初相談Ⅺ
その後、落ち着いたほのか先輩を連れて、秋雨先輩は教室を去った。
「……ありがとう。お礼は、またの機会に」
――そう言い残して。
それにしても、思ったより短い解説編――解決編よりも短いような解決編――になってしまった。
「……ほのか先輩が投票用紙の結果を偽った理由はだいたい分かったけど、方法については聞けなかったね――どうやって、ほのか先輩が結果を偽ったのか」
教室に取り残された――別に取り残されたわけではないか――俺たちは、晴人のその独白ともいえるつぶやきに、しばらくの間、答える者はいなかった。
方法よりも理由が――HOWよりもWHYが大切だと、皆が感じていたのかもしれない。理由を前にして、方法がどうというのは、些細なことだと感じたのかもしれない。晴人もそう感じていたからこそ、どこか独白めいた言葉を紡いだのだろう。
「……そう言われると、私も少し、気になります」
冬川がこっちを見つめてくる。
「……私も。……春樹、よかったら話してくれない?」
それらの言葉が俺を後押ししてくれる。このみ先輩がいなくなってしまった今、本人がいないところで、果たして俺がその話をしてもいいのだろうかという、俺の迷いを溶かしてくれる。
「これは、あくまでも俺の想像に過ぎないわけだが――」
そう言って、俺は話し始めた。
先ほどよりも、夕焼けに明るく照らされた教室で。