第16話 Cailus — Replica
――滅茶苦茶になった裁判場――
サハラ:
アダム。お前はいつも、こういうやり方で物事を処理してきたな。
アダム:
はぁ…お前とは会いたくなかったんだがな。
事務所時代からずっと、お前は俺のこと嫌ってたよな。
マリス:
アダム?!誰と話してるの?!
知り合いなの?
アダム:
大丈夫だ。すぐ斬り捨てるから。
俺の元の世界で働いてた事務所の同期だ。
仲は良くなかった。
サハラ:
お前はいつも彼女に執着していたな。
彼女もお前にいつも愛情を向けていた。
だが結局、その結末がどうなったか…お前もよく分かっているだろう?
アダムの目は仮面で見えないが、空気がさらに冷たくなった。
アダム:
彼女を侮辱するな。
お前には関係ないことだ。
サハラ:
裁判場で悪魔を呼び出した奴の言う台詞か?
同じ事務所の同期として最後の慈悲をやろう。
元の場所へ戻れ、アダム。
アダム:
ふざけんな…いいだろう。
この腐れ縁を終わらせよう。
その瞬間、アダムの鎌とサハラの剣がぶつかり合った。
同じ技術。
同じ構え。
同じ力。
同じ解決士事務所出身なだけあって、
二人の戦闘動作はほとんど同じだった。
シュビエル:
アダム!私がぶっ飛ばしましょうか?!
アダム:
大丈夫だ。
これは俺が終わらせるべき話だ。
シュビエル:
……じゃあ、信じて任せます。
サハラ:
お前は本来の遺物なしでは俺に勝てない。
その遺物はこの世界には存在しないはずだ。
アダム:
……ククク……
本気でそう思ってるのか?
ハッ…ハハハ!!
馬鹿な奴だ……
俺はもうあの悪魔野郎と
契約を結んだんだ。
俺の未来を見せる代わりに、
俺の元の世界で使っていた遺物を
取り戻す契約をな!!
サハラ:
馬鹿な野郎……
たかが武器一つのために悪魔と契約だと?
アダム:
今さら善良な市民のフリをするな。
どうせ俺たちが殺した奴らは戻ってこない。
同期として最後の慈悲で生かしてやるよ。
少し手加減してやる。
さあ……
フィナーレの時間だ。
「『Cailus — Replica』」
サハラ:
……시발……
マジで取り戻したのか……ヘルメスを……
その瞬間、
サハラの皮膚が斬り裂かれた。
次の瞬間には
皮膚が塊ごと削ぎ落とされ、
さらに次の瞬間には
胴体に穴が空いた。
だがそこには
柄しか存在しない。
確かにそれは鎌だった。
だが次の瞬間には大剣になった。
その次の瞬間には、
この世界では
存在し得ないはずの武器――
ショットガンになった。
「ヘルメス。」
アダムの遺物。
液体金属で形状を変える武器。
アダムが持つ希少な遺物武器であり、
彼女が残した遺品でもある。
アダムが一級解決士になれた理由の、
彼女の大切な遺品だった。
シュビエル:
アダムのあんな姿……初めて見ます。
マリス:
私も……
あれは……少し残酷すぎる……
その瞬間、
グラディウスがアダムへ突進し、
目の前で止まった。
グラディウス:
アダム。もうやめろ。
これ以上被害を出す必要はない。
本当に彼を殺すつもりなのか?
そうだ。
アダムは本当に彼を殺そうとしていた。
だが彼は
気づいていなかった。
ここは
仲間と家族がいる世界だということを。
ほんの一瞬、
ここが
絶望しか残っていない
元の世界だと思ってしまったのだ。
アダム:
……悪い。
ちょっとやりすぎたな。
生きてるよな……?
サハラ:
……시발……
……野郎……
そう言って
サハラは倒れた。
アダム:
ちょっと待て!!
시발、急にジャンルがダークファンタジーになってるじゃねぇか!!
空気変えようぜ。
シュビエル:
アダム……
本当に大丈夫なんですか?
無理に空気を明るくしなくてもいいですよ……
アダム:
……そうだな。
今回は……
俺の感情に正直になる。
ありがとう。
その瞬間、
アダムはシュビエルに
彼女の姿を重ねて見てしまった。
この絶望しかない世界の最後の希望を。




