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第15話 DLモードプレイヤーの実力

――パン、パパン、パン――

 隣ではレイカさんがサンドバッグを叩き軽快な音を出している。


 うりゃああ

――ペチ――


 スライム死にさらせ〜!

――ペチン――


 一方で私はというと、見た目と同じく可愛らしい音を立てている。

 うん。ダメダメだな。比べちゃ失礼かもしれないけどレイカさんの音と全然ちがう。


「そうよ、そうそう。初めてにしては上手じゃない」

「え? ありがとうございます!」


 あれ? でもホメられた。よし、どんどんいくぞー。

 お世辞だと分かっているけど私は単純なのだ。


 しかし、どうやったらもっとレイカさんみたく力強い音が出せるんだろう?


『遠藤麗香の真似をしてみてはどうでしょうか?』

 真似かぁ。

 それが簡単に出切れば苦労はしないんですけどね。


『遠藤麗香の動きをスローモーションで表示します』


 そんなことも出来るの?

 ミラちゃん、チョー優秀!

 やってやって。


 半透明のレイカさんと半透明の私が目の前に現れた。


 あ、私も出してくれたんだ。

 

 半透明レイカさんはゆっくりと動いてくれる。   

 私はその動きをなぞる。


 半透明の私は今の私の動きを見せてくれてるんだと思う。


――ポスん――

 おお、こんな感じか。随分様になったかも。


 半透明の私とレイカさんの動きがもっと重なるように修正しよう。


 そして今度はもうちょい速く。

 どうやら半透明のレイカさんは私が思ったスピードで動いてくれるようだ。


――パシン――


 おお、今のはかなりイケてる感じだったぞ。

 じゃあ、この調子でどんどんいこう!


·········

······

···


 目の前にスライムが現れる。

 そして突っ込んできた!


 私はステップを使って避けながらパンチを放つ。


 スライムが消えたかと思ったら今度は二匹現れた。


 一匹を仕留めつつ、二匹目の攻撃をかわし攻撃する。


 はぁはぁ、流石に疲れてきた。

 スタミナが大分少なくなってきた。


 そろそろ回復しないと。

 【治癒ヒール


 特に怪我はしていないけど、底を突きかけていた体力がもとに戻る。


 よし、まだまだいけるぞ!


·········

······

···


◇レイカ◇

 何者なのこの子······。

 最初は呆れるくらいの初心者だった。


 体の線は細いし、小柄だし、格闘技はおろかスポーツの経験さえ無いように見えたのに。


 そう、確かに最初は私との差は歴然だった。

 それは間違いない。


 なのに、この子はたった数発パンチの練習をしたかと思ったら、あっという間に私と遜色ないパンチを放つようになった。


 そればかりか、今やステップや体捌きまで私の動きをものにしてる。


 !?


 つまり、私を真似しただけでこんな動きができるようになったってこと?


 しかも、もう1時間以上もサンドバッグを叩き続けてる。おまけにペースは落ちるどころかむしろ上がってる。


 そんなことってある?

 どう考えてもスタミナがおかしい。


「レイカ、花咲さんはどう? ······って聞くまでもないか、ここまでのレベルとはちょっと予想してなかったな。随分上手に教えてくれたんだね」


 総様が私をほめてくれてる。

 でも、違うのです。私の手柄ではないのです。


「いえ、あの子は私の動きを真似しただけで、私は何のアドバイスもしていません。あの子は、あの子は何者なんですか?」

「何者って、ただの入会希望者だよ。僕もそれ以上は知らない。ただ······」

「ただ?」


「······彼女は、リンクの『武道家系を極めたい』って言ってたんだ······」

「それは······冗談で言ったのでは? もしくはものを知らないだけなのでは?」

「そうかもしれない。でも僕は冗談で言ってるようには思えなかったし、不可能に挑もうとする彼女の言葉を笑うことも出来なかった。僕にはね」

 総様はどこか嬉しそうにあの子を見つめていた。


――パパン、パンパパン、ズパン――


 そして、いつの間にかあの子の打撃音は私のものよりも重く、そして速くなっていたのだった。


★★★読者の皆様へ★★★


 数多あるなろうの小説の中から、この小説を見つけて、更には読んでくださって本当にありがとうございます。


 また、ブックマークや☆評価、ご意見や感想、レビューなんかを頂いてしまいますと、単純な作者はモチベーションが非常に上がります。


 応援していただけますと幸いです。

 次の話も是非呼んでください。

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