悪魔に異世界へ転生を願ったら
俺は目黒怨。
種族は悪魔で職業は殺し屋。
怨みのある奴俺が代わりに晴らして殺ろう。
金は一銭もいらんが、代わりに怨みをいただくぜ。
先ほどから俺に必死の顔で頼んでいるひとりのガキ。
学生服を着ているのから推測するに中学生か高校生なのだろう。
「あんた、怨んでいる相手を無料で消してくれるんだってな?」
「そうだ。お前の怨みの味は悪くはない。本来ならば依頼を引き受けてもいいんだがな」
「じゃあなんで消してくれないんだ!」
「お前の動機が足りないからだ」
奴が消したい相手は自分自身。なぜそこまで自分を消したいかというと、なんでも異世界に転生がしたいからだそうだ。
「俺は学校ではモブキャラだ。ブサイクで女子からの人気はゼロ、勉強も運動もできないダメなやつだ。だから異世界に行って最強チート能力を貰ってハーレム作ってウハウハしてーんだよ!!」
奴の叫びを聞いた俺は笑みを浮かべる。
「そんなにお前は転生したいのか」
「当然だろ」
「後悔してもしらんぞ」
「後悔なんかするかよ」
「仕方ない」
俺は奴の押しの強さに負け、奴を原子分解して消し、奴の願いを組み入れつつ異世界に転生してやった。1か月後、俺は異世界へ飛び、ゴキブリに転生した奴に会いに行った。
「調子はどうだ?」
「頼む、人間に生まれ変わらせてくれ!」
「嫌だね。お前は異世界に転生し、不死身で最強の巨大ゴキブリとなりゴキブリのハーレムを作ることができた。それの何の不満があるんだ?」
「不満だらけだ、ゴキブリに転生したいなんて一言も言ってねーぞ!」
「それは言わなかったお前が悪い。現状に満足せず、そのままの自分を磨いて魅力を高めることを捨てたお前にぴったりの末路だ」