第25話 上位種
新しく覚えたスキルたちに慣れるため、スキルを駆使しつつこの辺のスライムを狩ることにした。
『見て分かると思いますが、ここ「スライムの湿原」は奥に行くほどスライムが強くなるため今はまだ奥に行き過ぎないように気を付けてください』
オーケイ!
確かに遠近法が仕事をしてないような大きいスライムがチラホラ見えるんだよね。
言われなくても今のレベルであんなのに勝てるとは思えない。
もちろんあんなのには向かって行かないよ。死ぬのは真っ平ごめんだからね!
——ズボォッ——
ダッシュで接敵し【貫手】を放つ。
貫通特性を備える【貫手】に少し抵抗を感じる。
感触的にここのスライムの防御力は始まりの街の周辺よりも間違いなく高い。
その分、経験値も期待できるだろう。
——ズボォッ——
——ズボォッ——
——ズボォッ——
覚えたばかりのスキルを試しつつ可能な限り【貫手】でスライムを仕留めていく。
ふと気づいたら周りをスライムに囲まれていた。
流石スライムの湿原というだけある。
ここは【突進】!!
——ドドドドドドドドドドドドドーーン——
次々に飛び掛かってくるスライムを【突進】で跳ね飛ばしていく。
楽しいねぇ。
「いやぁ、爽快爽快」
思わず声が出る。
吹き飛ばしたスライムたちはまた私に飛び掛かろうとまた距離を詰めてくる。
「ん? なになに? どうしたのスライム君達? ふむふむ、私の魅力的な胸に飛び込んでいきたいって? そうかい、そうか——」
——ズドン——
ぐはっ。
後ろから前に、脇腹を突き抜けるような痛みが走る。
痛みで一瞬呼吸が止まる。
私にくだらない冗談を言わせないだと……?
何たるツッコミセンス……。
じゃない。一体何者?
『あゆみ、油断しないでください。このスライムは只者ではありませんよ』
ミラちゃんの言う通り、私を攻撃したスライムは何か雰囲気が違った。
油断……していたつもりはなかったんだけど、相手の戦力を見誤ったのは確かだ。
こいつは他のスライムとは圧が違う。
今まで倒してきたスライムの攻撃範囲は狭い。精々1mくらいだった。
近距離でしか攻撃してこないから、いくら数が多くてもちゃんと距離を取れば脅威にはならない。
だから背後の敵とは3m以上距離を取っていたのに……。
こいつは単なる「レベルが高いスライム」って感じではない。
上位種ってやつなんだろう。根本的に存在感が違う。
大きいスライムにだけ気を付ければいいと思ってたからな。
小さくても強いスライムがいるとは思わなかった。
そうか。これを油断というのか……。
とは言え、間抜けな自分を嘆いている暇はない。
周りにスライムはうじゃうじゃいる。
こいつだけを警戒していればいいという状況でもないのだ。
でも、だからこそいい。
拳豪トーナメントの予選でもこんな風に囲まれる状況は出てくるだろう。
そして、こういう状況のためにスキルを覚えたんだから!
「【突進】!!」
わざわざスキル名を口に出す必要はないんだけど、気合を入れる意味も込めて大声で叫んだ。
上位種と思われるスライムを弾き飛ばす——
——ヒュン——
——弾き飛ばす寸前で避けられた。
こいつ……速い!
ゾクリと背中に悪寒が走る。
他のスライムとスピードがまるで違う。
そして今の私よりも速い。
上位種はすでにこちらに狙いを定めている。
集中だ。
集中しろ。
きた!
速い!
でも、見切れる!
——ヒュン——
上位種は顔の真横を通り過ぎていった。
——ドックン——
鼓動が大きく聞こえる。
危なかった。
動きは見切れたけど、躱すだけで精一杯だった。
——ドックン——
そして振り返ると上位種は既に切り返してこちらに突っ込んできていた。
「なっ!」
ぐはっ!
腹部に強烈な痛みが走る。
速すぎんでしょうが!
でも……。
「捕まえた」
いくら速かろうが、捕まえちゃえば関係ない。
【貫手】を放つ。
【貫手】が上位種を捉えようとした瞬間。
——ピカッ——
その上位種は光を放った。
——ポロロン——
そして軽快な効果音と共に上位種は分裂したのだった。
「ウソ! そんなのあり!?」
そして分裂すると同時に上位種は私の手から逃れていた。
………
……
…
そこからはボコボコだった。
1体でも手に負えなかった上位種が2体に増えてどうにもならなかった。
加えて周りのスライムにもよってたかって攻められて私のHPは0になったのだった。
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