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伝報

1.5章ともいえる内容

現在一章キャラシ、二章キャラシ、プロット製作中です

しばしお待ちを

七秘境。

それはこの異世界『シルヴィ』において伝説上の存在。

誰もが幼きころから聞かされてはいるものの、一切かかわることなく命を終える。

いや、正確には『関わってはいる』のだ。

なぜなら、この世界において『ステータス』と対をなす幻想、超常であり日々の営みに大きく関与する『魔法』は彼らから流れ出してきているものに他ならないのだから。

そこにただある。

それだけでこの世界を満たす一つの法則として成立する埒外の存在。

神を語る人物は単独で『ステータス』という恩恵を与えているが、彼らは七つにして一つの『魔法』を与えている。

より正確に言うなら、それらは同系列のモノではなく七つの異なる恩恵なのだがそれぞれの保有するテーマによって区分けした際

『火』

『水』

『雷』

『土』

『闇』

『光』

『無』

と分類できるのだから、それら恩恵を享受する側からしたら同系列のそれに見えてしまうのも致し方ないだろう。

それともなにか、彼らには共通点があるのかもしれないがそれでも『魔法』と区分されるその恩恵が『ステータス』という恩恵に匹敵するものとして認知されているのは違いない。

それらの根源。

奇跡を振りまく『弧の世界』を展開するその化外はシルヴィに実在する。

その領地。いや、その『領域』にて座して世界を見下す。

彼らは等しく『幽閉』されてはいるものの、存在するだけで『眷族』が周囲の生態系に発生し無自覚のうちに辺りを侵食するかれらを完全に処断することはできない。

そして彼らを幽閉した存在もそれをする気はなかった。

ゆえに

『最弱になった』黒龍

『動いたら世界が滅ぶ』白龍

『誰も見つけていない』原龍

以外の四体は己が『渇望』をなすため、当たり前のように『勝手に動く』。

その結果周囲が焼け野原になろうとも、『こんな小さく窮屈な箱庭』に入れられた彼らはそのストレスを発散させることに一切の躊躇がない。

人に、魔物に、亜人に、はたまた災害までにもちょっかいを掛ける。

そしてそれは『ここに閉じ込めた存在に絶対かなわない』ということを何よりも理解しているからこその行動であった。


だからと言って彼らが脆弱かと問われれば全く違う。

一人残らず単独で銀河を壊せる化外たち。

『覚醒』位階の中でも上位に位置し千を超える年月を積み上げてきた彼らだ。

実際、『その鱗』こそ『処刻人』に倒されたものの『最弱の黒龍』の鱗片であの運命破壊者と対峙できた、という事実がそれを物語っている。

災害、化外、化け物、そんな言葉がかすれるほどに彼らは『世界』だった。

一人で異世界だろうが何だろうが作れて管理できる。

ありていに言えば『ラスボス、裏ボスクラス』の龍が七体、追加で彼ら七体とタメ張れる『神』が管理しているこの『シルヴィ』は異常なんて言葉では言い表せないほど『歪んでいる』。

既存の法則から外れていて、なのにそれは『初めからそう作られた』かのように歪ながらも一つの形を成している。

一つの星に『世界』を大量に詰め込んでより巨大な『世界』でそれらを押しとどめ、内部のあれ具合ですらまた別の『世界』で押さえるという無茶苦茶。

無駄も多く、麻薬を防ぐため麻薬を使うかのような処置。

最期にはたまった清算をさせられることなど誰にでもわかる。

それが複数個の『世界』をまきこんだものならその債務は押して図るべきだろう。

そんな舞台を前にし脚本家は何を望むのか。

それは今だ誰も知りはしない。


**********


黒蠅が飛ぶ。

蛆が肌を伝う。

百足がその顎を振るう。

その他無数の種の虫。それぞれが天を覆うかのように昼の空を黒く染めていた。

不快、不潔、気色悪い。

ありとあらゆる『忌避』を感じざるを得ないあってはならない存在が一歩、また一歩とその虫のような、人のような、しかしどれでもないような足で足跡を残す。

彼から漂う腐臭は周囲を触れもせずに腐敗させ、気色悪く装丁する。

「きいいいいイ異ああぃいいいイ、アココキカァァァ」

その声帯がどこにあるのかも判然としない醜悪な体から漏れた、これまた不快な音は言語を紡いではおらず、それが羽音であるといわれたほうが納得できるかもしれない。

なぜならそれは、耳元を飛ぶ蠅のようにうっとうしく、掃きだめのような腐臭を伴って耳に届いたのだから。

相手に不快感を与えるためにそこにあるとしかいえないその存在は歩調を緩めることなく他人の『領域』に糞まみれの土足で入っていった。

当然家主からしたら侮辱を受けたどころではない。

自らの家を汚しながら、でも一切の遠慮もなく不遜なこの訪問者に対してなにか思うところがあるはずである。

「いひっひっひひひひひ、ふああはははああいいいいい」

挑発するような奇声をたたえながら反応を待ちわびるようになおもこいつは汚すことをやめない。

どころかその影響は広がっているようにも見える。


「おいおい、そう挑発せんでおくれ。俺も気が短い性分なんだ。つい買ってしまいたくなるじゃあないかよ」


空間が声を発した。

そう思えるような現状。

腐乱の化身はその声はとらえたようで、体中にいくつもある顎を唾液を引きながら開きその声に応じる。


「これは失礼。礼を欠いたことは謝罪するがこちらも『理』だ。許してくれ。」


そこらか紡がれたのは意外にも丹精な青年の声。

バックコーラスに虫たちの羽音さえなければ好青年を幻視するかのような、優しさと思いやりにあふれた声だった。


「だとしても、俺の『領域』に無断で入ってきてその成りってのは感じ悪いだろうが。もっと殊勝な態度ってもんはとれんのかいね?」

「そちらもわかっているだろう。敵陣に『理』も纏わずに入れるほど、俺は強くないんだ」

「はっ!ぬかせよ。犬風情が」


その言葉と同時に顕現するのは嚇怒の焔。

文明の原初にして光。

プラズマがどうだのなんて理屈が介在しない『果てにすべてを消滅させる』という意思を感じさせる炎の化生。

腐敗の化身の周囲が瞬時に火の海となり逃げ場の一切を封じる。

いや、この『領域』に入った瞬間からすでに火の中だったんだ。

それを理解していたからこそ糞虫は『理』を常時展開していたのだから。

それが、主の顕現に呼応し姿を見せただけ。

消える。

消える。

全てが残らず、灰すらなく消滅する。

この炎の本質は『熱』でも『無形』でも『明』でもない。

ただ消し去る。

炎とは万物を『なかったことにする』消滅の化身。

それをたたえ、糞虫の眼前に龍目が現れた。

蛇のようなそれは直径5Mはくだらないだろう。

この『領域』の主。

「魔法」の一翼。

『覚醒』位階の七龍のうちが一体。


『火魔法』

保有するテーマは『消滅』

その主たる龍がその力の一片を来訪者の前に表した。


神威といえばいいのか。

知識量。力量。あらゆるもので超越した存在を前にこの訪問者はしかし揺るがない。

何故なら彼もまた『覚醒』位階。

己が理を身にまとっているのだから。

そうでなければ彼はその『領域』を認識した瞬間に『消滅』している。

カサカサと不快な音をさせながら訪問者は声を紡ぐ。


「では、改めて。炎龍、主から貴方に伝言です。

『楽しませろ』

とのことです。」

「フン…」


『何が』などと問うことはない。

このタイミングで話を持ってくるということは先に感じた『異世界の衝突』のことだろう。

そして二が月ほど前に感じた『兄弟の消滅』と『調律者の離席』。

ここ数千年感じたことのない感覚は、何かが始まったことを察するには十分すぎる。

嵐が来る。

この歪な世界すら揺るがしかねない。とても大きな嵐が。

感じた世界の衝突は彼ら龍や眼前の男の配下たちに比べれば脆弱に過ぎるがそれでも黎明を感じるには十分だ。

しかし、この伝言は挑発だ。


「俺を舐めるか、あの女。最初に俺をぶつけるとは」


主人公に最初に現れる壁。

それを務めろと言外に伝えられたのだ。

言外に『咬ませになれ』と。

三日月型に口を歪ませながらそう話すこの使者の主が幻視できる。

あの女は演出家だ。

快楽主義のあいつは嗜好の展開を求め、自らの危険を度外視し『主人公』をつくろうとする人物。

成長段階の主人公が道でたまたまラスボスに出会わないように成長させてあげるのが演出家の、そして脚本家の仕事だ。

で、その一番槍に『炎龍』は指定されたのだ。

あからさまな挑発行為で侮辱。

だがそれをわかったうえで龍は吐く。


「いいさ。どうせそういわれた時点で行動に変化はない」

「ええ、それが主の演出ですから」


炎龍はこの伝言を受けた時点で『見返すために動く』しかない。

炎龍の性格を考えた『選択肢』を与えないひとこと。

それを使者は伝えてきたのだ。


「だがよいのか?この世界にジャイアントキリングはないぞ。そんな甘い世界ではない。格下が格上に絶対に勝てない戦いに、あの女に目をつけられた奴は向かわさせられる。普通に、何の面白みもなく死ぬぞ」

「それは主が考えたことです。小間使いたる私は存じ上げません」

「はあ、つまらん男よ」


その言葉は、彼の対応にも『彼の理』にもかけられたもののように感じた。

それに気が付きつつも無視し使者は帰ろうと踵を返す。

だが、


「貴様、帰れると思っているのかあ?」

「…」


その時、空間が消滅した。

範囲指定の『消滅』現象。

遥か先で『浄化者』が使った類似技とは格の違うそれは、いうなれば「存在否定」ともいえる暴力性をもって使者へと向けられた敵意。

無論、炎龍は本気で行使したわけではない。

相手にとっては『既知』の手札しかさらすつもりはないため単純な攻撃ではあった。

だが、その絶対性は押して図るべし。


「いききききひひひひっははははあああああああああああああ!!!!!!!!!」


だが、男は無傷だった。

いや、体中は光沢を放つ外骨格に覆われているため傷があるかはわからない。

というか『原型』なんてもの、この男には初めからなかったのだから。

声色からして、そしてかすかにうかがえたシルエットから元々は人型の外見に虫のような外骨格を覆っているように感じられたが、今やそのシルエットすら見えない。

害虫、毒虫、忌避を与える生物をこねくり回して張り付けて、を繰り返したようなそれは全長4Mを超え、奇怪な音を立てながら鳴動する畜生。

彼を『消滅』させんと迫った理は彼の増設された外骨格を貫通することなく、そしてその被害は周囲にも及ぶ。

完全に炎龍のものであるはずの地面が、空が、空間が虫の王に侵食されるようにその身を汚らわしく変位させながら本来の主に牙をむく。


「くこっこここおああっふぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」


先ほどの慇懃な態度が一切感じられない冒涜的な音の羅列を紡ぎながら、無数の目を炎龍の影たる顕現した龍目に向けながら相対する。

その視線を受け、この『領域』の主は猛るように空間を軋ませた。


**********


数刻前まで腐臭が漂っていたそこは、いまだに虫に侵されてはいたもののその元凶は姿を消していた。

逃げられると幽閉された龍は追うことができない。

そしてこれは『主人公』とやらに炎龍自ら手を出すことができないということを意味していた。

久々の運動に軽い満足感を覚えながら炎龍は己が半身に声を掛ける。

小規模とはいえ『理』のぶつかり。これは二か月前まで不可能だった。

調律者に阻まれていたのだ。

だが、こうして今相反する『理』は激突した。

そのことを実感できただけでも優位気だったと思いながら思いえがくは継ぎはぎで、そして民を思うゆえに殺す不器用な『覇者』。

これから始まる大波の一番槍にして主人公にとって圧倒的格上が主人公を殺すために動き出す。

暫く先に出てくる奴らの登場


説明回かつすこし戦闘回

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