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初相談Ⅸ
少し短めですが、お読みください。
「かの、えーと、どのようなご相談でしょうか」
おそらく彼女と言いかけたのであろう秋月は、真っ赤な顔のままで、彼女という来客を迎え入れた。
と同時に彼女の姿を認めた秋雨先輩が、短距離走のスタートダッシュのような勢いで扉の方へと駆け出した。
「このみ! 心配してたんだから! ……もう来てくれないんじゃ、ないかって」
彼女――このみ先輩は、秋雨先輩に頭を撫でられると、ごめん、と下を向いてつぶやいた。
「……私も撫でられたい」
何やら俺の左後ろから怪しげなつぶやきが聞こえてきた。
振り返るが、そこには教科書と睨めっこしている冬川ただ一人。
……気のせい、かな。
何はともあれ、待ち人は現れた。主役は揃った――ようやく解説編の始まりだ。