(3) そこだけバグる
「あの……私の声が聴こえますか?」
『おお、ちゃんと聴こえる!思ったとおりだ。有線接続のPCマイクを穴に刺したら、スピーカーからパグ子さんの声がはっきり聴こえるぞ』
「本当ですか大聖霊様!」
『へ、大聖霊様? 何さそれ?』
「大聖霊様、ああ、最強にして至高なる大聖霊様」
『ほへ? その大聖霊様って俺のことなの?』
「この薄汚れた獄舎の中、死ぬ前のひとときに大聖霊様のご恩情を賜れたこと、私はけして忘れません」
『へ、ちょちょちょ、待って! 死ぬってパグ子さん死ぬの? 獄舎って何さ? そういやそこ、牢屋の中っぽいけど』
「あの冷たくて清らかな乳。あの甘く柔らかな天界の美味、アンパン。この私に、もはや思い残すことなどございません」
『待て待て待て。どういうことだよ? なんでパグ子さんが死ぬのさ? つうかなんでパグ子さんが牢屋の中にいるのさ?』
「あの、ですから大聖霊様、私の名は」
『いやだから俺、大聖霊じゃねーし。ただのニートだし』
「ニート様……。贋物聖女の私などに大聖霊様の御名を明かされるなどもったいない」
『誰がニート様やねん! 俺の名は……』
「あ、ちなみに私の名は〒Å〒◇∴&£¥#△Åと申します。どうか£¥#△Åとお呼びください」
『いやパグ子さん、何言ってるのか分かんねーよ』
「ですからニート様。パグ子ではなく、私のことはどうか£¥#△Åと」
『いやだからニート様でなく、俺の名は£℃¥$¢%#&*@§◎☆○◇□だから』
「あのニート様、何を言ってるのか私には分かりません」
『だからニート様でなく俺の名は£℃¥$¢%#&*@§◎☆○◇□だってば。気安く*@§◎☆とでも呼んでくれればいいから。パグ子さん分かる?』
「さっぱり分かりません。ですからニート様、私のことはどうか£¥#△Åと」
『あかん。これ永遠にループするパターンやがな』