1話
のんびりと更新していこうと思います。
ぴしりと何かが割れる音とともに、真っ暗だった視界にぼんやりとした淡い光が差し込んだ。
隙間から外を見ようとするが何も見えない。
もっと隙間を広げようとしたが、体が何かに縛られているように動かない上に声を上げることすら出来ない。幸いにも体を揺することはできるらしいので揺れ続けていると、ぴしりぴしりと周りの何かが割れていく。
長い時間体を揺すり続けていると、バリンッという音とともに視界がまばゆい光に覆われた。
しばらくすると光が収まってきたので、目を開けるとそこは洞窟のような見た目をしていた。
「…ここ、どこ?」
正直ここがどこで、何でここに居るのかも分からない。
それどころかここに来る前までの記憶すら怪しい。
必死になって記憶を掘り起こそうとしていると、ふと思い出したことがあった。
それは、自称神のおっさんが「あ、お前のこと異世界に転生させるからよろしくー」とTVゲームらしきもので遊びながら、コンビニに買い物を頼むような気楽さで言ってきたことだ。
「もしも、あのおっさんのせいだとしたら絶対に許さない…」
心のメモにあのおっさんは殺すと書き加えてから、他に何か思い出せないかと唸る。
「そういえば、魔法がどうとかステータスがどうとか言っていたような…」
まるでゲームみたいな言葉だけど、あのおっさんが言ってたことが本当ならここは異世界だ。ステータスとかがあるのかも知れない。
あとで困るかもしれないし、こういう事は早いうちに確認をしておいた方がいい。
「…ステータス」
ぼそりと呟いたら、目の前に文字の書かれている半透明な板が現れた。
これがステータスなのかな?
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名前:フィーネ
種族:吸血鬼(魔王種)
ユニークスキル:【常闇の王】
種族スキル:【血液魔法】【高速再生】【霧化】
スキル:【魔力超回復】【格闘術】【魔纏】【日光耐性】【痛覚遮断】
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案外簡単な作りをしてるんだな。
おっと、今は内容の確認の方が重要だ。
どれどれ…
いや待て、おかしい。
記憶があやふやで自分の名前は思い出せないけど、絶対にフィーネなんて外国人っぽい名前じゃないことは確かだ。
それに、種族が吸血鬼って!?それに魔王!?
駄目だ、頭がこんがらがってきた。
一度休憩しよう…
近くにあった、なるべくゴツゴツしていない岩に腰掛け一息つく。
「ひとまず吸血鬼と魔王については置いておこう。それよりも、ここが何処で人里からどれくらい離れているかだ。」
うん、声に出しながら考えると冷静になれる気がする。
「まずはここが何処かって話だけど…」
洞窟ってことしか今は分からないな。
とりあえず今後のことが決定するまではここを動かない方がいいな、この世界が異世界で魔法などがあるなら外がどれほど危険か分からないし。
「次は人里からどれくらい離れてるかって話なんだけど…」
これは実際に外に出てみないと分からないよね。
あれ、これ詰んでない?
いやいや、待て、落ち着け。深呼吸だ。
ふぅ、少し落ち着いた…
よし、改めてステータスを見てみよう。
スキルとかはまだ確認してないし、案外強いかもしれない。
だってほら、吸血鬼で魔王だし?
誤字脱字等がありましたらご報告御願い致します。
感想待ってます♪( ´θ`)ノ