異世界配送
「いつも悪いね。重かろう酒樽?」
「いいですよ。オレにはコイツがありますから」
オレにはこの大きな原動機付き台車がある。配送作業が前より楽になった。いままで担いで運んできてたから大分助かっている。
まだ作業があるのでコイツに乗り込む。
「次いこう、喋る台車!!」
「ワシはトラックなんだけど……それにしても道が荒いよなこの辺」
「そりゃ、お前がいた世界をみたいに石畳に舗装なんかされてないからな」
「……石畳じゃなくてアスファルトなんだけど。いいや、行くぞ!!」
「お前の原動機は相変わらずうるさいなっ!!」
「仕方ないだろ……エンジン大きいんだからよ」
そんなこと言いつつコイツと次の配送先に向かう。
コイツ、喋る台車。なんて言ったっけ……。あぁ、トラックだっけか。コイツはある日突然現れたんだよな。喋るし、奇妙なカタチだし。だけど、荷物を運ぶにはちょうどいい。
そんなコイツは別の世界からきたそうだ。別の世界があるとは最初思いもしなかったし、信用もできない。だけどコイツは事故で気づいたらここにいて、身寄りがない。それを聞いてオレはかわいそうに思い、オレは預かる事にする。そのついでに、オレのところではたらいてもらうことにしている。
今日も一日コイツと配送に向かう、どこまでも。