第8話 : そして彼等は新しい街へ行く
第8話の公開です
第1章が終わるまではある程度のペースで書き続ける予定です!
あくまで予定なので忙しくなったりすると書き続けられるか分かりませんが…
それでも頑張りますのでよろしくお願いします
新しく覚えた大量の魔法を試し撃ちし終わり、俺は地上に戻る準備をしていた
「酷いです…私汚されちゃいました…」
あれから本当にミラクリアを標的に試し撃ちしていたのだが…
「おいやめろ、その言い方は変な誤解を受ける、それにお前結局1発も当たらなかっただろ」
ミラクリアは俺の思っていた以上に動けるようで俺の放った魔法に一度も当たる事なく回避し続けたのだ
「てへっ!」
そんな事を言いながら変なポーズを決めている
なんでこんなアホっぽいのに…
「とりあえず、今日からは睡眠とかも地上で取るようにするから滅多な事がない限りここには戻らないから、その辺よろしくな」
そう言いながらメニューを開き降神召喚を実行する画面まで来て
「あ、そうだ、また魔法の試し撃ちには来るかもな」
そう付け加えて俺は地上に降りるのだった
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それから地上
「ん…?」
地上に戻って目を開けると何故かミリアが俺の腕を抱き枕のように掴んで寝ていた
ミリアは向こうで寝ていた筈なんだがなあ…ま、いいか
そう思いながら今度こそ俺も眠るのだった
それから5時間後
「ん…あぁ…朝か」
俺は目にかかった日差しで目が覚めた
「あ、シンジ、おはようございます」
ミリアはとっくに起きて朝食用の焚き火を用意しているところだった
「あぁ、おはよう」
そう言いながら横を見るといびきをかきながら寝ているキーリスとうなされているフォーブル
いや、キーリスに関しては見張りはどうしたんだよ…
そんな事を考えてため息をついていると
「シンジ、ちょっと…こっちに来てください」
そうミリアに呼び出された
それからギリギリ寝たままの2人を確認できるところまで来たところで
「あの、どうして私の事、あの2人に嘘をついているんですか?」
まあ、その事だろうとは思った
「たしかにあの2人は律儀に仲間を安全な場所に届けてから俺たちの所にもどってくるような奴らだ、良いやつなのかもしれない、だが、それと信用する事は別だ、あいつらが信用できないうちはミリアもSランクスキルである事を知られるのは避けたい」
「それは…シンジのスキルでそう判断しているのですか…?」
スキル…?あぁ、危機回避の能力であいつらに話さないのを決めてるのかって事か
「いや、これは俺の個人的な考えだ、もちろんミリアがどうしても騙すのが嫌だと思うなら、あいつらに真実を話す事は別に構わない」
それからミリアは少し考え込んだ後
「分かりました…シンジの考えに従います」
そう俺の考えに賛成してくれた
それから少し木の実を集めてから戻るとフォーブルが起きていた
「やあ、おはよう、2人でどこへ行っていたんだ?」
「少し朝食の為にその辺の木の実を集めにな、ところで…そこのおっさんはいつになったら起きるんだ…?てかこいつ見張りやってたのかよ?」
いつまでたってもいびきをかきながら寝ているキーリス、いい加減うるさい
「見張りに関してはキーリスの分も俺がやったから、そこは安心してくれ」
いや、そういう問題でもないだろう…結局こいつは見張りをやっていないという事だろう…?
これはお仕置きが必要だな…
そう思いながら俺は少しにやけた顔をしていたらしく
「シンジ…何か良くない事を考えてはいませんか…?」
そうミリアに指摘される
「いやいや、ただこいつにお仕置きが必要だなって考えてただけだよ!」
そう弁解するもミリアは「やれやれですね…」と言いながら朝食の準備に戻っていった
「さて、とりあえず起こさないといけないよな」
そう言って俺は魔法の詠唱を始める
『我乞うは流るる水の力、今我が剣となりて敵を切り裂く刃となれ、アクアリムスソード』
「ちょっと、シンジ…⁉︎ 」
流石に魔法の詠唱にはフォーブルも驚いていた
「あー、大丈夫大丈夫、これはこうやって使うんだよ」
そう言ってキーリスの上に剣を掲げて
「アクアリムスソード、リリース」
その瞬間水の剣は形を失いただの水になってキーリスの顔に振りかかる
「ぶあぁっ⁉︎ 何事だぁ⁉︎ 」
「やっとお目覚めか、おっさん?」
俺は満面の笑みで寝起きを歓迎してやる
それからといえば俺がキーリスの見張りの件を糾弾した後、ミリアの作った朝食が完成したので食事を取った
「さて、それじゃあそろそろ出発するか」
荷物をまとめた俺はミリアを見てそう言う
すると、フォーブルがこちらに駆け寄ってくる
「シンジ、君はこれからどこへ行くんだい?」
「そういや、この森を抜けるって事は決めていたが、その先どこに行くなんて考えてなかったな」
俺は今になりどこにも目的地を定めてない事を思い出す
実は俺って計画性ないのか…?ちょっとヘコむな…
「それならば、俺たちと一緒にこの先にある街、フェイグランに向かわないか?」
フォーブルがそう提案してきたのだが、街か、情報収集とかも出来そうだしいいかもしれないな。
「俺は土地勘が無いしな、そのフェイグランという場所まで案内してくれるのはありがたい、是非頼むよ」
俺がそういうとフォーブルは決まりだな!と言いながらキーリスを呼びに行く
するとミリアが俺の服を引っ張り
「あの…街に入る、という事は私のギルド登録証をあの2人の前で出さないといけないのですが…」
……しまったぁぁ!!!
そうだ、村や街に出入りする時は通行証の提示が必要なんだった…まずい、行くと言ってしまった以上ここで断る事はできない…
くっ…こうなったら街に向かいながら考えるしかないか…
そうこう考えているとフォーブルがキーリスを連れてやってきた
「さあ、出発しましょう!」
なぜかご機嫌なフォーブルが出発の合図をする
まあ、街に着くまでかなりの時間はあるだろう、それまでにはいくつか案は浮かぶさ…
それから30分後…
おかしいだろ…なんで森を抜けてすぐの場所にこんなでかい街があるんだよ…‼︎
クソッ…どうする…逃げるか、いや逃げてどうする!
あーもうどうすれば!
そんな事を考えているうちにもう入り口だ
「通行証をお願いします」
そう言われてフォーブルとキーリスが登録証を出す
くっ…万事休すか…!
そう思いながら登録証を出しているとフォーブルが
「あ、この子はシンジの付き人でギルド登録は無いらしいですー」
そう言っている
バカ野郎ーーー!!状況がどんどんややこしくなるだろうがー!
そんな事を思っていたのだが
「あ、そうなんですか、分かりました、では3人の登録証が確認できましたのでどうぞ」
は……?
え…?それでいいの?なにその付き人ボーナスみたいな、登録証無しで入れるのか⁉︎
ともかく、何とも言えない気持ちではあるが街に入る事は出来たのだった…
それにしてもデカい街だな、たしかにこんな物を見た後だとミリアの住んでいた村が村って思えるよな…
「よっし、じゃあとりあえず俺たちはギルドに寄ってからもう1人の仲間の所に行ってくる」
そうフォーブルが言った時、そうだったな、こいつらは3人のパーティだったな…
「そういえば、怪我をしている仲間がいるんだよな、怪我の具合はどうだったんだ…?」
俺がもう少し早く助けに入れればもしかしたら怪我をしていなかったかもしれないと思うと少しだけ責任を感じるのだ…
「あー…あいつは、もう冒険者としてはやっていけないんじゃないかな…足をやられて、傷が深すぎたんだ…」
そんなに酷い怪我だったのか…俺が助けに入った時は一瞬でシードウルフに詰め寄りもう1匹のシードウルフにも気を配っていたから傷の具合までは知らなかった
「なあ、俺もその仲間の所について行っていいか…?」
気がつくと俺はそう言っていた
フォーブルは俺の言葉に最初はかなり驚いていたが、少ししてから「分かりました」と言って同行を許してくれた
それからギルドに向かい俺とミリアはギルド前で2人が報告を行っているのを待っていた
「あの…シンジ…私のせい…ですよね…?私が…シンジを引き留めたから…」
そう俯いて泣きそうになっているミリアに俺は
「ミリアのせいじゃないさ、あの時ミリアが止めなかったとしても俺が間に合っていたか分からない、だからミリアのせいじゃない」
そう言いながらミリアの頭を撫でてやる
しばらくするとミリアも落ち着いたようだった、それと同時にギルドから2人が出てくる
「報告終わりましたよ、これは、シンジに」
そう言って袋を渡されるのだが
「これは…?」
中には銀色の硬貨が50枚ほど入っていた
「俺たちの受けてた依頼は森の中に現れた謎の魔物の討伐だったんです、けどそれがシードウルフだったとは…あのシードウルフを倒したのはシンジですからその報酬金はシンジが受け取るべきです」
と言われるのだが…俺はたまたま通りかかっただけだしもしかすると俺達がやられていた可能性だってあった訳なんだ…
そう思いながら、俺は袋から20枚ほど硬貨を取り出してからフォーブルに袋を返す
「たしかに倒したのは俺だが、俺が先に襲われていたらミリアを守りきる事が出来たかすら危うい、それはおまえ達への俺からの礼金とでも思ってくれ」
そう言うとフォーブルはありがとう…と言いながら袋を握りしめる
それから少しして俺たちは2人の仲間が運び込まれた病院に向かった
ご愛読ありがとうございます
今回はシンジのちょっとだけバカ(?)な所が露見する回でした
ミリア付き人ということになっていますが、いつまでこんな状況が続くのか
病院についたシンジは何を思うのか
次回もよろしくお願いします