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オルゴールと銀の弾丸  作者: 緑野くま
第四章 狂騒闇夜 …そして
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傍観者

何処かもわからない、とある場所。

そこに一人、少年がいた。

少年の前には、魔法陣が映っている。少年は、ただじっと、魔法陣を見つめていた。

そして、口を開いた。

「あいつ…はしゃいでいるな…。」

何かに呆れるものだった。その何かは…少年にしか分からない。そして更に、ただ一人で喋り続けた。

「ふざけやがって…あいつ、あの女殺すつもりじゃないだろうな…。」

険しい表情だった。目つきも鋭くなっている。

そんな時だった、少年は背後に誰かがいるのに気付いた。振り返ると、そこには長身の男がいた。だが、少年はこの男の事は知っていた。

「『Vampire』…!?お前、探し物は見つかったのか?」

少年がそう訊くと、『Vampire』と呼ばれた男は、「いいえ。」と残念そうに首を横に振った。

「そうか。それなら、しょうがないか。」

「…ところで、貴殿は一体何を見ている?」

今度は『Vampire』が質問してきた。少年は手招きして、魔法陣を見せた。

「これは…『Werewolf』か?」

「そうだよ。困ったもんだぜ。手下もそれなりにしか送り付けていないくせに…。」

少年はため息を吐いた。『Vampire』は少年を見てから、再び魔法陣に目を移した。

すると…『Vampire』の表情が、驚愕に満ちたものへと変わっていく。少年も彼の異変に気付いた様だ。

「馬鹿な…これは…!!」

『Vampire』はそうつぶやいた後、その場から突然姿を消した。少年は呆気にとられる。

「なんだあいつ。また行っちまった。…つうか、何を見たんだ?」

少年は魔法陣を、今度はよく見てみた。その時だ。少年はある真実を見た。

「な…フ、フハハハハハ!!」

少年は笑い声をあげた。そして、笑いを含んだ声でこうつぶやく。

「おいおい…嘘だろ…。こんな事あるかよ…。」

そして、少年は魔法陣を閉じると、また口を開いた。

「成程。…よし、決めた。倉岡咲子をここに呼ぶか。なんたって俺は、『オルヴェア・キアラン』なんだからな。」


少年は、笑みを浮かべた。

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