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満月

ぼくの名前は星野天使ほしのてんし

その名の通り本物の天使です。それ以外の何者でもありません。

天使の仕事は人を助けること。

困った人を助けるため、今日もぼくは空を飛んでいます。


この日、上空を飛んでいますと、サラリーマン風の男性がトボトボと背中を丸めて歩いています。これは何か悲しいことがあるというサインですので、ぼくは急降下しておじさんにききました。

「顔色が優れないようですが、どうかしたんですか?」

ぼくの声に彼はフッと顔を上げたかと思うと、盛大なため息を吐いて、

「風前の灯だよ」

「何がですか」

「何がって、きみ……私の髪の毛だよ」

言われてみて初めて気づいたのですが、彼の頭はお月様もびっくりするほど禿げており、ピカピカと光り輝いています。

「私はこの頭部のせいで会社の皆からバカにされるんだ。カツラをつけようにもこの頭部を晒た後ではバレバレだから、恥ずかしくてつけられないんだよ」

「よろしければ、ぼくが助けてあげましょうか?」

「坊や、きみは一体何者なのかね?」

「ぼくは天使です。おじさんの髪を生やしてあげましょう」

翌日、ぼくの天使の力が効いたのかおじさんの頭に綺麗な黒髪が生えてきました。

「いやぁ、ありがとう。これで自信が湧いてきたよ」

「お礼なんて結構ですよ。困っている人を助けるのがぼくの役目ですから」

ところがそれから一週間ほどたって再び会ってみますと、彼は変わり果てていました。髪が物凄い勢いで伸びており、シーズーも顔負けの長髪になってしまったのです。

「髪がないのも困るけど、ありすぎるのも困るよ」

「元に戻った方がいいですか」

「そうしてくれると助かるよ」

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