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【脚本】不思議の国の愛離棄  作者: 春霞紫桜
3/5

邂逅2

【ルート分岐】

白ウサギは、……ここにはいないよ


アリス「そう」

森の木「探しに行かないのかい?」

アリス「後でも追いつけるわ。ここが誰の夢かは、分からないけれど。この舞台が誰のモノかは分かるもの」

森の木「誰のものだい?」

アリス「人生は自分が主役、というでしょう? 私の舞台よ。そして、貴方の舞台よ」

森の木「分かってないんだね」

アリス「フフフ」


森の木「アリス」

アリス「なぁに?」

森の木「どうして眼を合わせてはくれないんだい?」

アリス「私、人の眼が好きよ。でも、視線を合わせるのは好きじゃないの」

森の木「どうしてだい?」

アリス「眼は口ほどにものを言うわ。眼が語る私への思いを、見たくないのよ」

森の木「俺は君を蔑まないよ」

アリス「フフフ、知っているわ。でも私の眼には、全部そう見えるのよ」


 アリス、森の木に背を向け続ける


アリス「辛くはないわ、苦しくはないわ。笑っていれば、涙も零れないもの」

森の木「知らないことは、知らないよ」

アリス「知っていることは、知っているわ」

森の木「辛くはないのかい?」

アリス「辛くないもの」

森の木「苦しくはないのかい?」

アリス「苦しくないもの」

森の木「泣きたくはないのかい?」

アリス「涙が出ないもの」

森の木「死にたくは、ないのかい?」

アリス「意地悪をしているの。小さな仕返しよ。死んでほしいと願われるなら、幸せそうに生きるの。小さな、意地悪よ」

森の木「生きていたくは、ないのかい?」

アリス「フフフ、そうね。楽しいのなら、生きていけるわ」


 アリス、森の木へ振り返る

 視線は合わない


アリス「痛いのは平気。毎日耐えてきたのだもの。嫌われるのは平気。毎日そうだったのだもの。苦しいのも怖いのも辛いのも平気。もう全然、感じない。でも、やっぱり、楽しい方がいいものね」

森の木「アリスに俺は必要かい?」

アリス「えぇ。私とこうやって話してくれるのは、森の木さんだけだもの。きっと、森の木さんのような方を『友達』と呼べたら素敵だわ」

森の木「呼ばないのかい?」

アリス「友達がなんなのか、分からないもの。毎日『死ね』と言ってくる人を、友達と呼べるの?」

森の木「アリスが呼びないなら、呼べばいいよ」

アリス「フフフ、そうね」

アリス「ねぇ、森の木さん」

森の木「なんだい?」

アリス「愛とか恋とかって、なんだと思う?」

森の木「知っていたなら、知っていたよ」

アリス「知らないのね。なら同じだわ。私も分からないもの。好かれたことなんて、一度もないのだから」

森の木「アリスが望むのなら、俺は愛してあげるよ」

アリス「フフフ。こういうのは、望むより望まれるのだというわ。望んでしまったら、手を伸ばしても届かない程遠くに逃げてしまうのよ」

森の木「そうなのかい」

アリス「えぇ。だから、私は望めない。森の木さんが、望んで愛してくれないのなら、私はその感情を捨てるの」

森の木「そうかい」

アリス「そうよ」


森の木「アリス」

アリス「なぁに?」

森の木「帽子屋は、お茶会を続けている。止まった時計に、自分もまた止まってしまったから。でも、アリス。永遠と思っていたものは、案外簡単に解けてしまうものだよ」

アリス「知らないことは、知らないわ」

森の木「帽子屋が思い込みだと気付いたのなら、彼は狂った時間を捨てる。残るのは、ただの帽子屋だよ」


森の木「ねぇ、アリス」


 森の木、アリスを見つめる

 アリス、見つめ合っているようで眼を閉じて笑っている


アリス「ねぇ、森の木さん」

森の木「なんだい?」


 アリス、眼を開く


アリス「貴方は、だぁれ?」


 照明、落ちる

 森の木、見つかる/見つからない

 ルートが分岐する




【ルート分岐】

森の木、


見つからない→アリスエンド


見つかる→森の木エンド

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