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正義という名の魔王
「はああアあああぁァぁァァッ!」
穂積の咆哮!拳の連打は勇者を後退りさせるほどに強烈!
ひとつひとつの衝撃が、ダメージを与えることはなくとも彼のペースを崩していく!
「くそォオオオオ!何でチートスキル持ちの俺様がこんなカスごときにィィィィィ!」
そんなことは穂積自身にもわからない。
「てめえェ────ッ!何のスキルだよそれはァァッ!何がてめえをそこまで後押ししてるんだよォオッ!」
気合いか?
アメリカで、車の下敷きになった祖父を助けるためにその車(なんと900kg以上!)を持ち上げたという話がある。
まさにソレか?
火事場の馬鹿力というヤツか?
土壇場に追い詰められて思わぬ力を放出することが出来たのか?
「うらァァァァアアアアアアアッ!!!」
殺す気で来ている勇者に対して馬鹿力が働いているのか?
「この俺様がッ………!!!」
勇者は更に後退した。
殴られまくってその顔は既にボロボロだ。
修復が追い付かないのか。
チートスキルと言うからには修復くらいお手の物だろうに。
「恐怖はもう要らない…明日を生きる希望…元の世界に戻るという意志さえあれば良い…ッ!!」