1,偽の偽
「なんだよ、この変なツイート。兄貴はこんなツイートしねえよ!」
そう言って男は携帯をソファーに投げた。携帯には、JOKERのツイート画面が映っていた。
「いや、僕の携帯なんだけど。投げないでくれます?」
アモンは半ギレで携帯を拾った。
「こいつから盗もうぜ、JOKERの名を。俺が兄貴の二代目だからな、JOKERの名は誰にも渡さねえよ。」
男の言葉にその場にいた全員が動き出す。美来も同時に泣き出した。陽菜子はそれをあやかしに行く。ほかの男らは、黒い服を羽織った。
「今からなら間に合うな、ヒサビシ製造。」
「これが貴方に出す、最後の指令です。」
AIはそう言った。
「まさか、JOKERにハッキングされたか?」
KはAIに向って叫んだ。
「されていませんよ。貴方がJOKERを名乗れている時点で、JOKERはまだ目覚めていません。これは私です。」
AIは続けた。
「貴方は死にます。死なない方法が一つ。JOKERになりすまし、久微視を殺す。それだけです。」
俊介のイヤホンから声がする。
「もうすぐ始まる、QUEENの話が。」
「了解。全部終わったら聞くわ。」
俊介はそれだけ言って、偽JOKER探しを続けた。だが、どこを回っても誰もいなかった。
「まさか…」
アモンも、もう一人の男も同じことを考えていた。
「久微視社長の自宅!」
「悪いな、社長。あんたを殺さなきゃならない。」
ひょっとこの面をかぶった男の銃が社長に突きつけられる。
「怪盗JOKERは殺さないんじゃないのか…」
久微視の声は震えていた。
「表面上ではな。」
ひょっとこがそう言ったとき、一機のドローンが飛んできた。そのドローンは二人の周りを回転し、銃を吹き飛ばした。
「なんだ!」
ひょっとこが向いた先には、コントローラーを持った男が立っていた。そしてその男も、同じ面をかぶっていた。
「JOKERは俺一人で十分だ。」
そう言って、もう一度コントローラーを操作した。「ブルルルル」ドローンは浮かび上がり、偽JOKERの方へ飛んでいく。偽JOKERがドローンをかわそうとしたとき、大きな銃声が響いた。その銃弾は、偽JOKERの後ろにあった時計をとらえた。「パリン」偽JOKERが割れた時計に目をやった一瞬のうちに、ドローンが面を吹き飛ばした。ひょっとこの面が地面を擦っていく。その面を、銃を持ったアモンが拾う。
「ばれたか…生きてたんですね、JOKERさん。」
偽JOKERは顔を上げた。頬には、ドローンの羽で切れた傷が血を流していた。
「おまえは…村瀬…」
俊介の頭の中には、一年前に見た男の姿が映った。そして、その男と目の前にいる男が重なる。
「村瀬ではないですけど。Kです。」
Kがそう言った瞬間、男はコントローラーを動かした。そしてコントローラーを投げ、Kの方へ走って行った。
「おまえが…おまえが、静と爺を!」
男はナイフを2本取り出し、一本をKに向かって投げた。
「やめろ!怪盗JOKERはそんなことしない!」
彼には、俊介とアモンの声など聞こえなかった。そのまま走り続けた。ナイフも飛んでいく。Kは飛んできたナイフをしゃがんでかわした。しかし、ナイフはKに当てるために投げられたものではなかった。「ブルルルル」ナイフをかわしたところで初めて気づいた。後ろからドローンが襲ってきていることに。そして、そのドローンから手が生え、ナイフをキャッチした。前を向くと、男がすぐ近くまで来ていた。
「バキュン!」
銃口が煙を上げている。しかし、その銃はアモンの持っている銃ではなかった。
「久微視…」
撃たれた男はそう言って倒れた。撃った久微視は白い仮面をつけてこう言った。
「私が本物のKです。」
Kが何かを言おうとしてるが言葉にならない。
「じゃあ、こいつは…」
まだ血で汚れていないナイフを持った男が問いた。
「偽物の偽物。」
そのとき、俊介のイヤホンから声がした。
「QUEENがクレイジアン絶滅計画に全面的に参加するって。」




