Elfの心層
全く、してやられたわ。
さっきも声に出して言ったけど、あんなガキ共に負けるなんて思ってもいなかった。もう少し本気出した方が良かったかしら。魔法でも使って。
でも、結果は結果ね。今はこうやって大人しくしなければいけないのだから。もし『あの方』に会って負けたなんて言ったら、「自然王の名も廃れたな。」なんて大笑いされると思うわ。それだけが恥ずかしい限りな訳だし。
それにしても…あの行動には驚かされた。あの弟くん…死ぬ気でやった事のようにしか思えなかったわ。自分の身なんてどうでもいいとでも…?あの年にしては考えられないわね。
でも…もっと驚かされたのは、この咲子とかいう少女。私を殺しにかかった理由が、弟くんの仇…(結局、生きてたけど)。そして、あの変な建物に向かっている途中でも、襲い掛かる魔物に容赦無かったような気がしたわ。
あのセリフ、「もちろんだよ。私達が、お前達を守ってみせる。」…なんて、最初はイタいかクサいものにしか思えなかったけど、本当にやり通せるとはね…。
他の人間も同様だったけど、やはりあの姉弟…特に咲子は、あなどらない方が良いかも。
『あの方』が前に言ってたこと…「人間なんていうのは所詮、私利私欲の塊だ。目的の為ならば容赦がない。」って言ってた。…けど、この子の場合は、『他人を守る為』に行動を成している。こういうのを、お人好しって言うのかしらね。
…考えてみれば、この子と一緒にいるのも悪くない。むしろ何か衝撃的な事も起きそうな予感がするわ。もしもの事があったら、私が力を貸してあげるし。
いや待て、衝撃的な事ならすでに起きているわね。アイツの魔力を感じる…。行動し始めたか。
さて、次に貴女はどんな事をするのかしら?楽しみね。




