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魔王

主人公は生きたまま異世界に飛ばされ、テキトーにやってたら魔王になってしまった女子高生。

敵は死亡して異世界に飛ばされ、運良くチート能力を得た勇者。


魔王になった女子高生は元の世界に帰ることが出来るのか。

死後も異世界で生にすがりつく勇者たちの踏み台にされるのか。

彼女の運命や如何に───



「魔王様ァーーーッ!勇者が仲間を引き連れて城に入り込んできましたァァァーッ!」


はっ、いかん。ついつい居眠りしてしまっていた。

魔王になって間もないとは言え、少々気を抜きすぎていた。


「何ッ!……あーあーあー。何ィ、何よこれ…」


オーブには、勇者御一行が下僕達を千切っては投げ千切っては投げ突き進む映像が流れる。


「我々ではとても相手になりませんッ!」

「ウソォ…マジで言ってる?」


まだ三日だ。魔王になってから三日だ。

三日天下という言葉がある。

明智光秀が頂点に登り詰めて十三日で羽柴秀吉に滅ぼされたことからきているというが。

三日とは。洒落にならん。


………こうなった経緯は、とてもシュールなものだった。


私、八沼 穂積はそこらにいる有象無象の女子高生の一角。2003年4月4日生まれの満16歳 数え年17歳。血液型はAB型。

表面上落ち着いた雰囲気なので渾名は「不動の穂積」。(心の中では言いたい放題)

裏では結構遊び好き。

インターネット掲示板777ちゃんねるでは「ほづみん」として活動している。

趣味はホラー映画観賞。好物は納豆、オクラ、めかぶ等。子供の時に観ていた特撮ヒーロー「ミラクルフォース」のミラクルレッドがカッコ良かったので好きな色は赤。

小中高と美術部に所属。ビエンナーレに出展することを夢見ている。(只今絶賛スランプ中!)

巷の女子高生たちの中で流行っているゴミの擬人化アニメ「ゴ民」にハマっている。推しは粗大ゴミの擬人化、オオガタくん。頼れる身長2m級ゴ民。(冷蔵庫のように冷たい言葉で女子高生のハートを鷲掴みだ!)

同じクラスの不良、平塚 龍子(性別:卍)とは犬猿の仲。

しかし妄想力がカンストしている男子たちの間では龍子と穂積の百合漫画なるものが流布され…かけた。

勿論、製作段階で龍子が阻止した。

頼まれたら何となく「うんうん」と頷いてしまい、後から後悔することが多い。


先に結論から言うと、断れない性格だから魔王になってしまったということだ。


ある日私は死んでもないのにこのファンタジー世界に飛ばされてしまった。

でもまあ別に元の世界への未練なんてものはないので、この世界で生きていく計画を着々と進めていた。

すると、現れたのだ。

ボコボコにされて威厳もへったくれもなくなった魔王みたいなのが。ゴキブリみたいに地面を這いながら。

だから一応訊いてみた。

「何してらっしゃるの?」

「勇者が…勇者が…」

「いや、何してるのか訊いてるんだけど…。

勇者がどーこーじゃなくてさ。あと、勇者って何?

ここ、そんなハードモードな世界なの?争いも何もない平和な世界だと思ってたけど」


「に…逃げておるのだ。勇者から…」

「何で逃げてるの?」

「世界征服しようとしておったら…城に…攻め込んで来おってのぅ…。とどめ刺される寸前で…」

「敵前逃亡したわけ?そういうことなら頑張ってー」

「お前に任せたい」

「うんうん」

「…よし、任せた」

「………あれ?ちょっと待って、待って、ウソでしょ?」

「今『うんうん』と言ったから…契約成立じゃ」

「うわぁ、何やってくれてんの?腕に何か騒々しい模様が浮かび上がってきたんだけど」

「つまりお前は…今から…魔王なのじゃ…」

「はぁッ!?」


…要するに、いつものくせでテキトーに頷いてしまったせいで魔王になってしまったというわけだ。

とは言え、別に仕事があるわけでもないので比較的楽にやっていた。

今の今までは。

一度世界征服に失敗しただけあって下僕達の士気も下がっていたし。


「何、勇者どもは私に恨みでもあんの…?よりにもよってこんな時に攻め込んで来る?」

「そりゃ、今が攻め時だからな」

「うわ、来たし」


気づくと勇者御一行がそこにいた。


「転生して四日で二回も魔王討伐なんて…英四郎サマ素敵ですぅー」

「ハハハハ!何てことはないぜ!」


幼女っぽい魔法使いが勇者を褒めると、勇者はニヤニヤしながら幼女の頬を撫でた。


「うわぁ…」


思わずドン引きした。

当然勇者にバレた。


「オイ!今ドン引きしたな!?」

「したよ、しましたよ。ロリコン勇者にドン引きしましたよ」

「なッ、誰がロリコンだと!?オイ、お前達!皆でこの魔王をブチ殺すぞ!」


御一行団結。

こんな茶番のために下僕達は死んでいったのか…。


いつの間にか報告に来た下僕もいなくなってるし。

やるしかない。

勇者を倒せるのは私しかいない。

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