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無職疑惑
俺は目黒怨。
種族は悪魔で職業は殺し屋。
怨みのある奴俺が代わりに晴らして殺ろう。
金は一銭もいらんが、代わりに怨みをいただくぜ。
「どうすればいいだろうか」
俺は腕組をして唸る。
近頃俺の住んでいるアパートの近隣住民から、俺の無職疑惑が発生し始めている。
悪魔である俺にとっては不名誉この上ない話だ。
なんとしてもこの疑惑を晴らさねば……
あれこれ考えたがこれという名案がなかなか浮かんでこない。
このままではこの俺に無職という烙印が押されてしまうことになり、結果として悪魔である誇りを自分で傷つけてしまう。それだけは何としても避けなければならない。夜中まで考えると、夜型なだけあって昼間に比べて頭が次第に冴えてきた。
ここで俺は、素晴らしい名案を思い付いたのだ。
翌日、アパートを清掃しているおばさんに出くわした。
「目黒さん、お仕事見つかった?」
この問いを俺は待っていた。俺はできる限り優しい顔で微笑み、こう返した。
「実は俺、学生なんですよ」