シスコンとブラコン
俺の名は不動仁王。
その名の通り不動明王だ。ちなみに星野天使の実兄でもある。
明王の仕事は怒りを以ってガキ(人間)共を正しき道へ導くこと。
今日も俺は私欲にまみれたガキ共を往生させて殺る。
「お兄ちゃん、ひとりの異性として、愛してる」
「ぼくもだよ」
街中を歩いていると、そのような会話が聞こえてきた。
会話の内容から察するに、この男女のガキ共は兄弟なのだろう。
だが、「異性として愛している」とはどういう意味だ?
気になった俺はそのガキ共の前に瞬間移動で現れ告げた。
「お前達は兄妹か?」
「「そうですが……」」
「俺はこの世のガキ共を怒りを以って往生させる不動仁王だ」
「中二病ですか?」
「訳のわからない事を抜かすな、ガキ」
一睨みすると、ふたりは蛇に睨まれた蛙のようにすくみ上った。
なぜ近頃のガキ共はこれほどまでに俺の顔を怖がるのかという疑問はさておき、奴らに気になったことを問いかける。
「お前達は兄妹という関係にも関わらず、なぜ互いを愛しあう?」
「それは、俺がシスコンで妹がブラコンだからです」
男のガキが発した謎の単語、シスコンにブラコン。
恐らくは最近生み出された流行語か何かだろう。
察した俺はふたりに金縛りをかけ硬直状態にさせ逃げられないようにし、弟である星野にテレパシーで、その単語の意味を聞いた。
『ブラコンはブラザーコンプレックス、シスコンはシスターコンプレックスの略語です。簡単に説明すれば、愛着が強くなりすぎるあまり、兄弟でありながら互いに惹かれあう禁断の関係です』
『なるほどな』
テレパシーをやめてふたりのガキ共に向き直る。
「お前達は異性との付き合った経験がないから、兄弟を愛するようになった……
つまり、本物の愛を知らぬガキ共の偽りの恋愛感情にすぎん!」
奴らの金縛りを解除すると、ふたりは蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
だが、この俺からは逃れられはしない。ふたりを抱え上げ、上空に放り投げる。
「往生させて殺る。地獄で己の心を鍛え現世に戻ってくるがいい。
不動倶利伽羅落地!!」
多少の愛着があるのがガキ共というものだが、その愛着も度が過ぎると病気になってしまう。
俺にはその愛着を抱く感情がよくわからんが、それがガキ共というものだ。




