契約完了
リリィ、シエラ、カプサの3人には共通点があった。
3人とも父親を亡くしているのだ。
3人の父親たちは
マタック村の魔獣討伐隊の中心メンバーとして
最前線で戦った。
しかし、隊は壊滅した。
魔獣には深い恨みがあるそうだ。
そもそも、マタック村で
魔獣討伐隊が結成されたのは
レーヤが魔獣の群れに襲われたのが
きっかけとなったらしい。
本来、多くの魔獣というものは、
その場に司令塔となる上位の魔獣がいない時以外
群れで行動することはないそうだ。
レーヤが襲われた時、上位の魔獣の姿はどこにも
見当たらなかったという。
ただ、襲われる直前、何かが割れるような
鋭い音がしたとのこと。
今までにない魔獣の行動と
群れで魔獣がいるという事実に脅威を感じ、
当時の村長であるリリィの父親が
志願者を募り、腕に自信があるものたちで
魔獣討伐隊「ジャウティ」を編成。
と同時に先行偵察部隊として、
村の周囲の見回り組も編成された。
リリィやシエラ、カプサも初期から
女だてらに見回り組に参加していた。
ある日、シエラ、カプサが
魔獣の群れを発見し、
即座に討伐隊に報告。
討伐隊総出で出動となった。
その中には、レーヤの弟のリーヤもいた。
レーヤは傷が完治せず
討伐隊の参加を村長に許されなかったのだ。
出発の前にレーヤは
弟のリーヤに
「魔獣の気配をよく探れ。
形勢不利なら即逃げろ」
とアドバイスしていたそうだ。
翌朝、傷を負ったリーヤが
息も絶え絶えに村に到着。
その姿は、討伐隊の壊滅を意味していた。
リーヤは、しばらく塞ぎ込んでいたが
傷が癒えるに従い、リリィたちには
心を開くようになった。
しかし、兄のレーヤとは口をきかなくなった。
リーヤは元々レーヤを慕い、尊敬しており
「俺が村長になった兄貴の補佐をするんだ」
といつも言っていた。
しかし、リーヤが命からがら村に戻って
村長の後継を決める頃になって
仲の良かった兄弟の関係性は
決定的に変わってしまった。
村長の跡を継ぐのは当初レーヤに
決まりかけていたが
リーヤが不服を申し立て
兄であるレーヤに決闘を申し込んだのだ。
狩猟民族の彼らにとって
強い者が村長になるのは自然なことだった。
また、魔獣の群れが村の外で
蠢いている現状が、より強いリーダーを
求める気持ちに拍車をかけ、
その決闘を周りも後押しすることとなった。
決闘の結末は意外なものだった。
当初誰もがレーヤが勝つと思っていたが
なんと、正々堂々と戦い、弟のリーヤが勝ったのだ。
レーヤは村に居場所をなくしたかのように
狩に出かけることが増え、
弟のリーヤは、周囲の期待以上の働きをした。
魔獣は自分を傷つけた者の匂いを覚え、
どこまでも追撃してくることがあるらしい。
そのため、魔獣討伐から戻ってきたリーヤは
村にいると、魔獣を呼び寄せてしまう。
そのため、王都から有能な魔法の使い手を呼び、
村に結界を張ってもらう必要があった。
魔獣の脅威を退けるため、村人をまとめ、
頭の固い長老たちと話をつけて
ついにはマタック村が王都の直轄地として
その庇護下に入ることが決まった。
王都からは、現村長がきて、光玉が持ち込まれ、
村に結界は張られた。
また、光玉によるセキュリティが施された屋敷(現村長屋敷)が村長一家のために、新たに建築され、リーヤはそこに移り住み、レーヤは寄り付かなかった。
王都からの支援は手厚く、村人の心の傷を癒すために、
ピエタという優秀な薬師も住むようになった。
この二人が来てから
村に大きな三つの変化が起きた。
一つは、村の周囲に魔獣の群れを見かけなくなった。
二つ目は、もともと村の薬師をしていたコリンはピエタの治癒能力に嫉妬して、村の離れで暮らすようになった。
そして、三つ目。
リーヤの死体が村の近くの山奥で発見されたのだ。
リーヤの死体は、戦った後もなく、
ただ無残に引き裂かれていたらしい。
魔獣の仕業ではなさそうだ。
誰かにナイフで切られたのか…
村人たちの間で様々な憶測が飛び交った。
それらの憶測は次第に収束していき
一つの仮説として
まことしやかに囁かれるようになった。
それは、
「レーヤが、リーヤを暗殺した」
というリリィからすれば、我慢のならない
ものだった。
しかし、
動機も状況証拠も
揃いすぎていたのだ。
兄弟間の確執。
レーヤはほとんど村に寄り付かず、
明らかに村人と関わりを避けていた。
そして、新しく建造されたリーヤの屋敷のセキュリティ。
夜間は家族以外の人間が門戸を叩くことも
できないようになっていたという。
そのことが、この噂の信憑性を高めていた。
レーヤは、光玉で住民登録もせず、村の離れに
簡単な家を建て、移り住んでいた。
しかし、その家にもほとんど帰ることは無く
夜狩をして、村のかつての信仰の対象である
ウプウアウト神に獲物を捧げるようになった。
リリィは幼馴染の不名誉な噂を信じる
村人たちに愛想をつかすとともに
レーヤとリーヤの真相を突き止めたい
という思いが日に日に増していった。
一方、シエラや、カプサは、
見回り組として
魔獣が何頭いるのか、正確に報告できなかったことを
ずっと後悔していた。
リーヤの話によると、討伐隊が
魔獣の群れを発見した時は確かに
シエラとカプサの報告した頭数と同じだった。
しかし、村の討伐隊が魔獣を強襲し、奮闘しているところに
付近に潜んでいた魔獣が突如襲ってきたということだった。
「俺たち討伐隊も襲われるまで
付近に魔獣の気配なんて
感じられなかった。
二人は悪くない」
リーヤは二人にそのように優しく声をかけたそうだが
それでも二人は
自責の念にかられているそうだ。
以前から、
マタック村の周囲では魔獣が目撃されていた。
気配察知に長けた村人たちは、
先に魔獣の気配を察知し、遭遇を避けることが容易にできていた。
魔獣に襲われるケースというのは
普通の獣に向けて放たれた矢が
たまたま魔獣にあたったり
魔獣を倒して、王都で名を上げようとする
村の若者が先に手を出したために起こっていた。
魔獣が気配を消して潜み、人を襲う
それほど狡猾な行動をとるとは
討伐隊も夢にも思わなかったらしい。
ここまで話を聞いて、俺は
セレイの隊のことを思い出していた。
群れで襲われる直前まで気配を
感じなかったと言っていた。
何か魔獣たちの行動に
変化が起きているのは確かなようだ。
さて、リリィたちに聞いた話の
続きに戻る。
リリィ、シエラ、カプサは
おれたちが村を出たことに触発され
王都で狩人になることを決意した。
ただ、シエラは
自分のチームの若い3人娘を
放っておけない。と思い直し、
リリィとカプサの2人にその思いを託した。
2人は
「狩人として
王都で腕を磨きたい」
と、村長に申し出た。
村長は意外にも、
快く送り出してくれたそうだ。
「狩人としての腕を磨き、
魔獣の退治ができる戦力が
増えれば、村のためにもなります。
それまでは、私の魔力でなんとか村を
守りますので・・・。
くれぐれも功を焦らずに……。
じっくり力を蓄えて帰ってきてください」
狩人になる
主な理由として
たしかに魔獣を倒すだけの腕を磨くことも含まれる。
しかし、それ以上に、魔獣の習性についてもっと知ること。
そして、王都に滞在することで
王都の情報網にレーヤやリーヤの消息についての
情報が引っかかることを期待している
これらの話を2人から聞き出すのに
まあちゃんはかなり
慎重に質問をしていたように思う。
真意を見逃さないように
注意深く2人の反応を観察していた。
まあちゃんはマタック村の村長を信頼していない。
ゆえに、この2人のことも信頼していない。
昨晩の最後の野営時に、
珍しく弱気なまあちゃんを見た。
「王都に入るためとはいえ
今でもマタック村の住民登録をしたのは
あまりにもリスキーだったかもしれない」
そんなことを言っていた。
お互いに話をし尽くした時には
もう、日が暮れていて
だいぶビールも飲んで
みんな惚けていたが、まあちゃんだけは
話を聞き終えてから
なにやらずっと考え込んでいる。
「まあちゃん、何か気になることがあるの?」
あえて、ストレートに聞いてみた。
「いや、何でもない」と言われることを覚悟していたが
まあちゃんは、リリィ、カプサの2人に
向き直り、仕切り直して
質問を口にした。
「マタック村の人が持つ
気配感知能力をスルーできるような…
『気配を消す』魔力をもっている人間に
心当たりは?」
リリィは意を決した顔をして言った。
「1人だけ…心当たりがあるわ」
「え、リリィ?」
カプサが心配そうに見つめる中
彼女はハッキリと言った。
「現村長。キドラントよ」
みんな静まり返り、
沈黙が恐ろしくなり
酔いも一気に冷めてしまった。
思わず口が開いた
「それって、どういう…」
「村長が『気配消しの魔法』
で魔獣の群れをサポートして
討伐隊を襲わせたってこと」
淡々とまあちゃんが説明した。
不穏な空気を感じていたが
改めて恐ろしい推測を口に出されると、
鳥肌がたってくる。
気配を消した魔獣の群れの襲撃による
前村長の死。
若き村長となったリーヤの死
そして、キドラントの村長就任。
「まさか、リーヤも?」
「ええ。少なくともリーヤを
殺したのはレーヤじゃない。
あの切り口。あれは絶対レーヤのものではない」
最後、リリィは呟くように言った。
「はっきり言って、私たちは、村長を疑っているわ」
リリィからいつもの柔和な表情は
消え去っていた。
その横顔からは底知れぬ怒りと悲しみ
を感じた。
「今の推理。
まさか、王都の人間に
聞かせてないだろうな」
「ええ。
魔獣の襲撃、リーヤの死
これらに村長が関わっていれば
それは、おそらく王都も関わっている可能性がある、
ということを心配してくれているのでしょう。
私たち以外誰も知らないわ。」
ああ!そういうことか!
裏で糸を引いているのが王都であれ、
村長の暴走であれ、
どちらにしろ公務員の汚職だ。
王都も無関係ではいられないのだ。
この中で、まあちゃんの
頭の回転に追いついているのは
リリィくらいだろう。
カプサは、横で鼻をほじっている。
「じゃあなんで、俺たちに
話して聞かせたんだ」
そこで、一旦リリィが
悲しそうに笑う。
「信じられる人が
今は、異世界から来た
あなたたちしかいないの」
「お願い、力を貸して欲しいの。
キドラントは誰に派遣されたのか
リーヤはなぜ殺されたのか
そして、レーヤはどこに行ったのか
一緒に調べてくれない?」
カプサも真剣な顔でお願いしてくる。
正直
こんなに突っ込んで話を
聞かなければ良かったと
後悔した。
もし、3人の仮説通り、
王都の仕組んだことだとしたら
この話を聞いてしまった時点で
俺も、まあちゃんも抹殺対象に
なってしまったということだ。
これ以上面倒ごとに関わりたくない
「その前に、こちらからも
一つ聞かせてくれ」
「え、なにかしら」
「俺たちと初めて会った時から、
俺たちが
異世界人だと分かっていたな?」
「・・・
その通りよ。」
「なぜ、知らないふりをした?」
「そうね。
一目見て、その力の強さは分かったし、
この世界に来たばかりだというのも
分かっていたわ」
「いつこの世界に来たかも分かってたの?」
と、驚く。
「ええ、たまたま見回りをしていたら、強い人の気配が2つ。本当に唐突に現れたからね。
一旦村に帰ってシエラとカプサを呼んで現場に行ってみたら、見知らぬ道具が河原にいっぱいあるんだもの。
2人は呑気に寝ているし、害はなさそうだったから翌朝、コンタクトを試みようと思ったの」
なるほど。
初めて魔獣と戦った後
俺たちがぐーぐー寝ているところを
見に来ていたのか。
そして、あの日見張りを任せろと言っていたまあちゃんは、
やはり早々に見張りを切り上げ、眠りについていたらしい。
全く、まあちゃんは変なところで、楽天的かつルーズになる。
「最初から、あなたたちに
村人に止まって欲しかったの。
少しずつ仲良くなってから真相を話して
協力してもらいたかった。
そして、村長や、他の村人に
あなたたちが『外の人』だと
気づかれたくなかった。
外の人と気づかれれば、村長は狩人になることを進めるでしょうし、村人として、受け入れることも難しいと思ってた…」
「でも、意外にもあっさり村長が、村人になることを認めた?」
「そう。長老たちに話を通すのはなかなか大変なはず。それでも、あなたたちの力が必要だったのかな。その割には、あなたたちが村からいなくなっても、執着していないようだったし…あの人の考えることは、よく分からないわ」
まあちゃんは
再びシンキングタイムに突入した。
村長のねらい。
俺たちを村人にして何をしようとしているのか。
なぜ、放し飼い状態なのか。不気味だった。
「まあ、とにかく、
私たちとしては、少しずつ仲良くなって、
今話したことを打ち明けて
仲間になってもらいたかったんだ。
それくらい
私たちは今、村の誰も信じられないし
王都の誰も信じられないでいるんだよ」
と、カプサが寂しそうに言う。
俺も、大学の休学を決める前は
自分の友達が本当の友達なのか
疑心暗鬼になった。
自分の幼馴染の一人は殺され
一人は、行方不明。
そりゃ、だれも信じられなくなる。
それで、異世界から来た得体のしれない
人間に頼るしかないところまで
追い込まれていたのだろう。
「なるほどね。
それで、あの昼食のお呼ばれに
歓迎会か…納得がいったよ。
幾ら何でも、外部の者に警戒心がなさすぎると
思っていて、そこが不審だった」
「いえ、あれはマタック村の古き良き慣習ってやつよ。
私たちの村は、あんな柵ができる前は
王都からの旅人や亜人たちが
村に立ち寄ればああやって歓迎したわ。
それで、外の世界の話を聞くことが楽しみだったの。
今では、外部の人間の出入りは厳しく制限されているけど」
「じゃあ、昼食会も歓迎会も素だったの?」
俺もまあちゃんも、
あの昼食会も歓迎会も
何か企みがあると思っていたが……
「そうよ?
カッコいい子がきてラッキーって
思ったよ」
とシエラがまあちゃんを見ながら
ニコニコ笑う。
その顔を見て、
信頼したい。
信頼されたい。
俺は感情に流されて
思わず言ってしまった。
「まあちゃん、この話、引き受けようよ。
でも、その代わり、俺たちの最終目標にも
協力してもらおう」
「……」
まあちゃんは、少し考えたあと
「…正直、俺は二人が
村長の差し金で来ている可能性を
捨てきれない」
「だから違うっつーの!!」
カプサがすかさず身を乗り出す。
「俺たちには、
今の話が本当かどうか
見定めるだけの情報がなさすぎる。
この世界を知らなさすぎるんだ。
ただ、依頼内容の一つ
キドラントが誰に派遣されたかは
今日中に分かるかもしれない」
「ええ!」
リリィとカプサが声を上げるが
構わずまあちゃんは続ける。
「その情報と引き換えに
俺たちの知りたい情報についても
無期限で調査に協力してほしい」
「無期限…」
カプサが不安そうな顔をする。
「いや、四六時中
情報集めに奮闘してくれ
と、言っているわけじゃない。
要は
こちらの世界の…
ネイティブにしか
探れないようなことが
出てきたら、二人にお願いしたいんだ。
こちらから調べてほしいタイミングが来たら
お願いするから、その時は、
何を差し置いても、調査を最優先してほしい。
今の条件でよければ、二人と
俺は契約する。
ケンちゃんはこの話とは、
無関係ということにしてほしい」
「え、俺も手伝っ…」
まあちゃんが目の前に
手のひらを広げて制止してくる。
任せろと言わんばかりに
無言で頷いている。
さすが、
駆け引きなれしている。
お願いする内容が具体的だし
こちらが差し出すものも
かなり明確になった。
しかも、俺を巻き込まないように
連名ではなく、まあちゃん個人の
契約にしようとしている。
以前、まあちゃんの
youtubeチャンネルでみた
「ふわっとした契約書を
作ってくる会社はダメ」
と言う動画を思い出してしまう。
「調査の内容を聞いてもいいかしら」
リリィが遠慮がちな口調で
でもはっきりした声色で聞いてくる。
さすが、マタック村の「お姉ちゃん」だ。
「ケンちゃん、いいかな?」
まあちゃんが確認してくる。
「もちろん」
「『俺は』異世界に帰る方法を探している」
え・・・。そこも隠すのか。
俺を巻き込まないようにする
配慮なのだろうが、『俺たち』と言ってくれないのが、なんだか寂しい。
それをまあちゃんが伝えた時
「まあ、自分の元いた世界には
行ってみたくなるよね」
と、カプサが妙に優しく
相槌を打ったのが意外だった。
そして、その反応を見て
この世界で、外の人が元の世界に
帰ろうとすること自体が
絶対的な禁忌ではなさそうだな、
と思い、安心した。
「王都まで来たのは、
俺たちと同様に
『外の人』が何か手がかりを
知っているかと思って来たんだ」
まあちゃんも安心したのか
先ほどまでのトーンよりも
だいぶ柔らかくなっていた。
「分かったわ。協力する。」
リリィが決意に満ちた表情で
言った。
「あんまり、無茶な調査は
いうなよ…」
カプサが、少しビビりながら
付け加える。
「OK。契約完了だ」
そういって、まあちゃんは
口の端をかすかに上げた。
まあちゃんの自己開示の
かいあって、
狩人にいる『外の人』に関する情報が
少し得られた。
実際、
他の異世界から来た者たちは
記憶を失っているためか
特に、異世界に帰ろうとしている
そぶりは見ないそうだ。
まあ、まあちゃんの予想通りというところか。
狩人の『外の人』から、元の世界に
戻る情報を得るのは難しいのかもしれない。
むしろ、
狩人をやっている『外の人』
に関しては、
狩人として、
この世界で、誰よりも
魔法を駆使して楽しんでいるように
見えるそうだ。
実際、狩人の中でも別格とされる
8人の上位ランカーは
ただ一人を除いて、
全員『外の人』という話だ。
それを聞いて、ふと疑問が生まれた。
元の世界の記憶を失って
知らない世界に放り出された人間が
そこまでのし上がることが
できるものだろうか。
本当に記憶がないのだろうか、と。
元の世界に居場所がなくて
むしろ、元の世界のことを思い出さないように
この世界で居場所を作ろうと
必死ではしゃいでいるだけではないのだろうか。
俺たちと同じように異世界から来た
狩人に会ってみたい。
会って、日々何を考えながら
狩人の仕事をしているのか
聞いてみたい。
異世界で
来る日も来る日も
魔法を駆使して魔獣を狩る。
考えられない。
まあちゃんは、
今何を考えているのだろう?
窓の外を眺めている。
確かに夕日が窓から
差し込んでいて、美しかった。
まあちゃんらしくもなく
異世界の酒場で
なんとも言えないノスタルジーに
浸っているのだろうか。
などと、考えていると
突然、
まあちゃんは消えた。