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BAKEMONOz  作者: 本神 竜真
BAKEMONOz
3/22

3,母の想い

「結局、Kも外したな。」

若い警官が言った。少し笑いながら。

「いやでもさ、時間だけじゃん。それより、なんでJOKERがサン・マルコを狙ったかだろ。JOKERは、違法に手に入れた金しか盗まないんじゃなかったのかよ。」

Kという人物をかばうようにもう一人の男が言った。その瞬間、空気が凍った。

「いや、金盗まれてないじゃん。もしかして、偽物のJOKERだったとか。」

若い警官が冗談半分で言うと、場の空気が少し良くなった。

「それ以前に、なんでJOKERのことをここで話し合うんだよ。俺は納得してないからな。」少し年配の警官が納得いかない様子で言った。

「いや、それは…」

それ以上、声にならなかった。


ここは、「クレイジアン対策秘密本部」。なぜJOKERのことを話し合ってるかというと、数日前に送られてきた手紙にあることが書いてあったからだ。

「彼はクレイジアンです。」

さすがに皆、驚いた。が、世界的名探偵の言うことを信じれないことはなかった。確かに、並外れた身体能力の持ち主だ。クレイジアンなのかもしれない、彼らは、それを信じ、ここでJOKER対策をするようになった。


「ブチッ」この部屋にあった、全てのPCが立ちあがった。そして、「K」の文字が。

「こんにちは、明日から捜査に参加するKです。前も言ったでしょ。JOKERは、クレイジアンだと。ここで話し合う理由は、それだけでいいはずです。では、本題に入ります。松岡さん、先ほど「なんで、サン・マルコを狙ったのか」とか言ってましたね。なぜか知りたいですか?」

「何処にいる、K!姿をみせろ!」

警官の中の一人が叫んだ。

「23区内にいますよ。姿を見せることは出来ません。無駄話はこのへんにして、本題に入ります。サン・マルコ大聖堂には、クレイジアンの秘密が、隠されていました。JOKERは、それを盗んだのでしょう。これでJOKERがクレイジアンだとわかっていただけましたか?しかし、JOKERは、しばらく現れないでしょう。その理由はまた今度。ここからは、クレイジアンのことです。私は誰がクレイジアンか見分けがつきます。」

「どうやって、見分けをつける。」

今度は、別の警官がKに話しかけた。

「勘です。問題点は、そこです。死んでいないと、人間か、クレイジアンかの見分けがつかない。しかし、私ならわかります。ただの勘ですが、98パーセントの確率で当たります。ニューヨークでは、153匹のクレイジアンを処分しました。しかし、このことに対してクレイジアンたちは、反撃してきました。クレイジアンは、普段はおとなしい性格なのですが、仲間に何かがあると人格が変わったように暴れ出します。そして、多くの犠牲が出ました。なので、多少の犠牲は覚悟しておいてください。近いうちに、反乱があるでしょう。では、さようなら。」

「おい、K!まて!」

若い警官がそう叫んだときには、もう画面から「K」の文字は消えていた。


「おい、村瀬どこ行ってたんだ」

男は少し怒っていた。

「あ、ちょっと仕事に」

村瀬は、少し申し訳なさそうに言った

「そうか。出かけるぞ、ついてこい。」

男は、いつもより強い口調でそう言った。

「あ、はい。どこにですか」

少し、間が空いた。そして、男の口が開いた。

「Kをつぶしに行く。」

「殺すんですか」

悲しそうに、村瀬は言った。

「人を殺さないのがJOKERなんじゃないんですか!」

今まで、聞いたことのないような、声だった。発した本人が、一番驚いている。

「どーすんの、J。村瀬も、こう言ってるんだし。ここで殺したら、あいつらといっしょだよ。」

その瞬間、男の頭の中には、一人の女性の姿が浮かんだ。


「Jony、よく聞いて。明日から、あなたは一人で生きていくの。なので、今から大切な話をします。」

「なんで?母さんは?」

幼いころのJonyが訊ねる。

「お母さんは、いなくなるの。あなたなら、大丈夫。」

Jonyの母は、優しく言った。

「どこに行くの?」

「ずっと遠いところ。ねえ、聞いてJony。これからあなたにはたくさん、つらいことや悲しいことが起こります。でもね、それに対して怒ったり、やり返したりしてはいけません。」

「なんで?」

「怒ったって何も変わりません。やり返したら、彼らと同じになってしまいます。だから、耐えてください。耐えて、耐えて、耐え抜いた先に、必ず光が待っています。だから、その光を信じてください。」


男は気持ちを切り替え、こう言った。

「わかったよ。じゃあ、盗みに行こう。」

「えっ!」

村瀬は、ポカーンとしている。男は、続けた。

「Kが松本さんを殺した理由は、二つある。ひとつは、自分の情報が漏れるのを防ぐため。もうひとつは、クレイジアンの捜査に集中したいから。」

「なんで、松本さんを殺すことで、集中できるようになるの?」

静は、さっぱりわからないという顔をしていた。

「俺が盗みに出るのをやめると思ったからだよ。やつは、俺と松本さんの仲がいいのを知っていた。だからわざわざ、調査に参加する前日に殺したんだろう。俺が立ち直れなくなるとでも思ったか、K。日時だが、今回は未定だ。いま日本ではクレイジアンが大量に殺されている。クレイジアンは、仲間の死にすごく敏感だ。だから、今日か明日にはクレイジアンが反乱を起こす。そこが狙い目だ。」

「天才ですね。Kも頭いいですけど。」

村瀬は、茶化すように男をほめた。

「爺に伝えてくる。」

静は、奥の部屋へ行った。

「おう。じゃあ、行くか。」


「Kが、JAPANに逃げたってよ。」

長身の男が、もう一人の男に話しかける。

「ああ、しかもそこでまた殺ったらしい。JAPANへ行くか、Alex・Jackson?」

Alex・Jacksonと呼ばれた男は答えた。

「JAPANには怪盗JOKERという、Japanese Ninjaがいるらしい。それも、人間じゃない、クレイジアンだ。おもしろそうだし、行ってみるか。もう一度、Kをつぶしに。」


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