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敵に楽勝、我に苦戦
「………勇者たちを倒したのは良いけど……」
城は滅茶苦茶。
「半壊かなぁ?もし全壊だったらヤバイよね〜」
下僕もほぼ全滅。
もし、また同じような状況に陥ったら───
「───確実に死ぬよね、今度は」
そう何度も運が味方をしてくれるものではない。
「鍛えるとか何とか………ああ、魔王ってどうやったら強くなれるの?」
異世界。それも魔王。
鍛え方も何も分からない。
先程勝てたのはあくまで運。
あれはゲームのチュートリアル程度に考えておいた方が良い。
「───そう言えば魔王って………」
穂積は思い出した。
先代魔王が自分に魔王の座を託した時、自分の腕に模様が浮かび上がってきたのを。
あの模様に何かヒントがあるのではないか。
例えば、協力な魔法を使えるとか。
「えいッ」
お試し。
腕を振ってみると───
<バギィィァアッ>
半径10mはあろう巨大な衝撃波!
その凄まじいパワーは中心にいる穂積自身をも吹き飛ばしそうな程強烈だ!
「…フオオォォオアァ────ッ、こ…こんなの……使えないイィィ───ッ!!」