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物足りない
俺は目黒怨。
種族は悪魔で職業は殺し屋。
怨みのある奴俺が代わりに晴らして殺ろう。
金は一銭もいらんが、代わりに怨みをいただくぜ。
近頃、依頼が全くない。
怨みの感情を持つ人間がいないため、俺の体調は悪かった。
寒気と震えが止まらない。
「怨みの感情が足りねぇ……これはやべぇぞ……」
怨みを食えない事を怨みつつ、この状況をどうにかするべく、外に出た。
どうすれば怨みがでるかと考えた俺は、公園に行き、ガキが作っている砂の山を踏みつぶした。
「うわああああああああんっ」
幼稚園に通うか通わないかのガキは、いきなり火がついたかのように泣きだした。
よし、これで美味い怨みが手に入るはずだ。
けれど、手に入ったのはガキの母親からの強烈なビンタだけだった。
「仕方ねぇ、こうなれば――」
俺は飢えを満たすべくコンビニに向かい、握り飯を買って食った。
「怨みじゃなくても腹は満たされるが、物足りないな」