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森出身で世間知らずな少年の世界革命  作者: スタミナ0
三章:セリシアと精霊の歌
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幕間:セリシアの冒険~リィテル~

更新しました。小話です。



 私──セリシアは、旦那様に憧れた。目的を達成する為に躊躇わない姿は、今まで生きてきた中で、誰よりも強く見えた。

 他人を気遣い、守ろうとする優しさに助けられて以来、彼に何らかの恩返しが出来た実感がない。私が要求してばかりの気がした。


 だから、少しでも旦那様に近づく為に

 私は今日──冒険者になる。



 リィテルの騒動以来、自分を見守ってくれている弓使いの冒険者サーシャルに懇願して、彼のチームに加わる。

 最初は断られた。どうしてもと強く出ると観念してくれた。一切譲らぬ私を拒んでも無駄だと呆れられたが、それでも構わない。


「私、冒険者、なりに来た。仲間、入れて」


 続けて、離島から旅立ち、サーシャルに私と同じ要望を口にしたニクテスの娘・テイの参加も許可された。どうやら、女性の積極的な態度には弱いらしい。


 リィテル冒険者協会で、登録を済ませる。

 奇妙な石に触れてみると、一枚の紙が空中へと舞い上がった。動じること無く、それをすぐに手で掴み取ったサーシャルに渡される。


「ついでに、俺も確認しとくか。テイ、早くお前もやれ」


「了解、すぐやる」



──────────

セリシア(14)/人族・女


・通常ステータス

筋力:D/耐久:C/敏捷:C/魔力:A/技術:C

・特殊ステータス

魔力操作:A──魔法適正:B/呪術適正:B

総合戦闘力:B──武器適正:C/格闘:C

        特殊能力:S/その他:S


──────────

テイ(14)/人族・女


・通常ステータス

筋力:B/耐久:B/敏捷:B/魔力:B/技術:B

・特殊ステータス

魔力操作:B──魔法適正:C/呪術適正:A

総合戦闘力:B──武器適正:A/格闘:C

        特殊能力:C/その他:B


──────────

サーシャル(15)/妖精族・男


・通常ステータス

筋力:C/耐久:C/敏捷:A/魔力:A/技術:A

・特殊ステータス

魔力操作:A──魔法適正:A/呪術適正:D

総合戦闘力:B──武器適正:B/格闘:C

        特殊能力:B/その他:C


──────────


 それらの情報を確認して、サーシャルが呟いた。


「流石はニクテスだな。というか、セリシアの特殊能力が半端無い」


 本人でも驚嘆している程だ。テイは基準が解らないのか、首を捻って曖昧な反応を示す。サーシャルの賛辞は素直に受け取っているが、まだ自信が無さそうだった。私は精霊魔法があるからこその能力値だ。これが正当な評価だと判断して、それ以上余計に考えない。

 サーシャルは以前よりも格段に上がった自分のステータスに奇声を上げて喜んでいた。その姿があまりにも微笑ましく見守っていると、すぐに彼は失態だったとばかりに咳払いで誤魔化し、厳かな態度で話し始めた。


「い、良いか二人とも?何も戦闘力だけがすべてじゃない。冒険者は時に薬草の採取、あるいは物資の運搬など戦闘とは無関係な仕事もある。一切手を抜くんじゃないぞ!」


「サーシャル、成長とは素晴らしい物ですよね」


「蒸し返すな、こら」


「テイ、素直に、喜ぶの、良いと思う」


「やめてくれ。俺が可哀想になってくる……!」


 二人のフォローが逆効果を催したのか、その場で顔を手で覆って隠すサーシャルを見詰めていると、玄関の戸口が勢いよく開け放たれる音がした。大扉の金具が弾けんばかりの勢いである。

 そこに姿を現したのは、三人組だった。


「ここがリィテルのギルドか!」


「あの、ヴァレンさん静かにして下さい」


「ナイフ使い、堂々としろ!」


「何で僕が責められるの?」


 印象の薄い黒衣の青年と、黄金色の頭髪をした少年、上背の錫杖を持つ東国の男。視線が集中したが、彼らは自重することなく依頼掲示板へと歩いていく。

 私達の横を通過する。


「ユウタやムスビが此所に居たって聞いたけど、やっぱもう出てるかもしれねぇな」


 その言葉に、全員が振り向く。ギルド内が騒然とした事に気づいて、ヴァレンと呼ばれる男を先頭とした一行が振り向いた。

 サーシャルが勢い余って、身を乗り出しながら詰め寄った。


「まさか、ムスビ達を知ってる人なのか!?」


「おお!?何か絡まれた!?」





   ×       ×       ×




 その日、一晩中語り合ったサーシャルのチームとヴァレンのチーム。それぞれが体験した事件について話すと、思いの外弾んだ会話は途方もなく続いた。

 途中で私とテイは寝てしまったが、その後も続いたらしい。私の知らない旦那様を聞けたことが嬉しかった。



 全員が起床し、昼に食事を済ませてダンジョンへと向かった。魔石で照らされた入り口の前に昂然と立ちふさがる四人と、緊張に固まるテイと私。

 私の武器は無く、テイは吹き矢と短刀を携帯していた。やはり、ニクテスの呪術を主流とするようだ。

 息巻く彼等に置いて行かれぬよう、必死に食らい付く。不安で少し立ち止まりそうになった時、テイが励ましてくれた。きっと良い友人になれると、私でも感じられる。


「大丈夫。ユウタ、きっと見てる」


「はい。旦那様の為にも、冒険者として精進します」


「その域だぞ小娘!」


 先行するヴァレンが、クロガネと共に魔物を薙ぎ倒しながら言った。私を取り巻く環境は、もう杜撰な扱いをするような人間達ではない。一人の人間として、一人の冒険者として、信頼してくれている。

 それに心躍る感覚が芽生えて、私は我知らず笑みを溢していた。


 “──歌え、唱え、詠え。この声で紡ぐすべてが、あなたになる。”


 解っている──セリシアは囁く。

 あなたが居てくれるから、私も強く在り続けられる。その魂に恥じない生き方を貫く為にも、これから迫り来る苦難にも逃げずに立ち向かうつもりだ。


 だけど、やはりまだ拭いきれない不安はある。

 だから旦那様、どうか私に勇気を与えて下さい。



「来た!スティールクラブだ!」


 注意を促すティルの声に、全員が構えた。目前から地響きのような足音を鳴らして進む巨大な魔物が複数出現した。早速立ち塞がる困難から目を背けず、覚悟を決めた。


「掩護します」


「おっしゃあ、ぶちかますぞ!」


「クロガネは左翼を、俺は右翼を仕留めるから」


 ヴァレンのチームが前に出る。それに続くように、サーシャルも動いた。器用に番えた三本の矢で、多方向の敵の眼球を同時に射抜く。悲鳴を上げて暴れる魔物にも畏れない。

 私も精霊魔法を発動する準備をする。吹き矢の円筒を口元に構えたテイも後方支援に回っていた。


「テイ、お前はティルの助勢だ。セリシアはそれ以外を俺と一緒に殺るぞ」


「了解しました」


 背後に現れた銀狼の背に飛び乗って、スティールクラブへと接近する。

 これが戦闘、これが冒険。私はまだ見ぬ世界を求めて、ダンジョンの地面を蹴った。





 今日、私は冒険を始める。





















過去の登場人物を参加させると、何だか少し嬉しくなりました。


今回アクセスして下さり、有り難うございます。

次回は登場人物紹介ですが、よろしくお願いいたします。

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