(8) 日常
「あ、『けものプレイ』のテーマ曲だ。私これ好きなんです。2六銀打で王手です」
『む、むむ、むむむむ、1六玉でエスケープ』
「♪ららららー、♪ららららー、♪逃がしませんよー。更に2七銀打で王手です」
『ぐ、ぐぬぬぬ……。ない、ありません、投了です、参りました』
「やった。これでニート様に20連勝ぅ!」
『ぐぬぬぬ……。おいこらパグ子、おまえちょっとおかしいだろ! 将棋を教わって一週間でゴキゲン中飛車とか使うかよ、ふつう』
「♪ららららー、♪ららららー」
『俺のアニソンコレクションもすっかり気に入ったみたいだし……』
「あ、ニート様」
『なんだパグ子』
「そろそろお時間ではないでしょうか?」
『おっとそうだ時代劇の再放送か』
「わーい」
『まさか異世界少女のパグ子が時代劇にこれほどハマるとはねぇ』
「私、田舎者だからお芝居とか見たことなくて」
『そんなにハマってるのに音声だけなのが逆に申し訳ないよ』
「すっごい楽しいですよ? ええい者ども控えおろう!」
『ま、パグ子が楽しいならいいか』
「えへへへへ」
『ほれ紙コップと紙皿を出せ。俺のポテチとコーラを半分やるから』
「わーい。のりしお味のポテチにコーラって、絶妙の組合わせですよね!」
『く……。今日はちょっとだけ多目にくれてやる』
「わーい。ニート様ありが……」
『ごほん』
「えへへへへ。ニート様、大好きです!」
『ななな、ば、馬鹿。たかがポテチとコーラなんかで大好きとか……。おまえ、安い女だなッ』
「はいッ!」