5話
5話です
女の子はしばらく抱きついたまま泣き続け、落ち着いた頃に頬を赤らめながらお礼を言ってきた。
「あの、助けてくれてありがとうございます!私、ノーラって言います!」
「助けられてよかったよ。ボクはフィーネ、よろしくね。」
軽く自己紹介をした後に聞きたかったことを口にする。
「ノーラちゃんはここら辺に住んでるの?」
「はい、ここから少し離れたところにある村に住んでます!あの、もし良かったら私のお家に来ませんか?ちゃんとお礼もしたいので…」
やった!
村の住人と行けば怪しまれなくて済むだろうし、村に着くまでにノーラちゃんにこの世界のことを色々と教えてもらえば一石二鳥だ!
「それは嬉しい!実は、持ってるものがこの服しかないし困ってたんだよね。」
「えぇ!そうだったんですか!それなら早く行きましょう!」
ノーラちゃんはそう言うと、籠を背負ってからボクの手を掴んで村のある方へと歩き始めた。
〜〜〜〜〜
歩きながら話をしていると色々なことが分かった。
まず、なんでノーラちゃんが一人であんなところにいたかと言うと、どうやら家のお手伝いで食材や薬草の類を取りに森の浅瀬に行った帰りだったらしい。
それからこの世界についても聞いた。
今いるところがシスソラール王国という国で、村から馬車で1日かけたところに大きな街があるらしい。
そして通貨は銅貨、銀貨、金貨、白金貨の四種類で銀貨は銅貨10枚分の価値で、金貨は銀貨10枚分の価値、白金貨は金貨10枚分の価値があるけど、平民は普通にしてたら白金貨なんてものは見ることがないそうだ。
一般常識ばかり聞いたから不思議そうにしてたけど、ボクがかなり遠いところから来て自分の知識とあってるか確認したかったと言ったら納得していた。
森の中で色々と考えて置いてよかった!
「それでね!昨日から村に冒険者の人たちが来てるの!」
ノーラちゃんはボクが敬語を止めてと言ったら渋々頷いてくれたけどだいぶ慣れて来たようだ。
それにしても冒険者だって?
すごい異世界っぽい言葉が出て来たぞ?
「冒険者ってあの魔物とかを討伐したりする人たちだよね?」
「うん!なんか、森の調査をするんだってー」
森の調査?
特に変な所とかはなかったと思うけど…
「あ、村が見えて来たよ!」
ノーラちゃんのその声を聞いて思考を止めると確かに村が見えた。
村は木の柵で囲まれていて、出入り口らしき場所には人が一人立っている。
顔を認識できる程度の距離まで近づくとノーラちゃんが声をかけた。
「カルロさん、ただいま!」
「おかえりノーラちゃん。隣の人は誰だい?」
カルロという名の青年はこちらをちらりと見ると、少し頬を赤くしながらノーラちゃんにそう尋ねた。
「この人はフィーネさん!私をゴブリンから助けてくれたの!」
「えぇ!?ノーラちゃんゴブリンに襲われたの!?」
まぁそりゃ驚くよね。
助かったのも偶然だし。
「うん、でもフィーネさんに助けてもらったから怪我もしてないよ!」
「本当かい?でもこの辺りにゴブリンなんてそうそう出たことないのに、討伐隊を組むか、冒険者の方々に駆除してもらうかしなきゃな。」
カルロは先ほどとは違う真剣な表情をしながらそう呟いた。
こういう人が門番だと安心できそうだな。
「フィーネさん、ノーラちゃんを助けてくれてありがとうございます。ここは何もありませんがゆっくりして行ってくださいね。」
「ボクは当たり前のことをしただけだよ。村にいる間はよろしくね」
握手をするために手を差し伸べると、先ほどの真剣な表情が嘘みたいに顔を真っ赤にして少しニヤニヤしながら手を握って来た。
前言撤回するべきかもしれない…
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ですがやはり感想がつきせんね、感想を書くのはハードルが高いのでしょうか?
自分はもっと気軽になんでも聞いてくれて構わないのですが(限度は有りです)
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