風を作りそうで怖かった。
いや、というかあと1周したら完成してた。
なんとか里騎太が止まったおかげで日本滅亡の危機は去った。
「これどーする?」
代わりに公園は滅亡されてしまった。
砂場は枯れ、ベンチはひっくり返り、遊具は元の位置から対角線上に置かれていた。
俺たちはベンチだけしれっと直し、その場を去った。
「いやー、楽しかったなー。」
「俺は死を覚悟してたけどな。こんな奴は拳を握ったら地球が滅ぶよ。」