俺は俺なりにBADENDな人生を歩んでいく
~第一章・完~
ここまで見てくださった方々、本当にありがとうございます。
感謝、感謝、感謝、です!
これからも何とぞ応援よろしくお願いします。
俺の高校生活というのは美しい心象風景で彩られるような
ものではないだろう。白黒の世界だった。
学校では小説ばかり読み、休日では書店へ通い、など
およそ近頃の高校生らしからぬ日々を過ごしている。
ラブコメなど無縁もいいところ。ゲームでしかできない。
けれど、そんなぼっちな生活に悔いはない。むしろ誇りでもある。
俺は楽しかったんだ。
書店にいってなんとなく面白そうなラノベを買いあさったことも、
小説を読もうで他者の気になるオリジナル小説を読みふけっていたことも、
夜中に見ていた歌い手のニコ生で美しい歌声に聞き惚れていたことも、
それらすべて俺があのような日々を過ごしたからこそ見つけ出し、
出会えたものだから。
俺はぼっちで過ごした時間を、決して否定しない。
そして俺は考えた。青春ということを。
青春時代とはリア充だけが送るわけではない、と。
今の高校生活は俺なりの青春時代なんじゃないかと思う。
人それぞれ違った青春時代があるのではないかと思う。
だから俺はこれまでの青春の日々を決して否定しないし、これからも
その姿勢を変えることはきっとないであろう。
今現在青春の真っ只中にいる彼らは、敗北も素敵な思い出に
変える。嘘も敗北も青春のひと時と変えて謳歌する。
青春を使ってしまえば、世界をも変わるのだ。
だとすれば俺のこの青春時代もラブコメ出来るかもしれない。
間違いではないかもしれない。
俺はこれからもぼっちでいることは変わらないが、
俺は俺なりの彼らとは違う青春時代をこれからも送っていく。
それでも青春は謳歌できない、俺の人生は変わらず・・・、
比奈田が春野なしではまともなクッキーを作れないと
判明してしまった昨日の放課後、比奈田が部室に来て、
春野にお礼を言いに来た。なんでもその日から料理を
することにはまったらしい。考えるだけで怖すぎる。
さらに比奈田は暇があれば部室に顔をだすと言っていた。
また賑やかなのが一人増えた。これによっていつも読書している
沈黙と読書だけの部室ではなくなるような気がしてきた。
俺はいつもとは遅い時間に部室へと続く廊下を一人、歩いている。
部室へと続く道はほとんど誰もいない。いつもどうりだ。
今日もまた、部室での読書タイムが繰り広げられるのだろう。
あの部活はそういうところだしな。
まあたまにおかしな奴らが来るのだが、だいたいの生徒は
悩みなどは親しい友人に相談したり自分で解決している。
それがたぶん本来の姿であり、それが一番望まれる姿勢なんだろう。
けれど、それもときどきできない奴らもいる。この前の奴らがそうだ。
まあ、青春を謳歌する者たちは、うじうじ悩んでいることも
青春だと言うんだろうね。あーおもしろい。
俺が部室のドアを開けると、そこには春野が一人、読書をしていた。
俺が入ってきたことに気づいた春野は、顔をあげた。
「あら、このままだれもこないのかと思ったわ」
その言葉とともに読んでいた小説に栞をはさみ、閉じた。
以前までは俺が来てもガン無視で小説を読み続けていたのに比べて、
すばらしい成長を遂げている。
「俺も一応部員なんでね」
「別に用事があればこなくてもいいのよ?強制ではないわ」
遠回しに来るなと言ってるのかな? そんなことも今に始まったこと
じゃない。心が傷むがいつもどうりだ。
「あ、でも依頼がきたら強制参加よ。部活動なんだから」
ちっ、これから依頼がきたら用事と言って帰ろうとしたのに。
「わかってるよ」
と言っていつもの春野と少し離れた位置にある椅子に座る。
ここは入部した時からの定位置だ。変わらずいつもどうり。
そして部室には沈黙が訪れる。俺も春野もぼっちだし
沈黙は気にならない、むしろ好むほどだ。この沈黙もいつもどうりだ。
いつも美少女と二人、狭い部室で二人きりなんだが、俺達二人の空間は
まったくラブコメを感じさせない凍えるような空間である。
そんな「ラブコメって何?」て感じの空間もいつもどうりである。
俺がラノベを読み始めて何分後かたった時、部室の扉が乱暴に開かれた。
「やーやー、おはよーおはよー」
そんな気が抜けるあいさつをして入ってきたのは比奈田だった。
「今はこんにちはよ比奈田さん。もしかしてわからなかった?」
「それくらいわかるよ!? とゆうわけでこんにちはーはるりん」
「ぷっ」
思わず吹いてしまった。なんだその可愛いあだ名、春野に似合わねー。
「待って。なにかしらそのあだ名は、やめてくれないかしら」
春野が凍てつく吹雪を繰り出している。ひぃ! 顔こわっ!
「えー? 可愛いと思うのになーはるりん」
「あなたのネーミングセンスはどうなってるのよ・・・はるりん言わないで」
ため息をついている春野。たぶん可愛いのが嫌なんだろう。
なんかキャラじゃないし。俺は笑いを堪えるのに必死だ。
「あ、さかきんもこんちわー」
「ぶっ!」
思いっきり吹き出してしまった。
「おい、お前なんで俺の小学校の時のあだ名しってんだよ。さかきん言うな」
俺の数多くのトラウマの一つが蘇ってくる。
クラスの奴が俺に触った手で相手に触って「それさか菌だぞー!」とか
言って逃げて触られた奴が「きったねー! さか菌だー!」とか言いながら
他の奴らにもさか菌とかいう未知の菌を擦り付け合っていた。
あの時は泣いたね。まじさか菌って何? 意味わからん。
「えー? いいと思うのになーさかきん」
なんの悪びれもなさそうに行っているから悪意はないと思うのだが、
まじでさかきんはやめて。
「フフッ、いいじゃないさかきん。いいと思うわ、さかきん」
「うるせーはるりん。お前のあだ名も超可愛いぞはるりん」
「何かしら? そのあだ名は。あなたが言うと吐き気がしてくるから
言わないでくれる?」
なんの感情も抱いてなさそうな冷徹な顔で言ってきた。俺は黙るしかなかった。
「で、お前何しに来たんだよ」
話をそらした、春野が怖いから。主にあの綺麗な顔立ちの顔が。
「いやー、一昨日あたしがクッキー作りを依頼した日があったでしょ?
その日からこの部活かっこいいなーって思ってさ、あたしも
この部活のお手伝いがしたいなーって思ったから、今日からこの
部活に入部します! これもあれだよ、ほら、あたしの料理力があがったし、
全部お礼だよ、お礼!」
料理力ってなんだよ、料理の上手さか? 何も変わってないだろお前。
春野不在だったら料理力0だ。もしかしてこいつ気づいてない?
不意に春野が何か思い出したかのような顔をすると、
「幸村くんは部活かしら?」
「ああ、あいつなら一昨日先に帰ったあと、熱出したらしくて今も休み」
「そう・・・」
俺達は余計なものを思い出してしまって少し気持ちが暗くなってしまった。
幸村には本当に同情してしまう。あのどくっきーを俺達より多く
食べてしまって熱をだすとは・・・、俺達も本当はやばかったんだな。
「いやー絶対たまたまだって! 元から風邪気味っぽかったし!」
比奈田はそう言うが、最初の時より明らかにテンションが下がっていた。
あのクッキーは食べ過ぎると高熱を出してしまう。怖い。
突然、部室の扉が開けられた。誰だ? 依頼者か?
「よう」
そこには風邪をひいた幸村が制服姿で現れた。
「え!? 幸村なにしてんの!? 風邪でしょ!?」
比奈田が驚きに声を張り上げていた。
「いやー二日も休んでられねーよ」
ヘラヘラ笑う幸村。が、少し苦しそうだ。
「はぁ、親御さんはあなたを止めなかったの?」
春野の質問にいっそう苦しそうな顔をしたような気がする。
「親は、いないさ」
子供が風邪なのに何してんだよ親。あとお前フラフラで見てらんねぇよ。
「おい、家でおとなしくしてろ。あのクッキーを舐めたらダメだ。
お前、死ぬぞ?」
「そんなクッキー作ってないし!」
比奈田が反論してきた。お前はそれほどのものを作ったんだよ。
ふらついている幸村を支えてやる。すると幸村は少し笑って、
「なぁに、これくらいで死にはしないさ。少し休めば・・・、
あ、ほら楽になってきた」
「これ以上喋らないで、本当にあなた死ぬわよ?」
「はるりんまで!? そんなもの作ってないよー!」
「これしきのことで、死にきれねぇよ・・・。
もうすぐ弟の誕生日でね、プレゼントを買ってやるって、
約束してしまったからな・・・」
「やめろ幸村! さっきからお前、死亡フラグ連発しすぎだぞ!」
俺は幸村の体を揺さぶる。幸村はヘラヘラ笑っている。
「おい、春野。なんとかなんねぇのか?」
「そうね・・・。とりあえず保健室に、はダメね。
家に送るしか、でも親はいないようだしここで休ませるしか・・・」
「ねえ、二人共。絶対ただの風邪だから。死なないから!」
とりあえず床に寝かせる。すると幸村は目を細めた。
「龍紀、後の、ことは・・・頼ん・・・だ・・・」
そう言い残して、幸村は目を閉じた。
「幸村? おい、幸村! いや、寝てるだけか・・・。よかった」
「ええ、本当に危なかったわね・・・」
「だから言ったじゃん! あたしのクッキーで人は死なないから!」
春野と二人で安堵した。部室で人が死ぬとこだった。
「でもここで寝かしておくのもダメだから、榊くん。
幸村くんを家まで運んでくれないかしら?」
瞬時に俺をパシらせる春野。さすが春野さん。
「まあ任せろ。じゃあ先に帰るわ」
幸村を抱える。やっぱり重いな・・・。
「ええ、じゃあ、幸村くんをよろしくね」
「ばいばーい! さかきん!」
さかきん言うな。
俺の日常はお助け部を通して変わりつつあった。
俺はいままでぼっちで歩んできたため、人間と喋るなんて
最近は親とも喋っていないから妹の小春とくらいだけだった。
部活に入ったとしてもずっと読書だけだったのに、
いつの間にかこんなに賑やかになってしまった。
幸村重っ・・・。歩くのしんどい・・・。
いつもの倍以上の時間をかけてようやく幸村家に到着した。
俺の家と幸村の家は結構近くで、幸村の家から2、3分程度で
俺の家に着く。こいつ、俺となんで中学校違ったんだろう?
幸村の家についたが、どうすればいいか悩んでいたが、
家が空いてるし誰もいなさそうなので勝手に上がることにした。
そして幸村の家を徘徊してこいつの部屋っぽいところを探す。
家の中は普通で、俺の家くらいのスペースだった。
なんとか幸村の部屋っぽいところを見つけて、ベットに寝かせる。
1分くらいその場にいたが、家の人が来ると厄介なので帰ることにした。
なんとなく面白そうなラノベを勝手に借りて、幸村の家を出た。
家で幸村から借りた(?)小説を読んでいる。
ふむ、なかなか面白いな・・・。当たりだったようだな。
読みふけっていると妙に肌寒さを感じてしまった。
小説の続きが気になったが、さっさと風呂に入って寝ることにした。
翌日の朝。
一通のメールが携帯に届いた。またアマゾンとかだろう。
送られてきたメールを見てみると、知らないアドレスだった。
件名には、
『幸村だぜぇ~?』
なんでこいつ俺のアドレス知ってんの?
本文には、
『ワイルドだぜぇ~? ワイルド幸村だぜぇ~? 全体的にワイルドだぜぇ~?
俺のこのスマホもワイルドなんだぜぇ? 買ってすぐ液晶われたんだぜぇ!?
ちょっと見えないところがあるぜぇ!? ワイルドだろぉ~?』
ムカつく。
すぎちゃんのマネにムカついてすぐ削除しようと思ったが、続きがあった。
『風邪が治った!』
これが本文なんだろう、初めの文はまじでいらなかった。
まあ、だろうな。俺は返信してやった。
『お前の風邪、俺に移った』
ワイルドのほうはスルーしてやった。
そう、俺はたぶん幸村のせいだろう風邪をひいてしまった。体だるい
あんまり人と関わるとろくなことがない。
俺の日常は徐々に変化?しつつあったが、俺の人生は変わらず・・・。
-BADEND-
BADENDでした。
これからは第2章が始まります。
次話もぜひ、よろしくお願いします。




