夏休みⅧ
「じゃあね、相談部くん」
そう言って、高坂は他の京都女子のメンバーと二階へと続く階段を上っていった。
「相談部くん! 僕たちも部屋に行こうか」
からかうような口調と表情で晴人がこちらに顔を見せつけてくる。
どうも高坂は、俺が相談部のことを話す姿に熱意があると感じたようで――実際は俺自身もよくわからない相談部をどう説明したものかを熱心に考えながら話していただけなのだが――説明が終わると、じゃあ、君のことは相談部くんって呼ぶね、と言い、話を終えた。何が、じゃあ、なのかさっぱりだったが、とにもかくにもそういう成り行きで、俺に相談部くんという称号が授けられたのである。
「相談部くん、十五時までどうする?」
「相談部くんはやめろ」
晴人をおいて、二階へと続く階段へと足を掛ける。
後ろから、ごめんごめん、と言いながら追いかけてくる晴人に一瞥をくれると、俺は話を始める。
「……どうして、冬川は彼女たちと顔を合わせたがらないのだと思う」
何だ、そんなこと、とでも言いたげに鼻を鳴らすと、晴人は階段を一段飛ばしで、前にいた俺を追い抜かし、こっちを振り返った。
「わからないね、それは。……そもそも、そういった謎解きは、どちらかと言えば春樹の担当なんじゃないかな」
晴人はいつからか自分で答えを出すことをしなくなったように思う。中学の頃はそんなこともなかったように思うのだが。俺の記憶違いだろうか。
担当ってなんだよ、そんな役目を請け負った覚えはない、とでも言い返そうと思ったが、どうせ言ったところで上手く煙に巻かれてしまうだろう。俺は特に反応せずに階段を上ることに専念することにした。
この階段みたいに目的地を明確に示してくれれば、どれほど楽だろうか。




