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二人の出発後

「あーあ、行っちゃった…」

「ちょっと寂しくなるね」

「そうだね…。でも、柚香は、私たちも行っちゃったら、また寂しくなるんじゃない?」

「寂しいね」

「もうこの街に住もうかなぁ」

「何言ってるんだ。家を借りる金もないし、旅の生活ともかなり違うんだぞ」

「そうかもしれないけどさぁ…」

「心配してくれてありがと。でも、私は大丈夫だから、旅を続けてよ」

「うーん、柚香がそう言うなら…」

「まあ、手紙とか、いろいろ方法はあるしね。自分も、旅の途中で出来た友達と手紙のやり取りとかしてるし」

「恋人とは?」

「えぇ?」

「恋人とは手紙のやり取りをしてるの?」

「こ、恋人なんて別にいないよ…」

「ホントかなぁ?だって、ルウェ、すごい美人だし。モテるでしょ」

「そ、そんなことないよ。全然モテないよ…」

「へぇ。男ってのは、見る目がないねぇ」

「そ、そんなことはないと思うけど…」

「あるよ!ルウェがモテないなんて絶対におかしい!」

「お前な…」

「兄ちゃんはどう思うのよ」

「なんで俺なんだよ…。まあ、美人なら彼氏がいるだろうと思って、声を掛けないってのはあるんじゃないか」

「えぇ、そうなの?軟弱だなぁ」

「いやいや、どういう意味だよ…」

「美人だからって声を掛けなかったら、一生美人と結婚出来ないよ」

「誰と結婚するかなんて、それぞれの自由だろ…」

「兄ちゃんは、誰と結婚したいの?光?」

「いや…。だから、まだ全然考えてないけど…」

「光じゃ不満なの?」

「もう、お前はいろいろと段階をすっ飛ばしてるからな…」

「そんなことないし」

「まったく…」

「ちょっとおませさんなんだね」

「ちょっとじゃないからな…」

「でも、結婚なんて、まだまだ先のことみたいに思えるけどなぁ」

「そうかな?あっと言う間だよ、たぶん。好きな人が出来て、結婚して、子供を生んで…。そんなの、本当にあっと言う間だよ」

「弥生って、おばちゃんみたいなこと言うよね…」

「中身がおばちゃんだからな」

「乙女だよ!」

「この言い争いは不毛だ」

「なんでよ。私が乙女で決まりでしょ」

「ま、まあまあ…」

「兄ちゃんは、すぐに私をおばさんに仕立て上げようとするんだから」

「仕立て上げてるんじゃなくて、実際にそうなんだ」

「そんなことないし!」

「旅暮らしのキツさに当たって、世間擦れしてしまったのは、俺にも責任があるから強くは言えないけどな」

「違うもん!」

「哀れ弥生よ。若くしておばちゃんとして生きていかなければならないとは…」

「違うもん!」


ルウェも苦笑いしてるし、今回はこれくらいにしておくか。

可愛い妹だ。

いじめるのは忍びない…というのは嘘だけど。

でも、これ以上続けても意味はないし。


「どうする。俺たちはいつ出る?」

「えぇ?うーん…。まだ考えられない。バイトでもしといてよ」

「お前な…」

「路銀は必要でしょ。野宿なんて嫌だよ」

「まだ結構残ってるんじゃないのか?」

「いくらあっても困らないでしょ。残ってるか残ってないかは関係ないの」

「あはは、しっかりしてるね、弥生は…」

「兄ちゃんがしっかりしてないから、私がしっかりしないとダメなの」

「そうだねぇ」

「ねぇ、ルウェと一緒に旅してる人に会いたい!」

「えっ、うーん…。二人とも、今は仕事だから…」

「どこで働いてるの?」

「お兄ちゃんは馬車の御者で、望は喫茶店かな」

「じゃあ、その喫茶店に行こうよ」

「え、えぇ…。どうかな…」

「なんで?」

「望、あんまり働いてるところを見られるのは好きじゃないから」

「えぇ、なんで?」

「それは知らないけど」

「理由なんてなんでもいいだろ。嫌がってるのに、見に行くこともない」

「だって、気になるじゃない」

「お前の興味だけだろ、それは…」

「そうだけど」

「じゃあ、見に行くのはなしだ」

「なんで!見に行きたい!」

「お前な…」

「どこの喫茶店で働いてるの?メイドカフェ?」

「えっと…」

「なんでそうなるんだよ…」

「だって、見られるのが恥ずかしいって、そういうことなんじゃないの?それに、ルウェが見に行かないんだったらいいんじゃないの?私たちがお客さんとして行ってさ」

「それはまあ、確かに…」

「お前、そういうところばっかり頭の回転が速いよな…」

「ねぇ、どこで働いてるの?女王さまカフェ?」

「お前、なんでそんなキワモノのカフェばっかり思い付くんだよ…」

「だから、普通の喫茶店なら、別に恥ずかしくないでしょ」

「いや、恥ずかしいと思う人もいるだろ。制服姿を見られるのが嫌だとか、知り合いに見られること自体が嫌だとか」

「ルウェに聞けば分かることでしょ。ねぇ、いかがわしいカフェなの?」

「いかがわしいってな…」

「普通の喫茶店だよ…。表通りの…」

「どこ?」

「弥生の宿の近くだったと思うよ」

「えっ。じゃあ、すぐに行こう」

「何言ってんだ、お前は。帰ったら、もう飯食って寝るぞ」

「まだ早いし!」

「凛だってくたくたじゃないか」

「………」

「凛は体力がないから」

「お前は元気すぎるんだよ」

「望っていう人を見にいきたい!きっと、すごく綺麗な人だよ!」

「その自信はどこから湧いてくるんだよ…」

「ま、まあ、美人だとは思うよ…」

「ほら、ルウェもドン引きじゃないか」

「なんで!見にいきたい!美人を見にいきたい!」

「ごめんな、五月蝿い妹で」

「大丈夫だよ」

「あはは…。でも、美人を見たいって気持ちは分からないでもないけど」

「でしょ!やっぱり、みんな美人は見たいものなんだよ!」

「お前の場合、動機がかなり怪しいんだよ…」


百合の気はないと信じてるけど、こいつはどちらかと言えばおっさん寄りだからな…。

たまにビックリするようなセクハラ発言をしたりするし…。

将来がいろんな意味で心配だよ…。

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