無慈悲な神は、どうしても俺をBADENDにしたがる。
新キャラ登場です!
皆さんにいいようにおもってくれればいいなと思います。
次話もできたらよんでいただけると嬉しいです!
感想など気軽にどうぞ。まっていますb
俺、榊龍紀は絶叫した。
ああ、そろそろみんなこいつ名前なんだったかな~? って思ってる
ころかと思って俺の悲しい親切心で名前を教えておいた。偉いと思わない?
って、俺誰に名前説明してんだよ・・・。俺、友達いないし説明する意味ないな。
小中学生の頃、みんな俺の榊って名前を難しくて読めないからって大抵決まって
「お前」とか「これ」とか「小春ちゃんの兄さん」などでよばれていた。
高校生になり空気になることに成功して名前など呼ばれることがなかったが、
今日、なにげなく春野が俺の名前を「榊くん」と呼んできたので高校生活初、
俺の名前を同じ学校の生徒に呼ばれたのだ。2ヶ月たって。
あ、そろそろ3ヶ月だ。すごい、こんなの俺くらいだろう。なんか誇らしくなった。
ついでに涙もでてきた。いや、この涙はこのことだけの涙じゃないな・・・。
そう、さっきたまたま角でぶつかったクラスメイト、山本幸村
そいつに俺の名前を呼ばれた、耳を疑った。クラスで空気な俺の名前を知っている?
しゃべったこともないのに・・・。なぜ?俺とコイツはクラスメイトだが、俺はぼっちだ。
もちろん話をしたことがなかった。会話ができない俺、低スペック。
なぜクラスの奴らの名前を覚える気のない俺がこいつを覚えていたのか。簡単だ。
こいつ、超目立つ。てかうるさい。話は変わるがたぶん大抵の学校にはあるだろう、
俺のクラスにいろいろな集団、グループがあるのだ。そのグループの種類は色々。
男女混合のリア充グループ。暑苦しい男グループ。陰口ばっかの女子グループ。
キモ女子グループ。オタクグループ。地味な奴らグループ。そして、
一人ぼっちの俺だ。・・・。なにかと今日は、涙がでる。よく考えたら
俺みたいな学校で地味なやつでも地味なやつどうしで喋ってるな。
学校で喋ってないの俺だけ? う、嘘だろ? い、いや、他のクラスを探せば
俺みたいなクラスで誰とも喋ってない奴はいる。春野とかさ。
山本幸村は基本は俺の、いや、俺がいつか抹消すべきグループ、
リア充グループにいる。つまり俺の敵。だが奴は少しちがう。あいつは、
暑苦しいグループ、オタクグループにも普通にはいれるからだ。
もちろん皆、グループ関係なくしゃべっているが、基本はグループでの活動を
主にしている。が、奴はのどのグループにも「入れる」のだ。
しゃべるだけじゃない入る。こいつのスペックの高いとこは、
「どのグループに入っていても自然」なところだ。どのグループにいても
変わらず、明るく親しみやすい山本幸村である。そして恥知らず。
いつも明るいがたまにテンションが高い時。恥を捨てる。
授業中の静かなふいんきの中、元気で大きな声で発言したりしている。
ここでグループ関係なくみんなが笑っている。
極めつけは学校の生徒が全員いるとことか関係なく、恥を捨てさる。
だからこいつは学校で、「日本一のつわもの」いや違う。
「学校一の恥知らずな男」という異名で通っている。普通にすごい。てかアホだ。
クラスでは学級委員長とかじゃないが、ある意味中心人物なわけだ。
とまあ山本とはこういうやつだ。熱い男と思ってはいけない。
あいつはうるさいがそこまで熱くない、あいつは恥知らずのバカだ。
って! 山本なんかどうでもいい! 俺の小説! 俺のまよ○キ!!
小説は水にぬれ、文なんて読めないの問題じゃない。ただの黒い点、
みたいな感じだ。最悪だ・・・! なんで神はこうも、無慈悲なんだ!
「俺のま○チキぃぃぃぃぃぃ!! このえ! すずつき! うさみん!
シュレ先輩! メガネジャンキー! ジローぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
俺はこの人生の中で一番大きいといっていいほどの声量の声を出していた。
山本が普通に引いている。どうでもいい! てゆうかお前のせいでもあるぞ!
と、山本が思い出したかのように声をだした。
「榊お前。それもしかしてまよチ○なのか?」
耳を疑った。こいつ、M○文庫で俺が一押ししているまよチ○をしってんのか?
「それなら家に3冊あるぜ。大好きだしな! ぶつかったおわびに一冊あげようか?」
今、俺の目の前に宿敵である神が舞い降りた。だがこの神はちがう。
無慈悲な神の方じゃない。俺の神だ。おれはここで溢れる涙を止められなかった。
俺はそれほどまでにこの小説が好きだ! 山本も俺の涙を見て若干引いていたが、
俺の神であることに変わりはない。
「ぜひ頼む!よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は天に向かってガッツポーズしていた。腐った神が! 山本神を見習えクソが!
そして、山本様は天にガッツポーズしている俺を見て、もうため息しか出ていない。
そんな山本は最初の時と俺を見る目が違っていた気がする。
「俺の家、今からこれるか?」
俺はやっとのことでいつものぼっちの俺に戻ることができ、無言でうなずいた。
というわけで山本の家にいくことにし、亡くなった文庫本は埋めてあげた。
きちんと合掌して、俺はその場をあとにし、山本家に向かった。
ちなみに鞄はどこかに消えた。あれ高かったのに・・・。
無慈悲な神の方は、どんなことがあっても俺をBADENDにしたがる。殺すコロスころす。
(ここから山本幸村視点です。)
俺、幸村は正直あることに悩んでいた。それはそう、
入学2ヶ月で変な異名がついてしまったことだ。
頭がおかしすぎる。なんだよ「学校一の恥知らずな男」って。バカだろ。
もちろんバカであることはうっすら自覚している。が、変な異名をつける
この高校の同学年の奴らの方が絶対バカだ。いやでももちろんみんなが
俺と親しく喋ってくれたり遊んでくれることは本当にありがたい。
だけどそれとこれとは話がべつだ。俺は中学生のころはこんなじゃなかった。
むしろシャイな男で、みんなからは「シャイボーイ」って言われていた。
シャイとは内気という意味。俺は女子と喋ってはいたが少しいつもの感じで
喋ることできなかったし、自分から喋りかけにはほとんどいけなかった。
でも男どもの前ではむしろ嬉々として喋ってはバカ騒ぎをしていた。
高校生になったらシャイボーイを克服する! そう決めて女子にも
積極的にしゃべりかけたり、色々アホなこともやった。そして・・・。
恥知らずな男になった。言わせてもらおう。どうしてこうなった!?
せめて「日本一のつわもの」とかかっこいいのにしてくれよ・・・。
と、欝になりながらボーっと歩いていると、角で人とぶつかった。
よくみると、おんなじクラスの・・・ぼっちだ。いや榊だった。
やべ、こいつ怖いんだよなー。どう言い訳しようか?
「わりー榊! 急いでたらぶつかっちまった!」
とっさにでた言い訳がこれ。ひどすぎるな俺・・・。
ちょっと変な空気になる。おいおいなんだよ。なんか喋ってくれよ!
でもこいつの声なんて高校生になってから聞いたこともないな。
学校で自分の席から全く動こうとしない。つまり、友達いないんだな!
こいつは高校生になる前から実は知っている。榊はおぼえてないだろうが。
中学時代、俺はソフトテニス部に所属していた。県では優勝候補と
言われるぐらい俺は強かった。優勝する自信もあったさ。
一回戦俺はどんな相手でも手を抜かない。全力でいこうときめた。
対戦相手は、榊・吉田ペア。そう、この榊が目の前にいる。
俺は榊に全力で戦った。そして驚いた。吉田は特に大したこともなく、
県で中の上、普通より少し上くらいの男であった。が、榊は違った。
圧倒的な力の差がでていた。球の力、球速、体力、コース、サーブ。
あらゆる点で榊は俺を上回っていた。完敗だった。俺は県でも
実力や練習の数は5本の指に入るほどだと自負していた。そんな俺が、
一点も許されることもなく、軽くひねり潰された。超ショックだった。
正直、あんな目が腐った野郎に負けるはずがない! って思ってた。
しかもくやしいことに榊はたぶん。本気じゃなかった。俺なんか眼中にすら
入れてもらえてなかった。俺はくやしかった。俺のペアの奴はくやしさのあまり
売り切れになるまで自販機の爽健美茶を買い続けていた。
むしろテンションが上がってるのじゃないのかだと? ふざけるなよ。
あいつはまわりが引くほど綾鷹が好きだった。爽健美茶なんて買ったこともない。
そうとうショックだったんだな・・・。爽健美茶を売り切れるまで買うなんて!
俺はそんな友人を見て涙が出た。こいつ、練習がんばってたし、優勝する!
っていっていた。相当ショックだったんだと思ったら、自然と涙が出た。
が、俺はむしろ立ち上がった。俺たちの代わりに優勝してほしい。
と、影で応援していた。あいつらの2回戦を見に行った。相手は・・・。
うん、つまらないくらいの実力だ。榊にしたらただの石ころに過ぎない相手。
まずは一勝。そう勝手に思っていた俺だが、違っていた。負けていた。
しかも一点もとれずに。あきらかに手を抜いていた。さっきまで右手で
ラケットをもってたのに左手でもってたし、吉田は左手でもってた
はずなのに右でもっていた。ひどい試合だった。榊達は優勝する気は
なかったのだろう。たぶん、理由があるんだろう。仕方ない理由が。
そう考えると俺は悲しくなった。あんなに強いんだ。練習だってきっと
頑張っていたはずなのに・・・! そんな彼等を敵ながら同情していた。
そして胸に決めていた。高校生になったら、絶対に勝つと!そう決めていた。
現実は残酷だ。神は無慈悲だ。絶対に高校生になったら倒すと決めていた
相手が、同じ高校にいる。しかも榊はソフトテニス部にすら入らなかった。
ひどい。俺は入学初日からブルーになってやけになり、バカなことを
いっぱいした。その行動こそが「学校一の恥知らずな男」と呼ばれるように
なったんじゃないかと思う。きっと神は、俺が変な異名をつけられて、
計画どうり。といって笑っているんだろう。本当に死ねばいいのに。
俺が神にでもなってやろうか!? そのあかつきにはソフトテニスを
オリンピックの競技に増やしてやる。絶対に! 決めた。今決めた!
と、心の中でバカなことを考えていると、榊が、
「ジローぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
と叫びながら水で濡れた小説を抱きしめながら叫んでいた。ん? ジロー?
なんだと・・・? もしかして・・・。
「榊お前。それもしかしてまよチ○なのか?」
「それなら家に3冊あるぜ。大好きだしな! ぶつかったおわびに一冊あげようか?」
簡単にいってるように聞こえるだろう? 実は結構緊張したんだぜ?
ちなみに3冊買ったのは、夢中で手にとったら3冊もっていた。こんなことあるか?
そんな俺の言葉に榊は目を丸くしていた。うわ、顔おもしろ。
「ぜひ頼む! よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
なんだこいつこわ・・・。でもまあわかった。こいつぼっちで
怖いやつだと思ってたけど、実はいいやつなんじゃないかって。
だから俺は、こんなぼっち野郎と・・・、
「俺の家、今からこれるか?」
友達になりたい。そう、思った。
読んでいただきありがとうございますm(__)m
次話もぜひ!よろしくお願いしますb