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紡がれた青春  作者: ノベルのべる
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文化祭Ⅹ

「まさか本真先生が小説好きだったなんてね。あんなに文化祭で出版するのを嫌がっていたから、てっきり小説は好きじゃないんだと思っていたよ」

 あの後、本真先生は俺たち相談部が文化祭で小説を出版することを了承してくれた。

「本真先生は国語の先生だ。小説を始めとした文学作品を生徒たちに教えている先生だ。小説を嫌いな可能性は低い」

 河原町先輩の件が原因だったのだろう。

 再び生徒を危険にさらしてしまうのではないか。河原町先輩の夢を守りたかったのではないか。

 いろいろと理由は考えられるが、おそらくはそういった理由が重なり合って、先生は俺たちが小説を出版することに反対していた。

「文学を愛しているからこそ、国語の先生を仕事になさっているのでしょうね」

 愛していることを仕事にする。

 仕事をすること。今の俺にはまったく想像できないが、好きなこと、愛していることを仕事にできることはとても幸せなことなのではないかと思う。

 冬川の言うように、本真先生は自身の仕事を愛しているのだろうか。そうであると思いたい、願いたい。そして、保健室で今も小説を書き続けているであろう彼女もいずれは――。

「あ、そういえばさ、なんで僕たちの学校の保健室はハワイみたいになってるの? 保健室といったらもっと静かでのんびりとした空間のイメージがあったんだけど」

 そう、俺たちの学校の保健室は、プロジェクションマッピングによってあたかもハワイにいるのではないかと錯覚してしまうような空間を作り出しているのだ。

「……私もとても驚きました。あんな保健室が日本にあっただなんて」

 俺も始めて保健室を訪ねたときは絶句してしまった。部屋を出てプレートに「保健室」と書かれているのを確認したくらいだ。部屋にベッドがなければ、完全にハワイだと錯覚してしまうほどのクオリティだ。

「気になって、というか見守先生が《びっくりしたでしょ》と聞いてきたから聞かざるを得ない状況になって、そしてまあ聞いてみたんだが、どうやら完全に先生の好みらしい」

 どこから予算が出ているんだ、生徒たちから苦情が来ないのか、そんな一個人の趣味でどうにかなるものなのか――などなど、疑問が間欠泉のように次々と湧き上がってきたが、どうにも先生に確認できるような雰囲気ではなかったの口をつぐんでいることにした。

「まあ、保健室目当てに受験する生徒もいるみたいだし、学校のネームバリューがあがっていいんじゃないか」

 学校の受験者数上昇に伴い、生徒の学力も年々向上しているらしい。嬉しい誤算といったところか。

「何はともあれ、小説を書けるようになってよかった! 明日から文化祭に向けて頑張ろう! 今日は打ち上げしよう!」

「気が早いって、秋月さん」

 そう言う晴人もやっぱりうれしそうで、本当に今日一日が終わったのだなと改めて実感する。

「打ち上げ代は春樹の財布から出まーす!」

 ノリノリの秋月。テンション高めの晴人。微笑みが深い冬川。

 文化祭はこれからだぞー。そんな無粋な言葉は隅に置いておいて、今日という日を終えることに心から感謝しよう。よし、打ち上げだな。

 ――文化祭まで残り一か月。

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