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詠唱

いまだに思考中のため詠唱はコロコロ変更すると思います

主人公の詠唱これで第九改定後のもので、まだ納得してないので

宗介のものは一日で考えて採用したものがありますが、いずれ出てくると思う

『覚醒せよ、我が因子-時の流れは残酷に』


紡がれたその言の葉は、まるで世界に語り掛けるようにあたりの雰囲気を一変させる。


『かつて卑下した木漏れ日よ、俺はあの日に貴様を捨てた』


いや、違う。

語り掛けるなんて生易しいものではない。

これは叫びだ。


『幸福を疑う時もなく、それはまるで、愚者が演じる喜劇の一幕』


世界に対して、身勝手な自分の理屈を押し通そうとする叫びだ。


『舞台を降りた主役はもはや、何も持たない哀れな人型』


託羽の脳裏をよぎる、かつて過ごした思い出たち。

あの日々は当時どう見えていた?

どう感じていた?

幸福な瞬間は、その時には気が付かない。

振り返った時初めて、自分の人生に判断を下すことができるのだ。

そんなことすらわからずに、滑稽な男が記憶の中で人を殺している。


あの木漏れ日はもうない。

哀れなピエロは舞台を蹴落とされたのだ


『ゆえに貴様ら、道を空けよ』


そうだ、もう俺は

二度と自分を失わない。


『舞台はいらぬ』


決められた輝かしい道ではなく、自分が進んだ軌跡こそを道としよう。


『俺の未来には過去があると、違えぬ理を示そうか』


前へ、前へ

その果てに、あの優しい過去があるはずだから


そう、信じたいから


『腐り墜ちた己の四肢さえ糧にして、這い蹲って過去へと進め』


あの日々にもう一度

自分のすべてを使って、一瞬だけでいい

あの場所へともう一度


『その果てに、尊き居場所があるはずだと』


もう何も持ってない俺だけど、もう一度『幸福』を手に入れるために


『愚鈍なすべてを顧みず、俺だけの速さ(せかい)をいまよこせ』


だから、その邪魔は誰にもさせない

ついてこれないもの、道をふさぐものをすべて置いて行け


『道なき道を、その残光で照らそうぞ』


その時

黒い、黎い糸が、その理を捻じ曲げた。


クロノギア―『刻振・刹影レゾナンス・ライトレイ



発現したのは爆発的は加速。

今までとは比較にならない、弱体化なんてものを力技で振りほどくような圧倒的な加速。

残光すら引きながら、踊るような刃光の稲妻が血で満ちた世界に確かな軌跡を残す。

その速さが、彼に迫る刃を消し飛ばす。

余波だけで当たりを消し飛ばす。

重さが人1人でも、その早さだけで未曾有の災害になる。

その瞬間の行動だけで、血の結界は崩壊し樹海は壊滅した。

加速が、世界に、星に傷をつける。

元々、彼の加速は物理法則すらおいてけぼりにしていた。

それでも、この加速はあまりにも異常。

彼自身が『加速』しているため肉体的な不可はないようだが、速度による衝撃波は加速してない外に暴風かのような破壊をもたらす。

通るだけで蹂躙し、かするだけで消滅する。

速さはそれだけで破壊の嵐となる。

当然、ありとあらゆる法則が彼の加速を許さない。

そんなものはあってはならない。

光すら超える速度、その速さは『あってはならない』。

それは人が認識してはいけない。

理解することはできるはずがない。

しかし、現出した理はそれを無視する。

『知ったことか』

『お前らの法則、都合なんて知ったことか』

そんな叫びが聞こえるような、『ありえない速さ』。

『俺が先に進むんだ』

『それについて来れないのなら』

『そこで黙って見ていろ』

そう自分の速さを否定する全てを打ち破る。

ただ先に進むための不可能な加速を実現する。

それがこの詠唱による彼の理。

彼の意思が世界を塗りつぶし、自分の理で上書きした。

故にこれより広がるのは『彼の世界』。

光より先の速さ、生まれる衝撃波。

それが自分に都合の悪いものなら自分の都合のいいものに変えるだけ。

被害が出過ぎるならその物理法則すら無視していく。

そんな無茶苦茶な世界だ。

崩壊した周囲の風景は、先刻そこに樹海があったとは誰一人として思わないほどに変わり果てていた。

大地はひしゃげ、先の大規模消滅現象すら気にかからないほどの爪痕を刻んでいる。

木々はその通常より強固な黒い幹を、まるで爪楊枝のように半ばから折れ、その折れた木々すら粉砕され、もはや木片ですらないほどバラバラになっている。

『速さ』という暴力。

彼の一挙一動が、星の寿命を削る。

『あ、あ、あ』

『嗚呼あああっあァァァァァアアアアアアアアア!!!!!!!』

平坦になった大地に彼の慟哭が鳴り響く。

まるで空を踏みしてるように3回、空中でジャンプしている。

まるで感触を確かめるように三秒間空を走る。

大きな叫びをあげるが、その叫びとは裏腹にその刃は確かに敵である襲撃者をその血で潤さんとその首めがけて迫る。

『アあぁあ!!!!!!!』

「くっ!」


当たり前のように初手ぶっぱ。

情報がないうちにまず攻撃するのは基本。

しかし、宗介はこの戦闘より得た経験で光速より上の先の刃すらはじく。

所詮素人の鎌は、この武人には届かない。

その後に離脱、再び空を踏みしめて残影を引く。


4回目。

そして4秒経過。

空を踏みしめて再度加速を再開する託羽。

襲撃者は無差別破壊の中、それでもまだほとんど無傷だった。

無慈悲な白い光は、この災害の中でも彼を保護し続けている。

血の棺にしずんだユリアは、しかしまだ周囲に散乱した血の中に潜んでいるのだろう。

彼女もあまり被害を受けていないようだった。

だが、お互い時間の問題だ。

託羽のこの状態がこのまましばらく続くなら

少なくとも襲撃者はその防壁を粉砕される。

いくら弱体化しているとはいえ、光速すら超える速度に『人』が対応出来ないのは道理。

「っ!」

しかし襲撃者、『谷津宗介』は気がついた。

彼が『相手の観察、対応』に特価した戦いをしているからこそ分かったこと。


託羽の加速は、『1秒事に最高速度と最低速度を振動している』ということに。


現行4回

そして4秒たった


光速の先、という最高速度。

停止、という最低速度。

それらを端としてその間を、まるで振り子のように加速減速を繰り返している。

ならば、宗介にも勝ち目がある。


所詮加速しようが、どれほど早くなろうが『最高速度、1秒事に攻撃を仕掛けてくること』、『託羽は素人で剣筋が読みやすいこと』、『宗介に近接に仕掛けるなら、弱体化の影響を強く受けるということ』。

この要素があるなら、


宗介に光速の刃にカウンターすることができないことは無い


相手はその最高速度付近で当然連撃を仕掛けてくるだろう。

だが、そんなもの

相手の初撃でカウンターを当てればなんの問題もない。

それに宗介にとっては1秒事に停止しなければないないなんて、ただの的でしかない。

こんな無理な理屈をつけて技巧をもってその速さに対応する。


そして、その事実は託羽も分かっていた。

詠唱によって薬使用時とはまだ違った高揚感、能力に振り回されている感覚の中でも彼は思考を続けていた。

自分が、どれだけ加速しようとこの襲撃者には自分の刃は届かないことは分かっている。

力で技量を押し殺すことが出来るのは事実だが、力を殺すために生まれたのが技量であるのだ。


5回目

5秒経過


空を踏みしめ空を駆ける。

だから自分からまだ仕掛けていない。


この速度を維持できるのはあと4秒。

あと4回の最高速度のうちに決着を付けねばならない。


でないとこの『速さ』はその凶暴性、動くだけで起こる破壊は想像もつかないものになる。

その被害を押さえつけていられる時間が合計9秒。

強すぎるが故に使いにくい詠唱だ。


駆る。

抉るように空を駆る。

地面を蹴り、その速さに身をゆだねながらもその瞬間を待つ。


6回目

6秒経過


目の前に塞がる自分の速さを拒む存在を、物理法則諸共全て蹴飛ばして駆る。

それにより、宗介の弱体化粒子ですら例外では無い。

自らに絡みつこうとするその光を『邪魔だ』と無視して駆る。

互いの理同士が、『俺が先にいる』と塗りつぶしあう。

弱体化の光とそれを突破する速さが喰らいあうように潰しあう。


7回目

7秒経過


互いに狙うは必殺のみ。

初見の攻撃。

極限状態で、互いに頭をフル回転させて自分のとるべき対応を夢想する。


託羽は普通に仕掛ければ相手がカウンターをミスるかもしれない。

その早さでそばを通過すればそれだけで相手が吹き飛ぶかもしれない。


宗介は相手の加速のタイミングで、その生涯最速のカウンターのために、積み上げて来た時をかき集める。

理屈はめちゃくちゃだが普通に成功するかもしれない。


だが、互いにそんな甘い考えは抱かない。

想定される可能性を分割し、それぞれ数10手先まで読み進める。


あとはこの『騙し合い』。

どちらが相手を欺くかの勝負だ。


研ぎ澄まされる思考。

いつでも仕掛けられる託羽。

そして、その瞬間を待つ宗介。


8回目

8秒経過


その8回目の空を蹴る足は、宗介の反対に向けて伸ばされた。

ついに託羽が仕掛けた。


『っ!』

「っ!」


互いの視線が交錯する。

その刹那の瞬間に初めてこの2人は互いの顔を見た。

真剣に、相手を殺そうとする瞬間に、互いに相手を信頼した。

こいつなら成功させる。

互いにそう相手を信頼しつつ、互いの技を繰り出す。


『刻めぇぇ!!!!』

「消え去れぇ!!!!」


「『俺の道に貴様は邪魔だ!!!!』」


シンクロした声。

初めて交わした会話。

この数分間の、会話もなくかわしたのは己の殺意のみ。

それでも、自分の主張を押し付ける能力をこの密度でぶつけ合った二人は殺意、信頼、その他さまざまな感情が混ざり合う。

そのうえで、掛ける言葉は同じ。

相手の感情が流れ込む。

そのうえで、叫ぶことは同じ。


こいつらは自分の考えが世界を侵食するほどの自己中。

かつそれを絶対肯定する中二病者。

『「お前の理屈もわかる、でも黙ってろ」』

揺らがぬ妄信。

自己肯定。


その2人の真の邂逅を血の中で、赤い瞳は見つめていた。


同じく、黎い瞳もその衝突を見ていた。

魔法やスキルなんてくだらない中身のない異能のまがい物ではない。

この世界「シルヴィ」で初めての能力、理のぶつかり合いを。


次で決着

その後、『とりあえず』の説明回になる予定

伏線張りすぎてどこでどれを回収しようか迷ってるのです

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