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宇宙人移住区  作者: やみの ひかり
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01話 出会い

「おい!! 酒だ酒を持ってこい!!」

「はいよろこんで!」


 宇宙人との戦争が終わり、宇宙人が町の隣に住み始めてから八雲つむぐは実家の農業の手伝いを止め。母の兄が開業した宇宙人向けの居酒屋『エイリアンズオアシス』で働くようになった。


「おじさん。こんなにお酒の値段高くして良いんですか?」

「それでもガンガン飲んでくれる。来週からもっと上げちゃえ!! つむぐの給料も上げちゃえ!!」

「はいよろこんで!!」


 宇宙人はお酒の文化が無く。はじめて体験する酔いの虜になっていた。おじさんは高級車を乗り回し、仕事終わりには別荘の話をしてくる。そんなお店に一人の宇宙人娘がアルバイトとしてやってきた。


「宇宙人の子がバイトの面接に来てな。うちは地球人しか雇わないと言ったんだけど、両親は戦争で亡くなり、弟と二人残され、弟にごはんを食べさせたいって健気な子なんだ」


 おじさんに呼ばれ、緑色の肌をした女性がお店のバックヤードから現れた。服はボロボロだけど、目に宿るオーラはライオンの様に誇り高き目をしている。


「はじめましてエリス・エアーと申します」

「はじめまして、八雲つむぐです」


 宇宙人は地球人と肌の色が違うぐらいで、身体の差はほとんど無いのだという。なんでも地球と同じような環境の星から移住先を見つけるために何百年も宇宙を旅してきたらしい。


「家で料理とか作る?」

「いえ、全部やってもらってて」

「弟くんすごいね」

「はい…… おかげで私の仕事が無いんです」


 バックヤードで制服に着替えてきたエリスは少し気に入らない表情を浮かべていたが、おじさんに仕事を教えるように頼まれたつむぐは、気にせずにエリスに皿洗いを教える。


 パリーン


 皿が割れる。


「はじめてだからしょうがないね」

「ですね」


 パリーン パリーン


 皿が割れる。


「ちょっと、割りすぎかな」

「ですね」


 パパパリーン パパパリーン パパパパパパパリーン


 皿が割れる。


「ちょっと待て!! なにリズミカルに割ってんだコラー!!」


 エリスは悪びれた表情もせず、


「しょうがないでしょ!! はじめてはこういうもんでしょ!!」


 逆ギレするエリス。その態度に苛立ちを押えられないつむぐ。


「もうクビだ!!」

「ちゃんと教えないのが悪いのよ!!」


 つむぐはエリスの力強い眼光に押されて、皿洗いを教えるのをあきらめ注文の取り方を教える。自信満々にメニューをメモして帰って来た。


「オーダー入りまーす!! 唐揚げ5ガロンダ!! サラダ2サウマン!! ビール4ウルマン!!」

「ちょっと待て!! なんだその単位は?」

「えっ!? わかんないんですか? 私たち宇宙人には常識ですよ」

「ここ地球だから。地球人の店だからこっちに合わせて」


 自分では手に負えずおじさんに助けを求める。


「おじさん!! 絶対ふざけてますよあの子!! クビにしてくださいよ」

「ごめんなさい。私知らなくて」


 エリスは下を向き泣きだしてしまい、おじさんは子供のようにエリスを扱う。


「よしよし、頑張って覚えていこうね。つむぐもっと優しく教えろ」


 エリスはつむぐを見ながら舌を出しこちらを挑発してくる。どうやらウソ泣きだったみたいだ。


「甘やかしちゃダメですよ!!」

「わたしを誰だと思って」

「誰なんだよ!!」

「誰でしょ?」

「ふざけるな!!」


 掴みかかるつむぐに対し、近くにあったフライパンを持ち交戦するエリス。


「それはダメ。それは痛いよ。落ち着いてエリスさん」

「私はあなたが言った通りやってんでしょうが!!」

「そうだよね……」


 フライパンを振りかざすエリスを見て、あわてておじさんが止めに入り二人を引きはがす。


「エリスくんは先に上がって良いよ」

「わかりました。バカと争っても意味がないですしね」

「なんだと!!」


 フツフツと怒りがこみ上げるつむぐだったが、エリスが帰った後、こっぴどくおじさんに怒られた。やっと仕事が終わり、外へ出るとエリスはつむぐが終わるまで外で待っていた。


「ごめんなさい。悪気は無かったの」

「こっちもごめん。言い過ぎた」


 反省しているエリスにつむぐが後悔がしていると、黒塗りの空飛ぶ車が上空から現れ、お店の目の前に着陸する。


「シッ。隠れて」


 車から出てくる品の良い老人。そしてその手下達二人。老人は部下にエリスを探すように指示を出している。それを息を殺して覗き込む。


「こんなところまで来て」

「追われてるのか?」

「うん」


 とにかくその場を離れるため、つむぐはエリスの手をひっぱり走り出す。歓楽街を抜け出し山の中まで来た。


「父が残した借金があって、逃げながら生活しているの」


 寒そうにしているエリスに。つむぐは着ていた上着をかけた。


「ありがとう」


 突然、上空から二人にライトが照らされた。上空を見てみると空飛ぶ車がライトで二人を照らしている。


「もう逃げられません。エリス・ヒューロン姫」


 つむぐがヒューロン姫という言葉にビックリしていると、茂みから部下が現れてエリスは捕らえられてしまった。ヒューロンと言う名前は宇宙人の王の名前。


「離して、私は自由になりたいの!! 自分で料理をしたり、お掃除したり、洋服を着たりしてみたかったの!!」

「どういうこと? 本当はお姫様なの?」

「ごめんなさい」

「嘘だったのかよ」


 エリスは宇宙人の王の娘だった。悲しそうな表情でエリスが部下達に引っ張られて行く。


「ちょっと待てよ!! 話を聞いてやれ!!」


 つむぐが部下に飛びつくと、部下の手が離れた隙をついてエリスは走る。


「エリス姫お待ちを!! このものがどうなっても良いのですか?」


 エリスが振り向くとつむぐの頭にレザー銃が突きつけられていた。


「俺にかまわず行け!」


 エリスは、立ち止まり少し考えてから、


「あなたに迷惑はかけられない」


 エリスはゆっくりとこちらに戻ってきた。


「それで良いのです。あなた様はいずれ国を動かす立場」

「彼を離して。必ず戻るから二人で少し話をさせて」


 品の良い老人は少し困った顔をして、その場から去り空飛ぶ車のほうへと歩いて行った。


「今日はありがとう。とても楽しかった。最後にこれをあなたに持っていて欲しいの」


 エリスからネックレスを渡され、トップには鉱石がついている。


「ちゅ…… あなたって最高ね。誰かとケンカしたことなんて初めて。さようなら」


 つむぐの頬にキスをし、エリスは空飛ぶ車に乗り込み飛び去っていった。頬を赤らめ、静まり帰る森の中、しばらくボーっと立っていた。


 数日後、つむぐは家でテレビを見ながらゴロゴロしているとインターホンが鳴った。


「つむぐ出てちょうだい」

「はーい」


 母に言われたつむぐは玄関を開ける。そこに立っていたのは……


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