夏休みⅤ
その後の自転車走行時間は予想よりも長く、到着までにさらに二十分ほどかかった。その華奢な見た目から、冬川は体力がそれほどないのではと気がかりだったが、正直のところ、俺より体力があるのではないかと、到着した今では感じている。俺がぜいぜいと呼吸を乱している間、冬川は秋月と楽しそうにおしゃべりしていたからだ。
「美香さんたちは先に荷物置きに行ったよ」
俺とは反対に息を全く乱していない晴人が近づいてきた。
「美香って、だれ、だよ」
「ああ、スポーツ系美人だよ」
スポーツ系美人――晴人も俺と同じことを思ってたのか。そのことが面白くて、クスリと笑ってしまう。
「どうしたんだい、そんな風に笑って。僕たちも荷物を置きに行こうか。京都女子高校の四人も行っちゃったしね」
京都女子高校――京都のお嬢様学校だったか、確か。
「晴人、冬川の出身中学ってどこだった?」
「ああ、京都女子中学だよ。もしかして、冬川さんの知り合いだったりするのかな、彼女たち」
どうしてそんなことを聞くのか分からないといった調子で、俺に視線を送ってくる。その視線に答えずに、俺は荷物を持つ。
自転車を漕いだ後遺症で足がガクガク震えていたのは、俺だけの秘密だ。




