夏休みⅣ
自転車を漕ぎ始めて十分――ちょうど半分くらいの行程を進んだだろうか。
目の前の信号が赤になったのでブレーキをかける。
この言葉はもしかしたら冬川を傷つけてしまうのかもしれない。触れるべき話題ではないのかもしれない。後戻りができなくなってしまうかもしれない。それでも、これから彼女たちと一緒に活動することを考えると、話しておくべきだろう。そう信じて、後ろにいる冬川の方へと振り返り、話しかける。
「さっきの彼女たちは知り合いか?」
わずかに肩を震わせると、冬川は下を向いてしまった――図星か。
彼女たちを見たときの冬川の反応がおかしかったのは、やはり気のせいではなかった。
「何があったか問いただそうなんてことはしない。俺にはそんな資格は全くないしな。ただ……このボランティアには俺や晴人、それに秋月も参加してるんだし、その――」
「ありがとうございます、心配してくれて」
冬川は顔を上げると、優しく微笑んだ。
「今はまだ、気持ちの整理がついていないので。もう少しだけ、私が話せるのを待ってもらってもいいですか」
恥ずかしさから顔をそむけながら、俺は首を縦に振った。
信号が赤から青へと変わる。




