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【脚本】不思議の国の愛離棄  作者: 春霞紫桜
1/5

邂逅

この作品は脚本です。

小説とは書き方が異なります。

ルート分岐に沿ってお読みください。

 明かりつく

 何もない舞台

 森の木が立っている

 上手よりアリス登場


アリス「(笑っている)」


 アリス、スキップをしたり上機嫌に舞台を歩き回る

 森の木、徐々に場所を移動する

 森の木、アリスの前に立ちふさがる


森の木「……」

アリス「フフフ」


 アリス、森の木をスルーする

 数回繰り返す

 森の木、痺れを切らしアリスに声をかける


森の木「やあ、アリス」

アリス「こんにちは」


 アリス、振り返り挨拶をする

 振り返った後に声の主に驚く


アリス「まぁ」

森の木「こんにちは、アリス」

アリス「きっとここは夢の中なのね。だから貴方は喋られるんだわ。フフフ、こんにちは、森の木さん」

森の木「どうしたんだい、アリス。こんなところで」

アリス「どうしたのかしらね、私は。きっと白ウサギを追いかけてきたのだわ」


 森の木、落ち着くことなく動き回る

 アリス、森の木に視線を投げ続ける

 森の木がアリスを見ると、アリスは視線を外す


アリス「森の木が喋るなんて、アリスの物語ではあったかしら? 確か、草花のほうじゃなかったかしら?」

森の木「アリス」

アリス「なぁに? 森の木さん」

森の木「帰り方は知っているのかい?」

アリス「知らない事は知らないわ。知っていたら、帰れるわ」

森の木「知らないんだね」

アリス「フフフ、どうなのかしらね?」


 森の木、アリスを中心に円を描く様に動き続ける

 アリス、嬉しそうに笑い続ける


アリス「きっと夢から醒めたら帰れるわ」

森の木「夢からの醒め方は知っているのかい?」

アリス「知っているなら、知っているわ」

森の木「知らないんだね」

アリス「フフフ」


 森の木、動きながらアリスと視線を合わせようとする

 アリス、笑い続けるが森の木と視線を合わせない


アリス「私ね、トランプならスペードが好きなの。ハートの女王様に怒られないかしら?」

森の木「どうだろうね。怒られたいなら、怒られるといいよ」

アリス「あら、なら怒られるわ」

森の木「どうしてだい?」

アリス「きっとその方が、楽しいもの」

森の木「そうかい」

アリス「私がここにいるのは、きっと私も人ではないからなのね」

森の木「どうしてそう思うんだい?」

アリス「フフフ、おかしな事を聞くのね。だってみんなで言うじゃない」


 森の木、はたと止まり首(幹)を傾げる

 アリス、愉快そうに話を続ける


アリス「『お前は化け物だ、怪物だ』って」

森の木「そうなのかい?」

アリス「あら、違うの? だって毎日言われるわ。身だしなみには気を付けていても、人でないことは隠せないのね」

森の木「みんなって誰だい?」

アリス「みんなはみんなよ。みーんな、そう言うの。わかるでしょう?」

森の木「知っているからね」

アリス「フフフ、意地悪なのね、森の木さん」

森の木「そうかもしれないね」

アリス「ねぇ、白ウサギはどこ? 終わらないお茶会は?」

森の木「見つけてどうするんだい?」

アリス「あら、決まっているわ。お茶会に入れてもらう為に、殴るのでしょう?」


 アリス、素振りをする

 森の木、再び動き始める


森の木「物騒だね」

アリス「違うの?」

森の木「違うことは、違うよ。違わなければ、入れてもらえるさ」

アリス「間違っているのね?」

森の木「そうだね」


 アリス、腕を下す

 どこか寂しそうな表情


アリス「おかしいのね、ここは」

森の木「どうしてそう思うんだい?」

アリス「だって、そうなのでしょう? 挨拶は、身体で示すのでしょう?」

森の木「どうしてだい?」

アリス「みんな、私を殴るわ。毎日、毎日。私を蹴ってくる子もいるわ。それが当たり前なのでしょう? だから誰も、止めないのでしょう? これが、挨拶なのでしょう?」

森の木「俺にはしなかったね」

アリス「フフフ、だって、森の木さんは私に手を上げなかったでしょう? 行儀よく挨拶できたと思うのだけれど、間違っていたかしら?」


 森の木、動きを止めアリスを見下ろす


森の木「間違っていないよ、アリス」

アリス「フフフ、よかった」


 森の木、動き始める

 アリス、舞台の上を歩く

 不思議そうに首を傾げる


アリス「でも、おかしいわよね、ずるいわよね」

森の木「何がだい?」

アリス「だって、私が手を上げると、みんなで怒るのよ? 『何てことをするんだ』『最低な奴だ』『暴力を止めろ』って。おかしいわよね、私が反対の立場にいる時は、誰も止めないし怒らないのに」


 アリス、森の木へ振り返り、眼を合わせぬまま笑う


アリス「ねぇ、森の木さん。貴方も、私を可笑しい子だと思う?」

森の木「狂った部分は、生きているなら必ずあるよ」

アリス「思っているのね」


 アリス、拗ねたように顔を背ける


アリス「ねぇ、森の木さん。貴方は生きているの? それとも死んでいるの?」

森の木「どうしてだい?」

アリス「質問ばっかりね」

森の木「アリスだってそうだよ」

アリス「フフフ、そうね。森の木さんは、夢の中に居るのだから、生きているのか分からないもの」

森の木「生きて欲しいと思うなら、生きるよ。死んでほしいと思うなら、死ぬよ」

アリス「ダメよ、私は選べない」

森の木「どうしてだい?」

アリス「私は死を望まれているのだもの。そんな私が望んだら、貴方もすぐに死んでしまうわ」

森の木「誰に死を望まれているんだい?」

アリス「みんなよ。挨拶代わりに、毎日言うのよ。『死ね』『消えろ』『いなくなれ』『いらない子』って」


 森の木、動きを止めない

 アリス、心底楽しそうに話を続ける


アリス「誰も止めないのよ、誰も怒らないのよ。だから、私は生きることを望まれていないのよ」

森の木「いささか性急過ぎないかい」

アリス「どうして?」

森の木「沈黙が肯定とは限らないよ」

アリス「変なことを言うのね。沈黙は肯定よ。否定する勇気がないから、肯定するのよ」

森の木「君は、なんとも思わないのかい?」

アリス「えぇ、もう、なんとも。そうしないと」


 アリス、とびきりの笑顔


アリス「とっくに死んでいるわ」


 場が凍る気配がする

 アリス、笑っている


アリス「フフフ、森の木さんはおかしいのね」

森の木「アリス」

アリス「なぁに?」

森の木「君が望むなら、」


 森の木、動きを止める

 森の木、アリスを真っ直ぐ見る

 視線は合わない


森の木「俺が君を殺してあげるよ」


 アリス、驚いて眼を見開く

 視線は合わない


アリス「フフフ、本当に可笑しいわ。森の木さんは、樵の妖精なのかしら」

森の木「どうしてそう思うんだい?」

アリス「樵が木を切るように、私の命を刈り取るのでしょう?」


 アリス、素振りをしながら笑う


アリス「ねぇ、森の木さん。白ウサギはどこ?」

森の木「白ウサギは、……あっちだよ/ここにはいないよ」


 森の木、アリスの質問に答える

 ルートが分岐する




【ルート分岐】

白ウサギは、


あっちだよ→白ウサギがいる


ここにはいないよ→邂逅2

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