校外学習Ⅲ
学校かばんと共に玄関に戻ると、もう一人の人物がそこにはいた――俺の妹、夏希である。
「お二方は、お兄ちゃんとどういう関係で?」
「相談部ってどういう活動内容なんですか?」
「今度一緒に遊びませんか?」
夏希が、秋月と冬川に色々と話しかけ、二人も楽しそうに答えてくれている。
俺が来たのに気づいたようで、夏希はこちらを振り返ると、パタパタとスリッパを鳴らしながら近づいてくる。
「あんなに可愛い子が二人もいたなんて……どうして教えてくれなかったの?」
俺にそっと耳打ちをしたかと思うと、夏希は玄関にいる二人――正確には、晴人を入れて三人だが――に向かって、
「では、お兄ちゃんをよろしくお願いします」
と頭を下げて、リビングへと戻っていった。
「すごく可愛いね、夏希ちゃん」
「……ほしい」
……後半の怪しげな発言はスルーしようか。
「まあな」
「春樹は、シスコン、だからね」
晴人め、余計なことを言いよって――事実だから否定はしないが。
「でも、私もあんな妹がいたら、シスコンになっちゃうかも」
フォローしてるのか、本当にそう思うのか、何とも分かりづらい調子で秋月が独白めいた風にそう言った。
「とにかく行くか」
みんなを促して、家を出る。
これ以上、夏希のことを褒められたりしたら、お兄ちゃん、感涙にむせんじゃう。
――やっぱり、シスコンだな、俺。