第9話「さよなら」
―ブリセル正門 戦闘後半―
バルカンドル:
「騎士として最高のもてなしを受けたな。」
「ならば私も、貴様らに最高のもてなしをしてやろう。」
その瞬間、バルカンドルはグラディウスへ突進した。
グラディウスは血を生成し、それを剣へと変える。
互いの刃が激突し、拮抗——
だが徐々に押されていた。
力で劣勢に立たされたその瞬間。
もう一方の手で短剣を生成し、
デュラハンの手首を斬り裂く。
バルカンドルの剣が落ちる。
グラディウスが上体を斬り払おうとした——
その瞬間。
逆にグラディウスが斬り裂かれた。
バルカンドル:
「試みは良かったな、血族。」
「だが油断したな。」
「剣がなければ斬れぬと思ったか?」
「魔力だけで十分だ。」
アダム:
「グラディウス!!」
アダムは一瞬で間合いを詰め、彼女を庇った。
鎌に回転をかけ、
バルカンドルの剣へ振動が走るほど強く叩きつける。
バルカンドル:
「お前は少し違うな。」
「確かに技はある。」
「だが総合的にはまだ足りん。」
その時——
背後で魔力が集束し始める。
そうだ。
冒険者たちが魔力をシュビエルへと送っていた。
その魔力で、彼女は爆裂魔法を準備する。
シュビエル:
「よくも……仲間を傷つけましたね……」
「『撃ち放て』」
集え。集え。集え。
この力は大地より集い、
万物の根源にして、
地上を裂く力。
「喰らえ!エクスプロージョン!!」
アダム:
「待てシバル!!俺い——」
轟音。
アダムごと、
バルカンドルも巻き込まれた。
強化された爆裂魔法が炸裂する。
バルカンドルは膝をついた。
——そして。
アダムは消えた。
シュビエル:
「うへっ……」
マリス:
「シュビエル!大丈夫!?」
シュビエル:
「アダムは……?」
マリス:
「今、デュラハンと一緒に吹き飛ばした……」
シュビエル:
「ナイス爆裂……」
アダム(瓦礫の中から):
「何がナイスだァ!!」
「ぐあっ……俺まだ死んでねぇ……」
バルカンドル:
「……狂人どもめ……」
「これ以上の戯れはない……」
アダム:
「上等だ……やろう。」
その瞬間。
アダムのホミと、バルカンドルの剣が激突。
アダムはホミが折れぬよう、
片手で下級魔法《点火》を連続使用。
刃に微細な熱振動を与え続ける。
バルカンドルは大振りで、
アダムごと両断しようとする。
アダムも同時に必殺技を準備。
「カイルス――『真』――」
次の瞬間。
目で追えぬ速度で斬撃が交錯。
アダムは全方位へ移動。
残像が残るほどの速度。
バルカンドルの鎧に傷が刻まれ、
ダメージが蓄積されていく。
その時。
倒れたはずのグラディウスが、
貧血で視界が揺らぎながらも、
最後の血を搾り出し、立ち上がる。
片手に血の槍を生成。
もう片手で照準を合わせる。
投擲姿勢。
血で出来た最後の武器が、
バルカンドルの肩を貫いた。
貫通。
バルカンドル、再び膝をつく。
その隙を、アダムは見逃さない。
全身へ連撃。
最後まで計算し、
バルカンドルを消滅させた。
―戦闘後―
アダムはグラディウスを支え、
マリスとシュビエルの元へ歩み寄る。
アダム:
「グラディウス……大丈夫か?」
グラディウス:
「……ふ……ふふ……」
「ついにこの獣男に支えられる日が来るとは……」
「これは褒美か?それとも絶望か……!!」
「騎士としてどう受け止めればいいのだ!!」
アダム:
「……元気そうだなオイ。」
「シバル、まともな奴一人もいねぇ!!」
アダム、空を見上げる。
「このクソみたいな世界の絶望を!!!!」




