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第13話 シュビエルの過去


――いつの頃だったのか、もう思い出すことすら曖昧な時代――


それはシュビエルの幼い頃の話だった。


シュビエルはいつも独特で、競争が好きで、


どこか変わった性格だった。


そう――


あの日までは。


シュビエルの村はもともとブリセルの首都に近く、


魔王軍前線の最前線だった。


しかし魔法技術の発展による優位性のおかげで、


住民数もかなり多い中規模の村だった。


その村の名は――


アルカディア。


魔法の発展が非常に早い村であり、


かつては魔法の中心地でもあった。


だがそれも


過去の栄光に過ぎない。


ある日。


村に巨大な怪獣が現れ、


村の半分を破壊した。


その日、


シュビエルの家族は住む場所を失った。


辛うじてアルカディアの外れで


生き残ったアルカン族は


なんとか生活を立て直した。


しかし――


あの日の傷は消えなかった。


それはアルカン族の


トラウマの根源となった。


シュビエルも同じだった。


――ブリセル正門――


シュビエル


「……あいつは……」


「……あいつだけは……」


「許さない……」


「絶対に殺す……」


その瞬間。


ナイトメアの内部から


何かが現れ始めた。


???


「……ここまで追い詰められるとはな。」


「少し甘く見すぎていたか。」


「初心者の町だと思って来てみたが……」


「思った以上に人材が多い。」


「感慨深いものだ。」


アダム


「くだらないこと言うな。」


「この状況見て、まだそんなこと言えるのか?」


グラディウス


「落ち着け、アダム。」


「あの者は最低でもバルカンドール級だ。」


「おそらく魔王軍第三幹部クラスだろう。」


アダム


「そんなのどうでもいい。」


「俺はノードの裏路地で育って、


いろんな光景を見てきた。」


「だが――」


「国を滅ぼすほど狂った奴は見たことがない。」


「それに……」


「シュビエルの様子が良くない。」


「今はマリスに任せているが……」


「きっと理由があるんだろう。」


「それは後で解決すればいい。」


「今は――」


「まずあいつを斬り倒す。」


???


「私の名は」


魔王軍第三幹部――ベロニカ。


「貴様らに破滅を与えてやろう。」


「……光栄に思え。」


アダム


「ふざけるな。」


その瞬間、


空気が一気に冷え込んだ。


まるで嵐の中心にいるかのような


静寂が流れる。


その瞬間――


アダムは動いた。


アダムの鎌と


ベロニカの双短剣が激突する。


だが


ベロニカの短剣は一枚上手だった。


腹部を狙った一撃。


しかし――


それを


グラディウスが


血で作った剣で防いだ。


ベロニカ


「ほう……血族か。」


「しかもお前……」


「かなり有名な存在だな。」


グラディウス


「黙れ。」


「お前とこれ以上話す価値はない。」


ベロニカ


「冷たいな。」


「私はただ真剣に相手をしているだけだ。」


シュビエル


「……ベロニカ!!!」


「お前を殺すために――」


「私は爆裂魔法を極限まで鍛えたんだ!!!」


セリル


「ベロニカさん……」


「今回はさすがに一線を越えましたね。」


「これ以上中立を維持することはできません。」


ベロニカ


「アルカン族か。」


「……恨むのも無理はない。」


「だが私は」


「お前たちに破滅を与えると同時に」


「生き残る方法を教えただけだ。」


シュビエルは


普段とは違い、


魔力が尽きても


狂ったように怒りながら突進した。


だが――


マリスがそれを止めた。


このまま近づけば


シュビエルが死ぬかもしれない。


マリスは


シュビエルの憎しみを全部背負って


彼女を止めた。


マリス


「セリル……どうするの?」


「私たちと戦う?」


「それともあいつに加担する?」


セリル


「私は確かに魔王軍幹部出身ですが」


「最低限の線は守るリッチです。」


「これはやりすぎです。」


マリス


「ありがとう。」


「ならアダムとグラディウスを守って。」


「シュビエルは私が守る。」


セリルは戦場へ飛び出した。


マリスは


シュビエルと


ほぼ壊滅した冒険者たちを守った。


アダム


「うるさいな……」


「ノードにもお前みたいな奴は腐るほどいた。」


「もううんざりなんだよ。」


「狂いそうなくらいな。」


その瞬間。


アダムは鎌に下級魔法で振動を与え、


ベロニカの剣に振動と斬撃を同時に叩き込んだ。


ベロニカ


「……魔力がほとんどないな。」


「だが純粋な技術だけでこのレベルとは。」


「かなり高く評価してやろう。」


その時。


グラディウスが


普段見せない技を準備し始めた。


周囲の冒険者の血が


グラディウスへ集まり始める。


その血は


彼女の周囲で円を描き、


彼女を包み込んだ。


次の瞬間。


血の円が弾け、


彼女の姿が変わった。


血のマント――


いや、


血そのもののマント。


そして頭には


茨の冠。


グラディウスは


一瞬でベロニカに突撃した。


槍が


ベロニカの肝臓を貫いた。


ベロニカ


「……やはり血族のあいつか。」


「強いな。」


アダム


「グラディウス……?」


「お前……だよな?」


グラディウス


「雑談は後だ、アダム。」


「後で説明する。」


同時に


アダムも


今出せる最大戦力を解放した。


――カイルス――


『真』


バルカンドール戦の時と同じように


高速移動で


ベロニカを圧倒する。


だが


動きを見切られ


首を掴まれた。


そのまま


心臓を貫かれそうになった瞬間――


グラディウスが割って入り


ベロニカを押し返した。


だがアダムは知っていた。


グラディウスは強い。


だが――


貧血がある。


長くは戦えない。


アダムは思い出した。


異世界に来てから


忘れていた罪を。


そして


あの日。


失ったあの日。


忘れたくても


忘れられなかった日。


その記憶と共に――


アダムは


罪と向き合った。


そして


原罪を覚醒させた。


アダムは鎌に網を纏わせ、


「原」を使い


身体能力を活性化した。


そして


原罪によって加速した速度で


――カイルス――


『レプリカ』


を準備した。


グラディウスが押され始めた瞬間。


横から


セリルが加勢する。


だが


ベロニカは


第三幹部とはいえ


第二幹部のセリル相手にも


徐々に優勢を取っていた。


その時。


体力を回復した


グラディウスが突撃する。


ベロニカは


その隙を突き


グラディウスを貫こうとした。


その瞬間。


アダムが地面を鎌で擦り


火花を散らした。


摩擦熱で加熱された鎌。


そこへ回転力と


網を纏わせて


攻撃力を増幅させた。


そして――


ベロニカと斬り合う。


三合。


たった三合で


致命傷を与え、


ベロニカを消滅させた。


アダム


「……最悪の記憶を思い出させてくれて」


「ありがとうよ。」


一瞬


沈黙が流れた。


アダムはゆっくり鎌を持ち上げた。


アダム


「クソ野郎。」


「この救いのない世界の」


「最後の希望を。」


――数日後――


こうして


俺たちは


ベロニカを倒した。


もちろん


莫大な被害が出た。


犠牲も


決して少なくなかった。


だが――


アダム


「ちょっと待て!!」


「賞金!!討伐金どこだ!!」


「俺たち以上に活躍したパーティがどこにいる!!」


その瞬間。


執行官らしき人物が現れた。


???


「アダム。あなたですね?」


アダムは


嫌な予感がした。


アダム


「……俺の解決士経験から言うと」


「今の状況、あまり良くない気がする。」


「違うか?」


執行官


「その通りです。」


「あなたは現在」


国家転覆罪の容疑


をかけられています。


あなたの身元は不明。


魔王軍幹部を連続撃破。


そして


魔力ではない


別世界の力。


それも


記録に存在しない力。


国家はこれを


魔王軍との内通の可能性


と判断しました。


アダム


「ふざけるな!!!」


「今さっき命かけて戦ってきたんだぞ!!」


「英雄どころか牢屋行きだって!?」


「頭おかしいんじゃないのか!!」


マリス


「そうよ!!」


「アダムがどれだけ戦ったか見てたでしょ!?」


シュビエル


「そうです。」


「さっきのアダムはいつものアダムじゃありませんでした。」


「まるで別人みたいで……」


グラディウス


「……私も同じだ。」


アダム


「そんなの関係あるか!!」


「俺は俺だ!!」


「それにグラディウス!!」


「お前も変わってただろ!!」


「それ後で伏線回収するやつか!?」


グラディウス


「……それは後で話す。」


「いずれ分かる。」


執行官


「話が長い。」


「国家転覆罪は」


同調するだけでも共犯とみなされ死刑です。


その瞬間。


ギルドは静まり返った。


冒険者も


アダムの仲間も。


アダム


「……おい。」


「まさかだよな?」


「俺を見捨てる気じゃないよな?」


「それやったらメンタル壊れるぞ?」


しかし


誰も答えなかった。


そして


アダムは――


アダム


「ふざけるな!!!!」


「来いよ!!!」


「全員まとめて相手してやる!!!」


執行官


「制圧しろ!!」


「今すぐ捕らえろ!!」


アダム


「上等だ!!!」


「かかってこい!!!」


「俺に負けたら」


「今日一番最悪な目に遭うぞ!!!」


「うおおおお!!!」


――この救いのない世界の最後の希望を。

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