入道雲
今年初の入道雲を見た。
もくもく、もこもこ、私の好きな、雲。
毎年、入道雲で、夏の訪れを感じる。
毎年、毎日、違う形を見せる入道雲。
毎年、毎日、違う出来事がある夏。
今年も夏がやってくるなあ。
今年も夏を過ごすのだなあ。
似たような雲の形はあれども、同じ雲の形に出会うことはないのだな。
似たような夏の日は来れども、同じ夏の日は来ないのだな。
印象深い雲の形があるように、印象深い夏の日がある。
記憶に残らない雲の形があるように、記憶に残らない夏の日がある。
今年はどんな夏を過ごすのかなあ。
入道雲を見て、今年の夏に思いを寄せる。
今年の夏の記憶は残るかなあ。
平凡な入道雲が、私を毎日喜ばせる。
記憶に残らない入道雲が、私に喜びを与えてくれる。
今年の夏の日が始まる。
平凡な夏の日を、私は過ごすだろう。
記憶に残らない夏の日を、私は過ごすだろう。
夏が始まる。
記憶に残る、夏の日に憧れる。
記憶に残る、夏の日をいつか。
記憶に残る、夏の日が来るまで。
今年こそは、記憶に残る夏にする。
今年こそは記憶に残れるように。
平凡な入道雲を見ながら、非凡な願いを思い浮かべる。
思い浮かべた願いは、平凡な入道雲にまぎれて空に消えた。