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紡がれた青春  作者: ノベルのべる
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文化祭Ⅳ

 その後も本真先生を説得(?)する方法を俺たち四人で考える日々を送ったが、これといった策(?)も浮かばず、只々時間だけが過ぎていった。

 そして、文化祭の出し物の内容を提出する締め切りの日が、今日。

「代替案としてうどんを出す案は考えたけど――」

 どうして、代わりにうどんを出すという案が出たのかって?

 それは、まあ、話すとすごく恥ずかしくなってしまうのであまり話したくはないのですが――話さないといけないですか、そうですか。では、話しますよ、暴露しますよ。

「そうだんぶ、そうだんぶって繰り返し言っているうちに、そうどんぶになって、ああ、うどんを出そうって――一体どういう神経してるんだよ、お前ら!」

 そのお前らに俺も入っているわけなのだが、そう言わずにはいられないくらいに恥ずかしい。それに、お客さんから絶対に聞かれるし。《相談部がうどんをどうして出しているんですか》って。その度にこれを答えると思うと、文化祭が余計憂鬱になってくる。

 何が何でも今日中に小説を許可してもらわなければ!

 そんな動機のベクトルが大きく違う方向を向いている状態、言っちゃえばマイナス一を掛けて正反対を向いてしまっているっているぐらいに、動機がおかしな方向を向くぐらいに、俺たちは打つ手がなく、追い詰められているのだった。

「これまで、いろんなことをしてきましたよね、私たち」

 部長の冬川も回想シーンに入っているみたいなセリフを言い出すし。もう相談部の存続すら危ぶまれているのかもしれない。

 それは冗談だとしても――冗談ですよね?

 確かに今日このときまで俺たちは小説を出すために多くの取り組みをしてきた。

 他の先生に相談してみたり、小説出版に向けての署名活動を学内で実施したり、本真先生を朝や放課後に待ち伏せして、何度もお願いしたり、《サインをください》とお願いしたり――とにかく何でもやった。最後のは目的が別のところにある気がするけれども。誰がお願いしたのかなどはわざわざ言及しないけれども。

 ここまで来たら諦めムードが漂っているのを否定するのもしんどく感じてくる。もういっそのこと――。

「あ、本真先生だ」

 サインをもらった秋月も流石にここ連日の取り組みで疲れが出てきているようで、どことなく普段よりも声に覇気がない。

 首だけを窓の外に向けると、本真先生が教室棟の一階を歩いていた。

 あれ、この光景に既視感があるような――。

「あ、消えた」

 本真先生が窓際から離れたようで、俺たちの視界からいなくなる。

 やっぱりなんだか見たことある気がするんだよな、この光景。

 働かない頭に懸命に鞭を打ち、何とか回転させる。少しずつだが、頭にかかっていた靄が晴れていく。

「保健室か」

 そうだ、保健室に入っていったのではないかという話があったじゃないか。あのときは、だからどうだという結論に着地した話があったではないか。

 どうして本真先生が保健室に行くのか。そんなことはあのときも今もどうでもよくて、だけれど、期日が明日に迫った今日、少しでも本真先生の近くにいるべきだ。少しでも小説の了承を得る可能性を高めると考えられる行動をとるべきだ。その積み重ねが目的を達成するために今の俺たちがとることのできる最善手であると信じて。

 その思いは相談部全員に通じるものがあって、俺たちは互いに顔を見合わせて頷き合うと、席を立つ。

「行くか」

 部室の扉を抜けたとき、秋の香りがほのかに部室に舞い込んだ気がした。

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