44/84
校外学習XVI
これ以上待っても田口さんは来る可能性は低いと思い、田辺に声を掛けようとしたところへ、人が近づいてくる足音がした。その足音から、彼もしくは彼女が相当急いでいるのが窺える――もしや――。
現れたのは、田口さんではない女子生徒だった。一体彼女は――。
「理恵ちゃん!」
秋月が押し殺したような声でつぶやく。理恵――だれだ? 秋月に聞こうと口を開いたが、その理恵という女子生徒の声の方が早かった。
「あなたが、紗江と、待ち合わせしてた、人?」
息を切らしながら、彼女は田辺に問いかけた。……田口紗江だったか、確か。
「そう、だけど」
突然の来訪者に戸惑いながらも答えた田辺は、そのまま言葉を繋げる。
「……田口さんは、どこに」
――病院よ。




