第4話 : そしてその能力は開示される
更新4話目です
今回の話で序章はおしまいです
これからゆっくりな更新頻度になりますがたのしんでいただければ幸いです
ゴブリンとの戦闘を終えてどれくらい時間が経っただろうか
俺とミリアは森を抜け街道を歩いていた
「もうすぐ私の住んでいる村に着きますよ」
日は傾き、空がオレンジ色に染まっている中ミリアは村がもうすぐである事を告げる
「よかった…もうすぐなのか、流石に少し疲れたな」
異世界に来て神になった俺だが結局は三十路越えのおっさんなのだ
あれ…そういえば、今の俺ってどんな外見なんだ?日本にいた時と一緒なんだろうか…
そんな事を考えながら新しい武器になりそうな素材をミリアに気付かれないように探しながら歩く
咄嗟の事とはいえゴブリンに襲われた際にクリエイトを使ったがミリアには見られていなかったようで俺は木の棒でゴブリンを撃退した、という事になっているらしい
『やっぱり、クリエイト能力はあまり見せない方が良いよな…』
と、そこでミリアが足を止める
「シンジさんもお疲れのようですし…そこの川で休憩して行きますか?」
見ると凄く綺麗な水が流れる川があった
日本では絶対にお目にかかる事の出来ないであろう凄く澄んだ綺麗な水だ
「そうだな、少しだけ休ませて貰おうかな」
俺は川辺に近づき水をすくって飲んでみる
ーーゴクッ
……なんだこれ、めちゃくちゃ美味しい…!
程よく冷たく、なんといっても身体の芯から潤される感じが凄く新鮮だ
そんな事を思い目を輝かせていると
「よほど疲れていたんですね」
ミリアが笑いながら俺を見ていた
水を飲むだけで感動して笑われるなんて、なんだか少し恥ずかしいな…
「さ、さて、村に向かおうか」
俺は耐えられず誤魔化しながら出発する
それから30分程経った頃
「お?あれは…」
かなり大きめの木で出来たバリケードと門が見えた
「はい!あそこが私の住んでいる村ですよ!」
村…ねぇ…
バリケードといい門の前にいる兵士といい圧倒的に小さい村、という雰囲気ではないのだが…
「なあ、この村にはどれくらいの人が住んでるんだ…?」
「私も詳しくは知らないんですけど、多分10万人位じゃないですかね?」
村か⁉︎ それは村なのか⁉︎ 街の間違いじゃないのか…?
「な、成る程なー…」
この世界の基準とかそういったことが全く分からない以上、今は聞いた事を受け入れて勉強しよう…
そんなこんなで門の前に着いた所で門の前に居た兵士が
「通行証の提示をお願いします」と言った
へ…?通行証…?
ミリアは「はい」と通行証を手渡している
「あの…俺、通行証とか何も持ってないんだが…」
そこで兵士が驚く
「え…⁉︎ では何処からやって来たんですか?」
どこから…まあ神の間から、なのだが…
「えっと、ずっと先にある森の中の小屋に住んでたんだ…そこから…」
と答えるのだが
兵士はうーん…と唸りながら困っている
そんな時ミリアが
「この人は大丈夫ですよ、森の小屋に住んでいたのも本当ですし、何より森でゴブリンが現れた時に自らの危険を顧みず私を助けてくださいましたから」
と、俺の身の潔白を証言してくれる、ありがとうミリアさん
「分かりました、ではこちらの仮登録証を渡しておきますので村にあるギルドに行って登録を行っておいてくださいね」
そういって一枚の紙を渡された
村にギルドがあるのか、情報も集まりそうだし行ってみる価値はありそうだな
そんなこんなあり、無事に村に入る事が出来た
しかしまあ、やっぱり中に入っても村、というよりは街だなこれは…
建物もある程度発展していて煉瓦造りの建物が多い印象だ
「さてと、村に着いたし、ミリアさんには凄くお世話になっちゃったな…」
と言った瞬間「えっ…」と声がする
「え…?ミリアさん、どうしたんだ?」
「いえ…シンジさんはもう、行ってしまうのかと…思って…」
凄く悲しそうに俯いてミリアは落ち込んでいる
あー…失敗だったな…しかしなあ…
「えっと…一応しばらくこの村には滞在するつもりだ、ただ…俺はこの世界を見て周らないといけないんだ…凄く長い旅になるし…」
とそこまで言った所で
「……きます…」
え?
「ついて…いきます!」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
「な、えっ?ついてくるって⁉︎ 俺の旅にって事⁉︎」
「当然です!シンジさんはどう見ても世間知らずですし、1人で旅なんて絶対に無理だと思います!」
うっ…ぐうの音も出ない…
「いや、でも世界を周るってことはそれだけ色々と危険な事もあるわけで!ミリアさんには!」
「私はこれでも魔法書を使えるんですよ!自分の身を守ることだってできます!」
そう言ってそっぽを向いてしまう
「いや、でも…やっぱり危険じゃ…」
そこまで言った所で
「では、シンジさん、ギルドでの登録手数料は支払えますか?今夜の宿、ご飯はどうするんですか?」
うぐっ…痛いところを突いてくる…
というかギルドの登録って手数料かかるのか…
これを言ったらまた世間知らずのレッテルが強化されてしまいそうだから黙っておこう…
「わかったよ…でも旅の中で危なそうだったら絶対にすぐ逃げてくれよ?」
念を推して何かあればすぐに逃げるように約束をして貰う
旅の同行が決まりミリアは少し上機嫌になる
「ではギルドに登録に向かいましょう」
ミリアの足取りが少しスキップ気味になっているような気がする、きっと気のせいだろう
「ここが、ギルドか…やたらデカい建物だな…」
木造ながらも巨大で燃やしても壊れないんじゃないかというような建物だ
「登録カウンターは入って左側の奥ですからね、これが手数料です」
そういって銀色の硬貨を5枚渡される
この世界の通貨に関しても勉強しないといけないな…
俺は登録カウンターまで歩いて行き
「すまない、登録をしたいんだが」
そう言って門の前にいた兵士に貰った紙と硬貨を出す
「登録は冒険者登録ですか?行商通行登録ですか?」
なんだ行商通行登録って…まあ、冒険者登録で大丈夫だろう
「冒険者登録でお願いします」
「わかりました、ではステータスを確認して登録証を作成しますので右手の手の平を広げて出してください」
そう言われ右手を出して待機する
登録員の人がカード?を2枚取り出し俺の右手を挟むようにして持つ
「では、始めますので動かないでくださいね」
その瞬間手を挟んで上にあったカードが燃えて無くなり下にあったカードに何やら色々書かれていく
NAME : 霧真 神師
Male
Skill : 危機回避 : Rank.SS
Weapon : 不明
と印字されていき、ギルドの登録員がかなり驚いた顔をしている、どうしたんだ?
「え…えぇ⁉︎ ランクSSのスキル⁉︎ それに武器不明…?こんなもの始めて見ましたよ…⁉︎ 」
あー、武器は作っていろんなの使うしなあ
「そんなに凄いのか?」
「凄いなんてものじゃないですよ!ランクSSのスキルなんて始めて聞きました!今までに発見された最高位スキルでもSランクでしたから…」
なるほど、そこまで希少なものだとは知らなかった
そんな時騒ぎを聞きつけたミリアがやってきた
「どうしたの?何か問題があったの?」
そういいながら現れたミリアに、ギルド登録員が
「ミリアさん!この人は何者なんですか⁉︎ ランクSSのスキルなんて始めて見ましたよ!」
と興奮気味にミリアに詰め寄る
「え、SSのスキル…?えぇ⁉︎ シンジさん…SSの能力持ってるって…本当だったんですか…⁉︎」
ミリアまで驚きで混乱しているじゃないか…
「とりあえず登録証はそれで完成ですか?それなら早めにここを退散させていただきたいんですけど…」
少しずつ増え始めているギャラリーにもみくちゃにされる前に退散しようと俺はカードを受け取り聞く
「え、えぇ、登録は完了です、今後はそのカードを提示する事で村への出入りが自由にできます」
そう説明され、聞くことは聞けたので
「わかった…じゃあ、ありがとうございましたー!」
そう言い残してミリアの手を引き足早にギルドを後にする
まさか最高位のスキルとはいえここまで騒ぎになるなんて思ってもみなかったな…
それからしばらく村を見て回りミリアの使っている家に着いた
「どうぞ座ってください、すぐにご飯を準備しますから」
そうミリアに言われ適当に椅子に座る
少し待っているとすぐにミリアが完成したスープを持って戻ってきた、凄くいい匂いだ
「いただきます!」
美味しい…!おそらく森で採ってきた木の実を使っているのだろう、味はあっさりしているのだが後を引くコクがすごくクセになる
「凄く美味いよ、ミリアさん!」
「いえ…ありがとうございます」
ミリアは顔を真っ赤にしながら俯いた
それからスープを堪能してから食事を終えた
「それにしても、本当にランクSSだったんですね…」
俺の登録証を見ながら呟く
「まあ、まだ使いこなせているのかよく分からないんだけどね」
「それにしても、武器不明っていうのはどういう事なんでしょう…?私とかだと魔法書っていう風に表示されるんですけど…」
まあ、不明、なんて書かれてたらそりゃ不思議だよな…仕方ない、これから一緒に旅をする訳だし話しておこう…
「えっと、ミリアさん、驚かないで欲しいんだけど、俺にはスキルのほかにもう一つ特殊な能力があって…クリエイトって言うんだけど、素材から特定の武器を生成する事が出来るんだよ」
そこまで言うとミリアはまた目をまん丸にしてから、もう何がなんだが…と言いながら突っ伏した
「とりあえず…今後は一緒に行動するのですし、私の登録証も確認しておいてください」
そういってミリアの登録証を渡される
NAME : ミリア = サーニウス
Female
Skill : 詠唱破棄 : Rank.S
Weapon : 魔法書
えっ…?ランクS…?
「なあ、ミリアさんって…もしかして、めちゃくちゃ強かったりするのか…?」
まさかと思い聞いてみるのだが…
「この村ではおそらく1,2番目に強いんじゃ…ないでしょうか…?あ、でもシンジさんがいたら1番は確実にシンジさんですね」
こんな事ってあるのか…と思っていたが、よく考えれば当然か、これだけ強くなければあんな森の中で女の子1人で木の実集めをするなんて事ないよな…
そう思いながら互いの登録証を返す
「それで、シンジさんはいつ、この村を出発するつもりなんですか…?」
「そうだなとりあえずミリアさんの準備もあるだろうし2,3日後くらいかな…?」
出来ればここにいる間に神の間に戻ったりして色々確認しておきたいしな
「わかりました、2日後の朝に出発しましょう」
そんな会話を交わして俺たちはそれぞれ寝るのだった
今回で序章、世界の創造編は終わりです
次回第5話からは1章、世界の冒険編が始まります