第1話 : そして世界は終わる
初投稿です、現状の環境が環境なので更新頻度はかなり低いと思いますのでご了承下さい
「今日も飯と酒が旨い!」
俺は仕事終わりに同僚2人と毎日のように通っている居酒屋へと立ち寄り食事をしていた。
「そういえば、霧真先輩昨日のニュース見ましたか?大阪の塞害について」
同僚の後輩が唐突に切り出す。
誰に説明する訳でもないのだがここにいる面々を紹介しよう
俺は霧真 神師、ごく普通の31歳独身のサラリーマンだ
先程ニュースを見たかと切り出してきたのが後輩の水坂 北音、同じ部署に勤務している25歳
交際相手がいるかどうかは知らん!というか居たら呪ってやる…
そして最期に俺と同期で勤務している首藤 南野
確か29歳のはずだ、見た目はどう見ても高校生みたいな奴だが…
とまあ、そんな感じの2人と居酒屋で飯を一緒してる訳だが
「大阪で塞害?そんな話は初耳だが、そんなニュースやってたか?」
今、日本という国では2つの脅威に晒されている
1つは先程から話に出てくる塞害、これは原因は未だに不明だが突然その地域に立ち入る事も出る事も出来なくなり徐々に黒い壁に覆われる、そして壁はしばらくすると消えるのだが決まって塞害が起こった地域は何も残らない、そう建物も地面も何も残らない何も無い空間になってしまう。
そして2つ目の脅威、それはこの国自体だ
今この日本という国には統制者として上に立つ人間が居ない、つまり無法国と化しているのだ
幸いにも警察機関自体は働いているので目立った犯罪等は起こっていないが、税収などの政府機能がストップし経済が衰退していっている今この国の存亡も時間の問題だろう。
それでも世界は一応に回っているのだから不思議なものだ
「大阪が塞害に飲まれたのは1週間くらい前の事らしいっすよ、怖いっすねー!次は自分達のいるこの東京かもしれないですね」
水坂は何故か楽しそうに笑いながら話している
東京が塞害に飲まれる?勘弁してくれ、恋人が出来る前に死んでたまるか!いや、そういう歳でもないんだが…
「やめろ水坂、お前が言うとフラグに聞こえる…」
ずっと酒を飲んでいた首藤がようやく口を開いた
というかそこでフラグっぽいとか言っちゃうとマジでフラグになるんじゃ…
「まあ、日本で塞害が起きたのなんて鳥取と今回の大阪の2回だけですし大丈夫ですって!」
とか軽く言い放ち笑いながら新しいビールを注文している
「はぁ、なんか興醒めだ何だかんだで腹も膨れたし今日はこの辺で帰るわ」
俺がそう言うと水坂は「まだ飲みましょうよ!」とかこの後もう一軒自分のおすすめに行こうかと思ってたとか言っている
知らん!俺は帰って寝るんだ、というか明日も仕事だろ、もう一軒行くつもりだったのか…
「明日、遅刻したらかなり厳しいやつ行くからなー」
帰り際に憂さ晴らしとばかりに言っておいてやる
ま、これでもう一軒行くことは無いだろうと思い店を出て帰ろうとしたその時だった。
ピキッーーーーーーーーーーー
ん?何の音だ…?
何か割れたような、折れたような音が響いたような気がした。
しかしその後どれだけ耳をすませても何も聞こえない
「……帰るか」
結局何も分からなかったので俺は帰る事にする
家に着いた俺はスーツを脱ぎ捨てベッドに倒れ込む
「しかし大阪が塞害に飲まれた…か」
塞害についてベッドに横になり考えていた、そして俺はそのまま深い眠りに落ちていった…
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真っ暗な空間に1人の少女が立っている
ーー気をつけてーーーー
あなーーの世界はーーーに狙われてー
終わーーでーーーか時間がーー
何を言っているのか分からない、なんとか聞き取ろうとしたがそのまま少女は消えてしまいーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夢から覚め、目を開くと朝の8時だった、それにしても変な夢を見たな、何だったんだ?気をつけてとか言ってた気がするけど何を気をつければいいんだよ
うん、まあ何はともあれ…
「ヤバい、準備しないと遅刻する!」
クローゼットからスーツを取り出し急いで着替えて家を出た、行きに昨日のスーツをクリーニングに出す予定だったが間に合わない!
仕方ない、明日の朝にでも出そう
ピキキッーーーーーーーー
職場に向かう途中の事だった、昨日よりもハッキリとそれも少し強い音で何かが割れる音が響く
聞き間違いじゃない…!
そう思った直後に俺は異変に気が付いた
「なっ……⁉︎ 空が…割れてる…⁉︎」
いつもと変わらない青い空には白い大きな亀裂が入っていた
こんな事あり得ない、なんなんだこれは…
そこで思いついたのは2つ、昨日の水坂のフラグと今朝の夢の中で少女が言っていた事
「まさかとは思うけど、あれが…塞害だったりしないよな…?」
俺は引きつった顔をして最悪の可能性を口にする
しかし期待は裏切られる、塞害…などという生易しいものではなかった。
どう見ても亀裂は東京どころかどんどん範囲を拡大していっているように見える
そして亀裂は少しずつ中心から黒く染まり始める
急いで携帯を取り出し今東京がどうなっているのかを調べる
結果は最悪だった、世界…日本だけではなく地球全体の全ての地域にこの亀裂は出現しているらしい。
「これは…どうしようもないだろ…」
そんな中、ふと夢の少女の事を思い出す
言ってる事はよく分からなかったけど、あの子みたいな子が彼女だったら良かったのになあ…
あ、俺は決してロリコンではないぞ!
そして職場にも向かう事なく空を眺めている
あれから数十分程経ち、空は既に7割くらい黒く染まっている
この空が全部黒く染まったら死んでしまうのだろうか…
俺はずっとそんな事を考えていた
塞害に飲まれた結果どうなるのかなんて誰にも分からない残るのは「無」だけなのだから
そうこうしているうちにあと少しで黒く染まりきるところまで来ていた
あぁ、さよなら俺の人生、最後の瞬間苦しくないといいなぁ…
そして世界は無に飲まれた…
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「あの…そろそろ起きてください…起きて…起きなさいよ!」
少女は叫んでいた
「ん…?俺は、死んだのか?」
先程まで塞害に飲まれていた筈なのだが?
ここはどこだ?
起き上がり辺りを見回す、しかし全くもって見覚えの無い光景
なんというか、光の中という表現だろうか
そこに床があるという認識はあるのだが床は無いそんな感じだ。
そんな中に1つだけ見覚えのある物、いや人がそこには居た
そう、夢の中に居た少女がそこには居たのだ
ん?ということは?
「なるほど夢か!」
1人納得したように手を打つ
「いえ、どうしてそうなるんですか…」
少女は困ったようにため息をつく、と同時に説明を始めた
「私はミラクリアと言います、あなたは元の世界で次元破壊に巻き込まれて消滅する寸前でした、が私の声が唯一届いた方なのでお助けしました!」
少女、ミラクリアは自慢気に胸を張って言い放つ
「えーっと、ミラクリア?さん、まずポート…なんとか?ってのはなんだ?」
「あぁ、そうでしたね、あなた方はアレを塞害と呼んでいるんでしたっけ、あなた方の世界で起きていた塞害という事象はとある世界が開発した亜空間攻撃兵器、ハルヴシャッハによる異世界間攻撃なんですよ」
そうさも当たり前だという感じに説明してくるミラクリア
「まてまてまてまて‼︎ 異世界ってなんだよ⁉︎ 攻撃⁉︎ 誰が、何のために⁉︎」
俺はもう何がなんだかわからない何だ異世界ってそもそも亜空間攻撃ってどういう原理なんだ…
「えーっと、まず異世界ですがあなたが住んでいた世界の他にも別次元にいくつか存在しています、ハルヴシャッハの攻撃はその次元を超えて別の世界に攻撃する事が出来るって事ですよー」
「つまり、他の次元に住んでる奴があそこは気に入らないからぶっ潰そうってそんなとんでも兵器を撃ってきたって事か…?」
頭が痛くなってくる…こめかみを抑えながら話を聞く
「正確にはあなたの世界は気に入らないとかではなく兵器の実験台ですね」
「は…?つまり?何の恨みもないのにとりあえずテストでこの世界に撃ってみようって俺の世界が標的になったと…?」
「そういうことですね〜!」
ミラクリアはだいぶ軽く言っている、が
「ふっざけんなよオイ!!完全にただの迷惑行為じゃねぇか!!」
いや、正確には世界が1つ滅んでしまっているのだから迷惑もクソもないのかもしれないが…
「ともあれ、あなたを助けたのには理由がありまして」
ミラクリアがもじもじしながら言う
え、これっていわゆるあれなんじゃ?
命の危機を助けてくれてこの反応は…もしかして⁉︎
「理由と、いうのは⁉︎ 」
少し興奮気味に出てしまった…
「えーっとですね…実は…」
実は…⁉︎なんだ⁉︎
「実は、この世界の神様をして頂こうと思いまして!」
ミラクリアは満面の笑みで言った
「え…………?」
神…?好きだからーとか一目惚れーとかじゃなく…?
「えっと…神様になってほしいというのは…どういう意味なんだ…?」
「これは失礼しました、私は神の遣いをしてるんですけど、今この世界には神が不在なんですよ」
俯きながら説明をする
「しかし何で俺なんだ?別に何か特別な力とか生前大きな事を成し遂げたとかそういったことも何も無いぞ?」
まったくだ、俺はただのサラリーマンで仕事が終わったら居酒屋に行き家に帰れば寝て起きたら仕事に向かう、そんな生活をしていた根っからの社畜だ
「いえ、特別な力なら持ってますよ?というか特別な力を持っていなければ私の声は届いていませんし」
は…?今なにかものすごい発言をされた気がするぞ?
俺に特別な力がある…?そんな片鱗一度もなかったんだが…?
「俺が特別な力を持ってるって…どんな力なんだ?」
「あれ、気が付いてなかったんですか?あなたは究極の危険回避能力の持ち主ですよ?どんな危険な事でも事前に感知して本能的に回避する事ができる、そういう能力です」
全く知らなかった…俺はそんな訳の分からない能力を持っていたのか…
あれ…じゃあなんで塞害に巻き込まれたんだ…?
「なあ、なんでそんな能力があって塞害に巻き込まれたんだ?」
「それは仕方ないと思いますよ、絶対の回避能力があったとしても世界全体を巻き込んだ攻撃なんて世界間を渡る方法でも知ってない限り回避出来ませんよ」
なるほど、俺の世界では異世界なんてもの自体ファンタジーだものな異世界渡りなんて方法がある訳もない
「なあ」
「はい?」
「神様って、なるにしても何をすればいいんだ?」
「そうですね、まずは世界を創って頂こうと思います!」
世界を…創る…?
「いやいや、そんな頭のおかしい事ただの回避能力持ちの奴にできるわけないだろ…?」
「あ、それは大丈夫ですよー、視界の右上の端に丸いアイコンみたいなものがあると思いますのでそれを操作してみてください」
そう言われるままに視界をぐるっと見回してみる
あ、あった右上に丸っこいボタンみたいなものがあった
ボタンを指で押してみようとする、がすり抜けて何もできない
「おい、何もできないぞ?」
見るとミラクリアがお腹を抑えて笑いを堪えている
「い、いえ、右上のアイコンに意識を集中すればそれで操作できますので、ブフッ」
最後堪えきれずに吹き出した
一生懸命空中のボタンを押そうと空を切ってた俺の動きがそんなに面白かったのか?
とりあえず言われた通り意識を集中してみる、すると目の前にコンソールのような画面が表示される
上から読んでいくと、ステータス、スキル、バッグ、クリエイト
「おい、なんなんだこれ、まるでRPGゲームのメニュー画面じゃないか」
「おー、流石にその辺りは分かるのですね!ですが、これはゲームではありませんよ、世界の創造はクリエイト画面から創る事が出来ますよ」
そんなアイテム生成みたいなノリで世界創れちゃうのかよ…
クリエイトを選択するとこれまたゲームみたいなどんな島にするかみたいなノリで色々出てきた…
世界作り?を開始して1時間くらいが経過した頃
「よし、出来た!これで世界創造のボタンっと」
長いこと世界の地形やら地域の気候を考えていたらかなりの時間が経っていたらしい
「あ、終わりました…?」
明らかに寝起きであろうミラクリア、こいつ今後絶対こき使ってやろう
そんな事を思っていると光の空間だった場所の下に世界が創られていくのが見えた
「へぇ、これは凄いな」
魔法も何もない世界から来た俺からするとこの光景はかなりの衝撃だ
「あ、因みにこの世界が完成したらあなたにはこの世界に降りて貰って冒険していただきますので」
は……?
ここにきてミラクリアはまた爆弾を投下してくれた
「どういう事だよ⁉︎ 聞いてないぞ、神様ってくらいなんだからここから世界を監視するみたいなそういう事をするんじゃないのか⁉︎」
「いえ、世界の管理は下でも可能ですし、地上でしか分からない事もあるでしょう?」
つまりこういう事か
俺は神様として世界を管理しながら、地上に降り、冒険者として世界を周り世界をより良くしていく、と
「まあ、あなたなら究極の危険回避能力もありますしきっと大丈夫ですよ!」
確かに絶対の回避能力なら冒険者としては最強なんだろうけど…
「というか、今更なんだが俺の名前はあなたとかじゃなくて霧真 神師だ」
「ふぇ?もちろん知ってますよ?」
こいつ、殴り飛ばしてやろうか…
まあ、いいか…
それにしても、まさかサラリーマンをやってて死んだと思ったらファンタジー世界で神様をやりながら冒険の旅なんてな、世界の管理がどんなものなのかはわからないけどのんびりやっていきますかね。
序章として異世界から呼び出されて世界を創るというところまでを書いてみました
次の更新はいつか分かりませんがよろしくお願いします